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二十七、斥候の帰還

その夜、神崎家に斥候が戻ってきた。

佐々木が、急いで広信と田邊のもとに報告に来た。

「若殿、田邊殿、重大な報告があります」

「何だ」

「松永軍が、明日の朝、出陣するそうです」

「明日!」

広信の顔が、緊張で強張った。

「兵力は」

田邊が尋ねた。

「百五十。そして、ルートは、予想通り、あの谷を通る道です」

「よし」

田邊は、立ち上がった。

「では、すぐに準備にかかります。時間がありません」

「分かった」

広信も、立ち上がった。

「全員を集めろ。今夜中に、谷へ向かう」

「はっ!」

佐々木が駆け出していった。

田邊と広信は、顔を見合わせた。

「いよいよ、ですね」

広信の声は、震えていたが、目には決意が宿っていた。

「はい。これが、我らの勝負です」

田邊も、覚悟を決めた。

自分の命を賭けた、最初の戦い。

勝てば、神崎家は守られる。

負ければ、自分は死ぬ。

「行きましょう」

「はい」

二人は、部屋を出た。

屋敷は、すでに騒然としていた。

兵たちが武具を整え、馬の準備をしている。

平吉も、槍を持って走り回っている。

「田邊さん!」

平吉が、田邊のもとに駆け寄ってきた。

「いよいよですね」

「ああ。平吉、お前も来るのか」

「もちろんです。田邊さんと一緒に戦います」

平吉の目は、真剣だった。

「ありがとう」

田邊は、平吉の肩を叩いた。

「必ず、生きて帰ろう」

「はい!」


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