七、日常の始まり
翌朝、田邊は鶏の鳴き声で目を覚ました。
まだ薄暗い。だが、屋敷の人々は、もう起き出している。
田邊は体を起こした。
予想に反して、体は軽かった。
板張りの床に薄い筵だけで寝たのに、それほど体が痛くない。
これも、体の変化のせいだろうか。
外に出ると、すでに朝日が昇り始めていた。
空気が、冷たく清々しい。都会の空気とは全く違う。
「おはようございます、田邊さん」
声をかけてきたのは、昨夜の平吉だった。
「おはよう」
「今日から、仕事をしてもらいます。まずは、庭の掃除から」
「分かった」
平吉は、田邊に竹箒を渡した。
「この庭を、きれいにしてください」
田邊は、庭を見た。
広い土の庭だ。落ち葉や小枝が散らばっている。
田邊は、竹箒を手に取った。
思ったより軽い。竹を束ねただけの簡素な道具だが、よくできている。
田邊は、掃き始めた。
最初は、要領が分からなかった。
だが、やっているうちに、コツが分かってきた。
竹箒は、あまり力を入れすぎず、軽く掃く。そして、一定のリズムで動かす。
田邊は、黙々と掃いた。
単純な作業だが、集中できる。余計なことを考えなくて済む。
そして、不思議なことに、体が軽い。
一時間ほどで、庭の掃除が終わった。
「おお、きれいになりましたね」
平吉が、感心したように言った。
「次は、薪割りをお願いします」
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