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35歳社畜の俺、異世界で名刺管理システムがウルトラレアスキルとして覚醒し、世界の命運を託されることになる  作者: それがし
1章

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6/11

定番×魔法×スキル

35歳の社畜が、名刺管理スキルを武器に異世界へ。

名刺から魔法・アイテム・キャラまで顕現できる《Card Registry》を手に、

世界の構造崩壊に立ち向かう物語です。

地味な名刺管理が、異世界では最強のチートになる。

そんな“構造×異世界ファンタジー”を楽しんでいただければ嬉しいです。


 リリアの言葉が静かに部屋に落ちたあと、

 エリックはしばらく口を開けなかった。

 

 胸の奥がざわつき、

 頭の中で何かがぐるぐると回り続ける。


(……王女……

 俺に一緒に来てほしい……?

 いやいやいや、ちょっと待て……)


「ちょ、ちょっと待ってほしい……」


 思わず素の口調が漏れたが、

 すぐに相手が“王女”であることを思い出し、

 慌てて言い直す。


 「い、いえ……その……

 少し、お待ちいただけますでしょうか……!」

 

 声が裏返り、

 自分でも何を言っているのか分からなくなる。


 リリアは驚いたように瞬きをしたが、

 すぐに優しくうなずいた。


「もちろんです。ゆっくりで構いません」

 エリックは深呼吸をひとつして、

 ようやく言葉を絞り出した。


「わ、私は……

 まだこの世界のことを……

 ひとつも知らないのです」


 その声には、不安と正直さが滲んでいた。

 リリアは胸元の紋章にそっと触れ、

 少しだけ表情を引き締めた。


「エリックさま……

 まず、何を知りたいのですか?」


 その問いかけは、

 王女としての威厳ではなく、

 “導く者”としての優しさに満ちていた。

 エリックは一瞬、言葉に詰まる。


(……何を知りたい、か……

 いや、そもそも俺……

 この世界のことを何も知らないんだよな……)


 胸の奥がざわつき、

 頭の中で“異世界もの”の知識が勝手に走り出す。


(魔法とか……スキルとか……

 そういうの、あるのか……?

 いや、でも聞かないと何も分からないし……)


 エリックは意を決して口を開いた。


「……も、もしかして……

 この世界には……

 魔法とか……スキルとか……あるのですか?」


 言った瞬間、

 自分でも何を聞いているのか分からなくなり、

 顔が熱くなる。


 しかしリリアは、

 驚くどころか、

 むしろ嬉しそうに目を輝かせた。


「はい!

 もちろんございます!」


 その声には、

 “待ってました”と言わんばかりの熱意が宿っていた。


「では……まずは“魔法”からお話ししますね!」


 リリアは一歩前に出て、

 まるで教師のように姿勢を整えた。


「魔法には、威力や規模によって

 五つのランク が存在します」


 リリアは指を一本立てる。


「まずは 基礎級ベーシック・クラス

 個人が扱う初歩的な魔法です。

 火花を出したり、灯りをつけたり……

 魔法学校の初級課程で習うものですね」


 次に二本目の指。


「その上が 戦術級タクティカル・クラス

 小隊規模の戦闘で使われる“中級魔法”です。

 冒険者や兵士が実戦で最も使う階層ですね」


 三本目の指が立つ。


「さらに上が 戦略級ストラテジック・クラス

 軍団規模に影響する“上級魔法”です。

 宮廷魔導士の中でも優秀な者が扱えます」


 エリックはごくりと喉を鳴らした。


(軍団規模……

 もうゲームの大魔法じゃん……)


 リリアは四本目の指を立てる。


「そして 天災級カタクリズム・クラス

 国を滅ぼすほどの破壊力を持つ魔法です。

 宮廷魔導士の最高峰が、

 “到達できるかもしれない”と言われています」


 最後の五本目。


「最上位は 創世級ジェネシス・クラス

 世界そのものに干渉する、神話の領域です。

 扱えた者が実在したかどうか……

 それすら伝説の中の話です」


 エリックは息を呑んだ。


(創世級……

 世界に干渉……?

 そんなの、もう神じゃないか……)


 リリアは続ける。


「次に“スキル”です。

 スキルとは、生まれながらに授かる固有能力のことです」


「固有……」


「はい。

 そしてスキルは基本的に、

 一人につきひとつだけ。

 生涯変わることはありません」


 リリアは静かに続ける。


「スキルにはランクがあります。

 ノーマル、レア、そして最上位がスーパーレア。

 スーパーレアは、王国でも数えるほどしか存在しません」


 エリックは思わず息を呑んだ。


(スーパーレア……

 そんな特別な力が本当にあるのか……

 でも、この左手の印がスキルなのかどうか……

 今の俺には判断できない……)


 リリアはエリックの左手に視線を落とし、

 少し考えるように眉を寄せた。


「……エリックさま。

 もしよろしければ、スキルの鑑定をしてみませんか?」


「鑑定……?」


「はい。

 アストレアさまがエリックさまをこの世界へ導いたのなら……

 何かしらのスキルを授けている可能性があります。

 世界の立て直しを託すほどの方ですから」

 エリックの胸がどくりと跳ねた。


(スキル……

 もし本当に俺にスキルがあるなら……

 何か分かるかもしれない……)


 リリアは続ける。


「鑑定に必要なアイテムは、

 この村でも普通に手に入ります。

 難しいものではありません。

 よろしければ……村のお店までご案内します」


 エリックは左手を見つめた。


(この印……

 いったい何なんだ……

 鑑定すれば……分かるのか……?)


 胸の奥がざわつき、

 期待と不安が入り混じった感情が渦を巻く。


「……お願いします」


 エリックがそう答えると、

 リリアは軽くうなずき、扉の方へ向かった。


「では、参りましょう。

 村のアイテムショップは、この離れを出てすぐです」


 エリックも立ち上がり、

 その後に続く。

 二人は部屋を出て、

 そのまま村のアイテムショップへ向かった。



読んでいただき、ありがとうございます。


名刺スキルが異世界でどう広がっていくのか、楽しんでもらえたら嬉しいです。


次回もよろしくお願いします。

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