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管理者アスラの夢帳簿  作者: ゆん
世界を望む少年編
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鬼ごっこ

世界は多くの願いが落ちている。

 ーお金が欲しいー

 ー空を飛びたいー

 ー過去に戻りたいー

いろんな願いだ。

もしも、どんなに実現不可能な願いでも叶うチャンスがあるのなら。

これはいろんな願いを持つ者たちと願いの管理者の記録。

「応援呼ぶから少し時間を稼いで!」

フェンの当てにならない声がする。

そんなこと言われても何もできるわけがないんだけどなぁ……と思いながらも化け物に目線を向け続ける。

ひざがガクガクするほど怖いが、それでもなんとかバリスを助けたい一心だった。

化け物はどう食べてやろうかとでも言うように舌なめずりをしている。

ちら、とバリスたちの様子を伺うが、バリスの足が何かに絡まっているのかなかなか逃げられないようだ。

私は一か八かの賭けに出ることにした。

化け物はかなりの巨体だ。

ならうっそうと生い茂るこの森の中ならまだ走りにくいのでは?と考えた私は近くに落ちている石を化け物に何個か投げつけて走り出した。

化け物はそんな石には臆することもなく私のことを追いかけてきた。


どうやら私はまだ生きているらしい。

先ほど駆けつけた時くらいの足の速さならなんとか逃げ続けられると考えたが、思っていたよりも体が軽い。

頑張ればなんとかなりそうだ。

それでも頑張ればだけども。

木々の間を走り抜けながら考える。

何があの化け物をそこまでさせるのかを。

もともとは優しい性格だったとエレンは言っていた。

だが、今この状態だけを見るとそんな風には全く見えない。

何かに対してとてつもなく怒りを感じているようにしか見えなかった。

一体何があったのだろう。

その時、視界の端にエレンがいた。

また助けてもらいたかったが、声なんてかける余裕は無かった。

気づいて……と願いながらできるだけエレンの視界に入るように走った。

やはりとても高いところにいるからか、気づいてもらえそうに無かった。

なんとか声を絞り出そうとしたその時、

「また追っかけられてんの⁉︎」

こちらに気づいたのか、叫んでいる。

気づいてくれたらしい。

木の上から飛び降りて、私のすぐ横を走りだした。

「一体何があってん?」

「バリスが襲われてて、飛び出しちゃった!」

「はぁ⁉︎」

当然の反応だ。

「後で怒られるから!どうしたらいい?」

「……どうしたらって……もう殺した方が……でも……」

おぉ……まさかすぎる答えが。

意外すぎる回答に驚いていると、エレンの様子が何かおかしくなっていることに気がついた。

「殺しは良くない。殺しは良くない。殺しは良くない。殺しは良くない。殺しは……。」

「え……?」

「殺しは良くない。殺しは良くない。殺しは……。」

「エレン?」

どうしたのだろうか。

殺すと言った途端、エレンはずっとうわ言のように同じことを繰り返している。

「エレン!」

そう言いながらまだ少し持っていた小石をエレンに投げつける。

最初は弱めにしていたが、全然変わる気配がない。

「エレンってば!」

もう一度呼びかけながら今度は少し本気めにぶつけた。

「あ……。」

思っていたよりも力が入ったのかエレンのほおに小さな傷ができてしまった。

血がちら、と傷口から流れ出た。

しかし痛みで正気に戻ったのか、エレンは繰り返し呟くのをやめた。

「……っ!」

「エレン!」

完全に元に戻ったようだ。

「あんさん……ごめんよ、おどかしてしもうたね。」

「戻ってよかった……。ごめん、傷つけちゃった。」

「ええよ、これくらいならすぐ治せる。……ほら。」

エレンは走りながら傷をきれいに治してみせた。

よかった、と私はホッとした。

「そんなことよか、今はこいつに集中!」

「うん!」

エレンは少し周りをキョロキョロして大体の私たちの位置を確認すると言った。

「ついてきて、こっちに大型動物用の罠が仕掛けてある。」

「わかった。」

エレンの様子を見る限り、あの化け物を殺すことは出来なさそうだ。

捕まえることに関しては大丈夫みたいなので、罠にかけることにしたようだ。

まぁなんとかなるならいいか、とエレンについていった。


「化け物と抱き合いたくなかったら、合図したら罠踏まないように飛んでな。」

「分かった。」

全力で飛ばさせていただきます。

「いくよ……、1、2の3!」

合図とともにジャンプして、走り幅跳びのように着地する。


「いい飛びっぷりやったな、お疲れさん。ぶつけたとこは大丈夫やったか?」

「なんとかね……。」

結構ガッツリ走ったが、息一つきれずに走りきった自分が少し恐ろしかった。

「グルルル……。」

辺りにまんまと罠にかかった化け物の唸り声が響く。

「そういえば、エレンにかけてもらった回復のおかげで逃げることができたんだ。ありがとう。」

「え……、ほんと?」

エレンはやっべって感じで嫌そうな顔をしていた。

「うん、なんか体力とか、ジャンプ力とかも色々ね。おかげでぶつかったんだけど。」

「それは制御できてないあんさんが悪い。悪かったけどさ。」

それはそうだけど。

「とりあえずはフェン達の無事を確認してくる。」

そういうとエレンはフェンのところに向かっていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

勝手で申し訳ないですが、私情により次の水曜日の更新はお休みさせてもらいます。

次回は次の土曜日に出す予定です。

感想お待ちしてます。



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