女神からの託宣を三度断った男の話
「お断りします・・・」
俺はカイト、男爵家の家系だ。家族は驚きを隠せない。
「はあああーーー、カイト!どうして!」
「勇者の託宣だぞ!」
勇者の託宣を断ったのだ。
「何故だ!・・・グスン」
「兄上!」
俺は子供の頃に見ている。勇者殿はヒーローであったが、魔王軍の戦いでボロボロになり。手足が欠損した。
王は・・・・
『うむ。勇者殿は馬子出身であったな。欠損回復魔法はかけなくても良い』
『御意!』
右足。右手をなくされた勇者殿を見ているからだ。
『英雄だ!皆、ジークを三唱せよ!』
『『『ジーク、アル殿!ジーク、アル殿―――!ジーク・・・』』』
ベッドで横たわる勇者殿は俺たちを虚無の目で見ていた。
その目が忘れられない。
故に例えこの国が滅んでも勇者にならないと決めたからだ。
「カイト殿、何故だ?男爵家のせがれが王女殿下と結婚出来るかもしれないのだぞ!」
俺は条件をつけて答えた。
「もし、民は重税に甘んじ。王国軍はもとより王国民が一丸となって魔王討伐をするのなら、私は一兵士で戦いましょう」
「カイト殿は謹慎だ!!」
使者殿はたいそう怒り帰られた。
「カイトよ。いったいどうしたのだ?」
「父上、私はいない者として下さい・・・」
俺は謹慎した。婚約者からも離縁の書状が来た。
まあ、背教者として処刑が妥当だよな。
数ヶ月後、使者が来た。
「・・・・・カイト殿に・・・領地を申し渡す。金貨一万枚と爵位を用意するとの王命だ」
信じられない内容だ。
「何故ですか?」
「知らんわ!託宣で来たのだ!」
託宣で俺を指名して領地と金を渡すと来たのだ。
意味が分からない。
それも断った。
「お断りします」
「何故だ?!」
「託宣なる不明瞭な物で国政を行ってはいけません」
「う、う~む。陛下に伝えるぞ」
その話を聞いて婚約者が復縁をしないかとやってきた。
「カイト様、私、どうかしていましたわ。どうか、託宣を受けてね。領地をもらって下さいませ」
「断る!」
だが、遂に王宮への呼び出しの王命が来た。
「カイト殿、馬車に乗られよ」
「ああ、分かった」
馬車に揺られて一月後、王宮まで連れて来られた。
陛下は太っているな。王宮内でも輿に乗っている・・・
周りには大勢の廷臣と外国の大使たちもいる。
どれも女神信仰圏の大国だ。
平伏する俺に陛下は満足げに言い放った。
「カイトよ。死を賜る。カイトを殺せとの女神様の託宣だ。遂に税金の納め時がきたな・・」
「左様ですか?なら・・・」
俺は右に飛び。護衛騎士の剣を奪った。
「な、何だと!」
そして、神速で壇上に登り陛下を突き刺した。
「な、何をする!ウグ、ハア!」
俺は勇者だ。戦闘力は倍増、いや、十倍くらいか?この王宮にいる騎士達なら怖くはない。
「馬鹿野郎。女神の託宣を断るっているだろうが?!何故、不利益だけ聞くと思ったのか?」
だから、今まで断り続けた。
「女神様よ。託宣を断ったぞ!雷でも落としてみやがれ!」
シーン!
天罰がくだらない。
「俺は野に下る。後は好きにするが良い・・・」
その後は王族達が王位を争い。争いに参加しなかった一番末っ子の王女が王位についたと言うが知ったことではない。
俺は対魔王軍の募兵に参加した。
「カイト・・・家門無しか?平民軍団二等兵だ。給金は月銀貨八枚だ」
「はい、分かりました。募兵官殿・・・」
俺は前線で戦った。いつも俺1人だけ生き残る。
まだ、勇者は誕生していない・・・
女神様の御心は測る事もできないが、案外に性悪女だと思う。
この状況を楽しんでいるのであろう。
☆☆☆神界
一羽のフクロウが女神の元に降り立った。
「ホホホー!」
「そう、カイトは死ななかったのね・・フフフフフ」
元々人族は神に反抗して楽園を追い出されたのが始り。
反抗こそ人の本質よ。
妾はもともと1都市の守護神だったわ。
その都市も滅亡して存在しない。
「ホホホホー!アテ・・イ様、監視を続けますか?」
「ええ、お願い」
そう、私は戦いの女神、この世界では戦略、知恵を担当するわ。
「次は異世界人でも召喚して世界をごちゃ混ぜにしようかしら・・・そしたら面白い子が生まれるかもしれないわね」
・・・この大陸は慈愛の女神ではなく戦いの女神が統治しているとは誰も思わなかった。故に戦いが絶えないのかもしれない。
最後までお読み頂き有難うございました。




