帰り道の話【700字】
「途中まで一緒に帰らない?」
一人で歩く私にあるクラスメイトの男子が話しかけてくる。
「いいよ。」
別に断る理由もなかったし、異性のクラスメイトに話しかけてきた彼を無下にするのはなんだか忍びないと感じたからだった。
「家ってどのあたりなの?」
彼の質問に家の近くにあるいくつかのお店の名前を出して答える。
「あなたは?」
私は、同じように質問する。
彼は、とある住宅街の名前で答えてくれた。
その後もたわいのない会話を交わす。
いままであまり話したことがなかったけれど、話題は尽きなかった。
最後に私は彼に尋ねる。
「どうして私に声をかけてきたの?」
ここで「君のことが好きだったから」とか、「後ろ姿を見て一目惚れをしたから」というような言葉を望む人がいるみたいだけれど、私はそんな答えは望んでいなかった。
彼のことは話していて楽しい人だとは思うけれど、恋愛対象ではなかった。
もちろん、悪い意味ではなく、同性の友達のような感じという意味合いで。
そして、それは彼も同じだった。
「うーん、言葉では表しにくいんだけど、ふと見かけたときに話しかけたいなと思ったっていうのが正直な気持ちかな。
なんか、このままだと話さずに人生が終わってしまうような気がしてね。
大げさかな?」
そう行って彼は笑う。
「なるほどね。あ、私このあたりだからそろそろ帰るね。じゃあ、また明日。」
「うん。またね。」
そう言って別れる。
その後、2度目の会話が交わされることは人生の中で一度もなかった。
あれから、数ヶ月、ふと彼のことを思い出すことがある。
自分が鳴らした鈴の音と共に。
学校の暇な時間に書いた作品です。
今までで一番短いものになってしまった。
最後の部分は幾つかの解釈ができるかな~と思って書きました。
もしよかったら考察でもしてみてください。
技術的にわかりにくかったら僕の技量不足です。
すいません。