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十三、能力への理解
その夜、自室に戻った田邊は、一人考え込んだ。
今日、改めて実感したことがある。
自分に与えられた能力は、言語だけではない。
文字の読み書き、筆の使い方、この時代の作法。
すべてが、自然にできる。
まるで、この時代に生まれ育ったかのように。
「これは、一体何なのか……」
田邊は、自分の手を見つめた。
タイムスリップした時、何かが起きた。
自分の体に、この時代に適応するための力が与えられた。
それは、ただの偶然ではないはずだ。
何らかの意図があるのではないか。
誰かが、自分をこの時代に送り込んだのではないか。
だが、誰が。何のために。
答えは分からない。
だが、一つだけ確かなことがある。
この能力があれば、田邊はこの時代を生き延びられる。
それどころか、この時代で成功することもできるかもしれない。
「使えるものは、すべて使う」
田邊は、決意した。
与えられた能力を、最大限に活用する。
そして、この時代で生き延びる。
それが、今の田邊にできることだった。




