表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

119/154

十五、描画能力の秘密実験—限界と可能性の探求

ある夜、紘一は一人、部屋で実験を続けていた。

描いたものが現実になる能力。その限界と可能性を、もっと知りたかった。

紘一はこれまでに様々なものを描いて現実化してきた。リンゴ、桜の花びら、柳の皮、鍬。どれも成功した。

だが、まだ試していないことがある。

複数のものを同時に現実化できるか。

紘一は紙に、リンゴを三つ描いた。三つ並んだリンゴ。それぞれ、少しずつ大きさを変えた。

絵が完成した。

紘一は念じた。

絵が光り、机の上に三つのリンゴが現れた。

成功だ。複数のものを同時に現実化できる。

次に、紘一は別の実験をした。

動くものを現実化できるか。

紘一は鳥を描いた。翼を広げて、飛んでいる鳥。できるだけリアルに描く。

絵が完成した。

念じる。

絵が光り、部屋の中に本物の鳥が現れた。

だが、鳥は動かなかった。空中で、静止している。まるで、時間が止まったように。

紘一は驚いた。「動かない……」

数秒後、鳥が動き出した。羽ばたき始め、部屋の中を飛び回る。

紘一は慌てて窓を開けた。鳥は、窓から外へ飛んでいった。

「生き物も現実化できる……」紘一は呟いた。

だが、これは危険だとも思った。生き物を現実化する。それは、命を創造することだ。倫理的に、許されるのか。

紘一は深く考え込んだ。

そして、決めた。生き物の現実化は、極力避ける。どうしても必要な時以外は、しない。

次に、紘一は大きなものを試してみた。

家を描いてみる。小さな家。茅葺き屋根の、質素な家。

絵が完成した。

念じる。

だが、何も起こらなかった。

紘一はもう一度、強く念じた。

すると、激しい疲労が襲ってきた。目の前が暗くなり、体が重くなる。

紘一は床に倒れ込んだ。

「くっ……」

しばらく、動けなかった。疲労が、あまりにも激しい。

やがて、少しずつ回復してきた。

紘一は机を見た。家は、現れていなかった。

「大きすぎるものは、無理なのか……」紘一は理解した。

あるいは、自分のエネルギーが足りないのか。

紘一は限界を知った。

小さなもの、単純なものなら、現実化できる。だが、大きなもの、複雑なものは、難しい。あるいは、不可能。

そして、現実化には、エネルギーを消費する。大きなものほど、多くのエネルギーを必要とする。

紘一はこれらの知識を、頭に入れた。

そして、能力の使い方を、さらに慎重に考えなければならないと思った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ