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六、会合への準備—情報収集と戦略立案

翌日から、紘一は会合に向けて、準備を始めた。

まず、東の領主たちについて、情報を集める必要があった。

紘一は佐々木を呼んだ。

「佐々木殿、東の領主たちについて、調べてもらえますか」

「承知しました」佐々木は、即座に答えた。「具体的には、どのような情報が必要ですか」

「領主の名前、年齢、性格、領地の規模、経済状態、軍事力」紘一は列挙した。「そして、最も重要なのは、彼らが何を求めているかです」

佐々木は、頷いた。「分かりました。三日ほど、時間をください」

「お願いします」

三日後、佐々木が情報を持って戻ってきた。

「田邊殿、東の領主たちについて、調査しました」

二人は、紘一の部屋で話をした。

「まず、主要な領主は三名です」佐々木は、説明し始めた。「一人目は、名を遠藤慶隆という男です」

「遠藤慶隆……」紘一はその名前を記憶した。

「年齢は五十歳ほど。性格は、慎重で、保守的です」佐々木は、続けた。「領地の規模は、約千石。経済状態は、安定しています」

「軍事力は」

「兵は、約二百名。訓練は、そこそこです」

紘一は頷いた。「次は」

「二人目は、名を安藤守就という男です」佐々木は、続けた。「年齢は四十歳ほど。性格は、野心的で、攻撃的です」

「野心的……」

「はい。安藤は、領地を拡大したいと考えています」佐々木は、説明した。「そのため、常に周辺の領主と争っています」

「領地の規模は」

「約八百石。経済状態は、やや厳しいです。戦いが多いため、支出が多いのです」

「軍事力は」

「兵は、約百五十名。だが、戦闘経験が豊富で、精鋭です」

紘一は安藤という男に注目した。野心的で、攻撃的。そして、経済的に厳しい。そういう男は、利益を提示すれば、動くかもしれない。

「三人目は」

「名を氏家卜全という男です」佐々木は、続けた。「年齢は六十歳ほど。性格は、知恵者で、慎重です」

「知恵者……」

「はい。氏家は、長年、領地を守ってきた老練な領主です」佐々木は、説明した。「戦いも、外交も、すべてに長けています」

「厄介そうですね」

「はい」佐々木は、頷いた。「氏家を説得するのは、最も難しいでしょう」

「領地の規模は」

「約千二百石。東の領主の中では、最大です」

「経済状態は」

「安定しています。氏家は、内政に優れており、領地を豊かにしています」

「軍事力は」

「兵は、約二百五十名。よく訓練されており、強力です」

紘一は三人の領主の情報を頭に入れた。

遠藤慶隆—慎重で保守的。安定志向。

安藤守就—野心的で攻撃的。利益志向。

氏家卜全—知恵者で慎重。長期的視点。

「彼らが、何を求めているか、分かりますか」紘一は尋ねた。

佐々木は、少し考えてから答えた。「遠藤は、安定を求めています。戦いを避け、平和に領地を守りたいと考えています」

「安藤は」

「領地の拡大を求めています。そのための力が欲しいのです」

「氏家は」

「独立を求めています」佐々木は、答えた。「氏家は、誰にも従いたくない。自分の領地を、自分で守りたいと考えています」

紘一は頷いた。「なるほど。それぞれ、求めるものが違いますね」

「はい」

紘一は戦略を練り始めた。

遠藤には、安定を提示する。道三の傘下に入れば、戦いから守られる。平和が保証される。

安藤には、利益を提示する。道三の傘下に入れば、他の領地を攻める時に、道三の軍事支援を受けられる。

氏家には……氏家が最も難しい。独立を求める男に、臣従を勧める。それは、矛盾している。

「氏家を説得するのは、難しいな」紘一は呟いた。

「はい」佐々木も、同意した。

紘一は考えた。氏家に、どう説得すればいいのか。

独立を求める男。だが、現実には、完全な独立など、ありえない。この戦国時代、小さな領主は、必ず大きな大名の影響下に入る。それが、現実だ。

ならば、形式的な独立を保ちながら、実質的には道三の傘下に入る。その道を提示すればいいのではないか。

「氏家には、名目上の独立を保証する」紘一は考えをまとめた。「実質的には道三の同盟者だが、形式的には対等な関係。それを提示する」

佐々木は、感心したように頷いた。「なるほど。それなら、氏家も受け入れるかもしれません」

紘一は三人の領主への説得方法を、紙に書き出した。そして、何度も読み返し、頭に入れた。

会合まで、あと七日。準備の時間は、限られていた。


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