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七、一年の終わり—第一巻の総括と新たな決意

1534年の冬が訪れた。

紘一がこの時代に来てから、四年が経った。

この四年で、多くのことがあった。

神崎家に拾われ、松永久秀と戦い、間断灌漑を広め、小山領を臣従させ、

寺子屋を開き、道三の美濃統一に貢献した。

そして、今、美濃全域の改革を進めている。

大晦日の夜、紘一は一人、部屋で考えていた。

この四年を振り返りながら。

「よく、ここまで来たな」紘一は呟いた。

最初は、記憶を失い、何も分からなかった。

ただ、生き延びることだけを考えていた。

だが、神崎家の人々に助けられ、少しずつ、この時代に慣れていった。

そして、自分にできることを見つけた。

現代の知識を活かし、人々の生活を良くする。

それが、自分の役割だと。

「だが、まだ終わりじゃない」紘一は窓の外を見た。

雪が、降り始めていた。静かに、美しく。

「織田信秀がいる。織田信長がいる」

紘一はこれからの困難を予感していた。

織田家との戦いは、避けられないかもしれない。

道三は強い男だが、織田信秀も強い。

そして、若き信長が成長していく。

「だが、俺は、戦いを避けたい」紘一は改めて思った。

戦場で、人が死ぬ。家族が悲しむ。それを、何度も見てきた。

もう、見たくない。

「平和な世界を作る」紘一は誓った。

「それが、俺の使命だ」

その時、扉がノックされた。

「田邊さん、いますか」平吉の声だった。

「ああ、入ってくれ」

平吉が入ってきた。手には、茶を持っている。

「田邊さん、これ、どうぞ」

「ありがとう」

二人は、並んで座った。

「田邊さん、今年も、色々ありましたね」平吉はしみじみと言った。

「ああ」

「美濃全体に、田邊さんの改革が広がっています」平吉の声には、誇りがあった。

「農業も、教育も、医療も」

「皆の協力があってこそだ」

「でも、中心にいるのは、田邊さんです」平吉は続けた。

「田邊さんがいなければ、何も始まりませんでした」

紘一は微笑んだ。「平吉もよく頑張ってくれた」

「俺、思うんです」平吉が真剣な顔で言った。

「田邊さんは、神様が遣わした人なんじゃないかって」

「神様……」紘一は苦笑した。

「そんな大層なものじゃない」

「でも、田邊さんが来てから、すべてが良くなりました」

平吉の目には、真剣さがあった。

「これは、奇跡です」

紘一は平吉の言葉に、心が温かくなった。

「平吉、ありがとう」

「これからも、ついていきます」平吉は力強く言った。

「田邊さんが、平和な世界を作るまで」

「ああ」紘一は頷いた。「一緒に、頑張ろう」

二人は、茶を飲みながら、深夜まで語り合った。

過去のこと、未来のこと。夢のこと、希望のこと。

やがて、日付が変わった。

新しい年が、始まった。

1535年。

紘一にとって、この時代での五年目が始まる。

そして、新しい挑戦も始まる。

織田家との関係。美濃のさらなる発展。

そして、いずれ来るであろう、歴史の大きな転換点。

すべてが、待っている。

「来年も、頑張ろう」紘一は心の中で誓った。

窓の外では、雪が降り続けていた。

白く、静かに、世界を覆っていく。

その雪を見ながら、紘一は思った。

この雪のように、平和が、この世界を覆ってくれますように。

戦いではなく、対話を。憎しみではなく、理解を。

それが、紘一の願いだった。

そして、その願いを実現するために、紘一はこれからも戦い続ける。

武器を持って戦うのではなく。

知識と、思いやりと、対話で戦う。

それが、紘一の戦い方だった。

第一巻は、こうして幕を閉じた。

田邊紘一の戦国時代での挑戦は、まだ始まったばかりだった。

美濃統一は、一つの到達点だった。

だが、それは、より大きな物語の、序章に過ぎなかった。

これから、さらに大きな歴史のうねりが、紘一を巻き込んでいく。

織田信長の台頭。天下統一への道。

そして、その過程での、数々の戦い、出会い、別れ。

すべてが、紘一を待っている。

だが、紘一は恐れない。

仲間がいる。信念がある。そして、能力がある。

それらすべてを使って、紘一は平和な世界を目指す。

たとえ、それが困難な道であっても。

たとえ、歴史の流れに逆らうことになっても。

紘一は進み続ける。

それが、紘一がこの時代に生きる意味だから。

(第一巻 完)


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