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第3話:初めてのモフモフ

 壁に掛けてあった荷物袋を手にした俺は、素材採取に向かうため、小屋の外に飛び出した。


 しかし、畑の前に一匹の魔物が現れたことで、すぐに足を止める。


「ウサギの魔物、か」


 モフモフとした白い毛並みと大きなうさ耳を持ち合わせた魔物で、少しまるっとしている。


 おそらく『一角獣』と呼ばれる魔物だろうが、その代名詞ともいえる角は小さく、ヒョコッと生えかかっている程度だった。


 可愛らしい魔物だな……と眺めていると、一角獣も俺の存在に気づく。


「きゅー?」


 誰かいた、と言わんばかりにキョトンッとした表情を浮かべる姿が、とても愛らしい。


 少しまるっとした体形とその表情が絶妙にマッチしていた。


 思わず、エレメンタルキャットに癒されたことを思い出した俺は、早くも一角獣に心を奪われ始めている。


 一方、一角獣は餌を求めていたみたいで、俺とニンジンを交互に見ながら、様子をうかがっていた。


 魔物と友好関係を築きやすくなる加護の影響なのか、一角獣が温厚な魔物なのかはわからない。


 ただ、少なくとも敵対する様子は見られなかった。


 これは仲良くなるチャンスかもしれない。


 せっかく畑にニンジンが実っているんだから、ありがたく餌付けに使わせてもらうとしよう。


 一角獣が逃げないうちに素早く済ませようと思った俺は、野菜を収穫するため、【箱庭】スキルを起動させる。


「アイリス様が、パッと収穫できると言っていたが……。おっ、これか」


 畑のところにニンジンの吹き出しマークが出ているため、そこに触れてみると――。


 ポンッ ポンッ ポンッ 


 突然、ニンジンたちが勢いよく抜けて、光の粒子に変わった後、アイテムボックスに吸い込まれていった。


 すぐにウィンドウ画面で確認すると、アイテムボックスの中に収穫したばかりのニンジンだけでなく、その種まで入っていることに気づく。


「おおっ、これは便利でありがたい機能だな。スキルで種も植えられるみたいだから、管理もしやすい。野菜と共に種まで収穫できるなら、飢え死にする可能性も少な……ん?」


 視界に妙な光景が映ったので、ふと一角獣の様子を確認する。


 すると、絶望的な表情を浮かべていた。


 餌にありつけると期待していたにもかかわらず、目の前でそれが消えてしまったから、大きなショックを受けているんだろう。


 これは悪いことをしたな……と反省した俺は、急いでアイテムボックスの中からニンジンを取り出して、それを手渡す。


「悪気はなかったんだ、許してくれ。ほらっ、仲直りの印だ」

「……ッ! きゅーっ!」


 正気を取り戻した一角獣は、また俺の顔とニンジンを何度か比べた後、すごい勢いでそれを食べ始めた。


 無我夢中でニンジンを食べる姿が、また一段と可愛らしい。


 餌付けという古典的な方法ではあるものの、魔物と仲良くなれるのであれば、ありがたいことだと思った。


 なんといっても――、


「けっこうモフモフしているんだよな」


 異世界で初めて出会った魔物が、モフモフなのだから。


 密かに毛並みが気になっていた俺は、食事中のところ申し訳ないと思いながらも、少し体を触らせてもらう。


 もふっ もふっ


 山の中で生活していることもあって、毛に土や草が少し混じっているが、ちゃんとモフモフしている。


 こんなにも早く魔物と触れ合える機会が訪れると思っていたなかった俺は、スッカリと心が癒されていた。


 そんな充実した時間を過ごしていると、一角獣がニンジンをペロリッと食べ終わる。


 早くもお腹が満たされたみたいで、キョロキョロと周囲を確認した後、拠点の裏手の方に向かっていった。


 途中で立ち止まって振り返った一角獣は『またニンジンを食べにくるから、よろしく』と、言っているような気がする。


「畑は荒らさないでくれよ」

「きゅっ」


 言葉が通じているのかはわからないが、頷いた一角獣は、その場を後にした。


 それを見届けた俺は、無事に一角獣と再会できることを願い、予定通り水の調達から始めることにする。


「まずは自分が生活できる環境を整えないとな。日が出ているうちに飲み水と素材を集めよう」

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