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二十三、稲の成長—間断灌漑の成果と期待

七月に入り、稲はさらに成長していた。

間断灌漑を採用した田んぼは、明らかに他と違っていた。

稲の背丈が高く、葉の色が濃く、穂が大きい。

農民たちは、毎日、田んぼを見ては、喜んでいた。

「本当に、すごいです」

「今年の収穫は、去年以上になりそうです」

紘一も、定期的に田んぼを見回っていた。

ある日、紘一は太郎の田んぼを訪れた。

太郎は田んぼの中に入って、稲の様子を確認していた。

「田邊様、見てください」太郎は嬉しそうに一本の稲を持ち上げた。

「穂が、こんなに大きいんです」

紘一はその穂を見た。確かに、大きかった。

粒がぎっしりと詰まっている。

「素晴らしいですね」紘一は微笑んだ。

「これも、田邊様のおかげです」太郎は感謝した。

「いえ、太郎さんが、丁寧に世話をしたからです」

太郎は照れくさそうに笑った。

紘一は田んぼ全体を見回した。

緑の稲が、一面に広がっている。

風が吹くと、稲が揺れる。まるで、緑の海のようだった。

美しい光景だった。

そして、この光景が、人々の生活を支えている。

米が取れれば、人々は食べられる。生きていける。

「田邊様」太郎が口を開いた。「俺、思うんです」

「何を」

「この領地は、本当に良くなりました」太郎の声には、感謝が込められていた。

「田邊様が来てから、すべてが変わりました」

紘一は謙虚に首を横に振った。「私一人の力ではありません。皆さんの協力があってこそです」

「でも、田邊様が、道を示してくださいました」太郎は続けた。

「間断灌漑も、寺子屋も、手洗いも、すべて田邊様が教えてくださいました」

太郎の目に、涙が滲んだ。

「俺、長年、貧しかったです」太郎の声が、震えた。

「毎年、ぎりぎりの収穫で、家族を養うのが精一杯でした」太郎は続けた。

「でも、今は違います。収穫が増えて、家族を養えます。子供たちに、字を学ばせられます」

太郎は深く頭を下げた。

「ありがとうございます、田邊様」

紘一は胸が熱くなった。太郎の感謝の言葉が、心に染み入った。

「太郎さん、これからも、一緒に頑張りましょう」紘一は太郎の肩を叩いた。

「はい」

二人は、しばらく、田んぼを見つめていた。

緑の稲。それは、希望の象徴だった。


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