十八、道三への相談—政治的解決の模索
稲葉山城に到着すると、紘一はすぐに道三に面会を求めた。
道三は紘一を書院に招いた。
「田邊、どうした。急な訪問だな」
「道三様、相談があります」紘一は単刀直入に言った。
「西の領主、長井道利が、兵を増強しています」
道三の目が、鋭くなった。「長井が……」
「はい。神崎家を狙っている可能性があります」
道三はしばらく考え込んだ。そして、口を開いた。
「長井道利は、厄介な男だ」道三は言った。
「野心的で、攻撃的だ。そして、わしの統一事業に、まだ協力していない」
「道三様から、長井に、神崎家を攻めないように言っていただけないでしょうか」紘一は頼んだ。
道三は少し考えてから、答えた。
「できないことはない」道三は言った。
「だが、条件がある」
「条件、ですか」
「長井を、わしの傘下に引き込む」道三は説明した。
「そのために、お前の力を貸してほしい」
紘一は予想していた展開だった。
道三は何もタダではやらない。必ず、見返りを求める。
「長井を説得する、ということですか」
「そうだ」道三は頷いた。
「お前なら、できる」
紘一は考えた。長井を説得する。
それは、難しいだろう。長井は、野心的で、攻撃的だ。
そんな男を、言葉だけで説得できるのか。
「難しいと思います」紘一は正直に言った。
「だが、やってみる価値はある」道三は続けた。
「もし、成功すれば、神崎家は守られる。
そして、長井も、わしの傘下に入る」道三の目が、輝いた。「一石二鳥だ」
紘一は選択肢がないことを理解した。
道三の提案を受け入れるか、自力で長井と戦うか。
戦えば、勝てる保証はない。多くの犠牲が出るだろう。
ならば、外交で解決する方が良い。
「分かりました。やってみます」紘一は答えた。
道三は満足そうに頷いた。
「よし。では、準備をしてくれ」道三は続けた。
「一週間後、長井との会合を設定する」
「承知しました」
紘一は稲葉山城を後にした。
帰路、紘一は考えた。
長井道利を、どう説得すればいいのか。
佐々木の報告によれば、長井は野心的だ。
領地の拡大を望んでいる。
ならば、その野心を満たす方法を提示すればいい。
神崎家を攻めるよりも、道三の傘下に入った方が、より大きな利益が得られる。
それを、示す必要がある。
紘一は一週間、準備に費やした。
長井についての情報を集め、説得の戦略を練り、予想される質問への答えを用意した。
そして、一週間後、再び稲葉山城へ向かった。
今度は、長井道利との会合だった。




