二十四、食事の変化
その夜、田邊が部屋に戻ると、平吉が夕食を持ってきた。
「田邊さん、今日の食事です」
木の椀を受け取った田邊は、その中身を見て、思わず笑みがこぼれた。
いつもの雑穀の粥だが、豆の量が増えている。
そして、新しく、小さな魚が一匹入っていた。
川魚だろう。焼いたもので、塩気がある。
「これは……」
「若殿が、田邊さんにもっと良い食事をと仰って」
平吉は、嬉しそうに言った。
「田邊さんは、若殿の師だから、体を壊しては困ると」
田邊は、胸が熱くなった。
広信の気遣いが、嬉しかった。
「ありがたいな」
田邊は、魚をゆっくりと食べた。
小さな魚だが、タンパク質の貴重な供給源だ。
この時代、魚は貴重品だった。
内陸部では特に手に入りにくく、川魚を捕ることができても、保存技術が限られているため、すぐに食べなければならなかった。
塩漬けにするという方法もあるが、塩自体が高価なため、庶民には難しかった。
魚を食べながら、田邊は考えた。
食事の改善は、少しずつ進んでいる。
豆が加わり、魚も時々食べられるようになった。
次は、野菜の種類を増やしたい。
そして、調味料の改善も。
味噌や醤油の質を上げることができれば、食事はもっと美味しくなる。
栄養価も上がる。
「少しずつ、だな」
田邊は、呟いた。
一気に変えることはできない。
だが、少しずつ、着実に改善していく。
それが、この時代を生き延びる方法だ。




