十二、能力の新展開—大規模な物資創造への挑戦
宴から戻った後、紘一は一人、部屋で考えていた。
美濃統一顧問という役職。
それに伴う責任。
そして、それを果たすための能力。
紘一は描画能力のことを考えていた。
この能力を、もっと大規模に活用できないか。
今まで、紘一は小規模にしか使っていなかった。
リンゴ数個、薬草少量。
個人を助ける規模だった。
だが、もし、大規模に使えれば、もっと多くの人々を助けられる。
紘一は実験してみることにした。
紙に、米俵を描いた。
一俵ではなく、十俵。並べて描く。
絵が完成した。
紘一は念じた。
だが、何も起こらなかった。
紘一はもっと強く念じた。
すると、激しい疲労が襲ってきた。
視界が暗くなり、体が重くなる。
紘一は床に倒れ込んだ。
「くっ……」
意識が、朦朧としてくる。
だが、必死に耐えた。
能力を使い続ける。
数分後、部屋の隅に、米俵が現れた。
だが、十俵ではなく、五俵だった。
紘一は限界に達していた。意識が、途切れそうになる。
「これが……限界か……」
紘一は気を失った。
数時間後、紘一は目を覚ました。
体中が痛い。頭も痛い。激しい疲労が、まだ残っている。
紘一は部屋の隅を見た。五俵の米俵が、そこにあった。
「成功した……だが……」
紘一は理解した。
大規模な物資創造は、可能だ。
だが、それには、莫大なエネルギーを消費する。
そして、自分の体力の限界がある。
五俵が、今の紘一の限界だった。
「もっと、体力をつけなければ……」紘一は呟いた。
だが、同時に、可能性も見えた。
五俵でも、十分に役立つ。緊急時に、食料を創造できる。
災害が起きた時、飢饉の時、その能力は、多くの人々を救える。
紘一は米俵を隠した。
そして、この実験のことは、誰にも言わないことにした。
能力の秘密は、守らなければならない。
だが、必要な時には、使う。人々を救うために。




