表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/157

二十一、夏の宴—平吉とお春の婚約発表

その夜、神崎家の広間で、宴が開かれた。

広綱、広信、そして主要な家臣たち。

さらに、村の長老である源蔵、太郎なども招かれた。

総勢で五十人ほどが集まった。

広間には、料理が並べられていた。

白米の飯、魚の塩焼き、猪肉の味噌煮、野菜の煮物。そして、酒。

間断灌漑の成功と、道三からの報酬で、領地の財政に余裕ができた。

その恩恵が、食卓に表れていた。

広綱が、杯を掲げた。

「皆、今夜は、田邊の功績を祝う宴だ」広綱の声が、広間に響いた。

「田邊は長井との交渉に成功し、神崎家を守ってくれた」

家臣たちから、拍手が起こった。

「そして、大きな報酬を得てくれた」広綱は続けた。

「これで、領地はさらに発展する」

「田邊殿、素晴らしい働きでした」伊藤が、杯を掲げた。

「田邊様、ありがとうございます」太郎も、感謝した。

紘一は恐縮しながら頭を下げた。「皆様のおかげです」

宴が始まった。酒が注がれ、料理が配られる。

人々は、食べ、飲み、笑った。

しばらくして、広綱が手を叩いた。

「皆、もう一つ、良い知らせがある」

広間が、静かになった。

「平吉と、太郎の娘、お春が、婚約した」

広間に、驚きの声が上がった。

そして、すぐに、祝福の拍手に変わった。

平吉とお春は、前に出た。

人とも、顔を赤くしている。

「平吉、お春、おめでとう」広綱は二人を祝福した。

「ありがとうございます」平吉は深く頭を下げた。

太郎も、嬉しそうだった。

「平吉殿は、立派な方です。お春を、よろしくお願いします」

「はい。必ず、お春さんを幸せにします」平吉は真剣に答えた。

お春は、恥ずかしそうに俯いていたが、その顔には、幸せそうな笑みがあった。

紘一は二人を見ながら、微笑んでいた。若い二人の門出。

それは、美しかった。

笑い声が、広間に響いている。

歌を歌う者、踊る者、酒を酌み交わす者。

皆、幸せそうだった。

紘一はその光景を見ながら、思った。

この領地には、幸せがある。

人々の笑顔がある。それを守りたい。

戦いを避け、平和を作る。

それが、紘一の使命だった。

そして、少しずつ、その目標に近づいている。

そう感じられた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ