ポクパエリアとたーくん
たーくんは、気付けば不思議な世界にいました。
お空はグニャグニャとしていて、地面はキラキラとしています。
大好きなお母さんと一緒に寝ていたはずなのに。
たーくんは不思議な世界にいたのです。
「やぁ、僕はポクパエリア」
ウネウネとして、グニュグニュとしたモノが近づいてきました。
色はゴチャゴチャとしていますが、不思議と恐くはありません。
「プクユクをしようよ。君のお名前は?」
クニュクニュとしたモノがたーくんの前に出されました。
よく分かりませんでしたが、たーくんはソレを掴むと言いました。
「プクユクって何か分からないけど、僕はたーくんだよ」
たーくんの手を優しくキュっと掴んだポクパエリアは、思ったよりもフニュフニュとして、たーくんは気持ち良くなりました。
「プクユクはプクユクだよ。けど、たーくんだね。初めまして」
ポクパエリアはピョイーンと飛び上がります。
そしてベニャンと着地しました。
「初めまして」
突然飛び上がったポクパエリアに、たーくんは驚きましたが、ペコリとお辞儀します。
「はっはっは。なんだいソレは。君は形もおかしいのに、行動もおかしいんだね」
たーくんからしたら、ポクパエリアの方がおかしいのですが、何も言えずに黙ってしまいました。
ポクパエリアの体にギラギラとした赤色が多くなっているのを見て、少し悲しくなります。
「はっはっはっは……なんだい。ドクヨクとして。言われたら言い返しなよ。僕から見たら、君がヘンなように、君から見たら、僕はヘンなはずなんだぜ?」
ポクパエリアの体の色が、またグニャグニャになりました。
さっきよりも、少しだけヘニャヘニャとした色のような気もします。
「まぁ、気を取り直して、プクユクの続きをしよう。僕は、ヘンな奴がラララなんだ」
クルクルとポクパエリアは回り始めました。
「君がラララなモノは、何だい?」
クルクルと回りながら、ポクパエリアは言いました。
ラララなモノとは何でしょう。
分からなかったので、たーくんは聞きました。
「ラララって何ですか?」
クルクルと回っていたポクパエリアは、その動きを止めて言いました。
「ラララはラララさ。君の言葉で、ラララをなんて言うか分からないから、僕はラララをラララというしかないね」
すると、ポクパエリアは今度は上に下にピョンピョンとジャンプし始めました。
「なんでピョンピョン飛んでるんですか?」
たーくんはまた我慢できずに聞きました。
「コレは僕がルルルだからさ」
ポクパエリアは、さらに激しくピョンピョンします。
「ポクパエリアくんのこと分からないや」
この不思議なポクパエリアとたーくんは仲良くなりたいと思ったのですが、ポクパエリアの事が分からなかったので、たーくんは諦めてしまいました。
「世の中は分からないことばっかりだよ。だから僕は聞いているのさ。じゃあ、質問を変えよう。君のンミャンミャンはヘンな形をしているけど、ソレは何に使うんだい?」
ポクパエリアは、クニャクニャしたモノでたーくんの手を示しました。
ンミャンミャンとは、おそらく手の事なのでしょう。初めてたーくんはポクパエリアの言葉が分かりました。
「えー……手? たーくんのお手手は……」
たーくんは困りました。手は何に使うのでしょう?
うんうんとたーくんは考えます。
「……たーくんのお手手はね。ママの手を握る為にあるの。たーくんのママの手はね。ザラザラしているけど、とっても優しいお手手なんだよ」
ポクパエリアは、ピョンピョンとした動きを止めました。
「……そうだね。僕のンミャンミャンも、そのためにあるよ」
ポクパエリアは、物凄い速さで回転し始めました。
「ああ、こんなにラララになれるなんて……やっぱり、プクユクは大切だ」
ポクパエリアが速く回っていくごとに、たーくんは眠くなっていきました。
「ありがとう。今度会えたら、もっと沢山プクユクをしよう」
たーくんは、気付けばお布団の中にいました。
隣には、大好きなお母さんがいます。
たーくんはママの手をキュッと握りました。
たーくんは、少しだけラララな気分になって、また眠りました。