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管理者アスラの夢帳簿  作者: ゆん
世界を望む少年編
33/35

世界のはじまり

世界は多くの願いが落ちている。

 ーお金が欲しいー

 ー空を飛びたいー

 ー過去に戻りたいー

いろんな願いだ。

もしも、どんなに実現不可能な願いでも叶うチャンスがあるのなら。

これはいろんな願いを持つ者たちと願いの管理者の記録。

「エリー、かなり昔のことわざ……だった気がしますが、火事場の阿保力……でしたっけ?なんかそういう感じの言葉がありましたよね?」

「馬鹿力、ね。」

「そう、それですよ。人間は窮地に陥ると自己防衛で予期しない力を発揮することがあるんです。ただ、ここイラヴェルナだとそれが変な方向に発揮してしまうことがあって。それが才華の本質的な部分です。あなたの才華は持続ではなかったのでしょう。」

これが、才華……?

「エレンの力はそのまま定着でもしたんでしょう。あの人の回復はガサツですからね。そういうこともありますよ、きっと。」

そんなもので良いのかな。

私は、私で良いのだろうか……?

「じゃあ結局エリーのは何になるのかしら?雹を降らせたのだから、天気を操る系?」

「フェン、それだとこいつは何で火を噴いたんだ?」

「え?火を噴いたの?それは知らないわよ。」

「おい、ひを噴いた時は何を考えてたんだ?」

「えーと……。ドラゴンみたいな?」

「一貫性がないな……。」

それぞれが考えを出し合って収集がつかなくなった時に、後ろからいきなり声がした。

「再現……じゃなかね?」

「それだ‼︎」

その声で3人は納得したようだ。

「エレン!来てたの?」

「フェンと一緒に来てたんよ。ちょっくらこの辺を見ててな。ここはガンダルヴェの現場の近くで間違いなさそうだ。敵さんもようこんな辺鄙なとこ見っけてきたもんだ」

呆れたようにエレンは言った。

「ガンダルヴェ……って終わりの地?」

フェンが驚いたように言う。

「ええ。」

「じゃあ……まさかガヴェルが復活したってこと?」

「どうやろなぁ……。ガヴェルの封印は管理者様がきちっとやってくれた思うけど。」

話についていけなくなった私とテルは顔を見合わせる。

それに気づいたアルはとある昔話をしてくれた。


――昔、地に落ちた双子の天使がいた。

双子は不吉だと言われていて、御神様に厭われていた。

その双子の名はそれぞれアスフィリウスとガンヴェリウス。

双子は何もない地へ堕ちていった。

2人はせっせと世界を創り上げた。

御神様が認めてくれることを祈って。

アスフィリウスは地を、空を。

ガンヴェリウスはその地をかける者どもを。

いつまでもいつまでも、時間をかけてゆっくりと創り上げた。

ガンヴェリウスが生み出した者たちは、アスフィリウスが生み出した世界をどんどん開拓していった。

いつしか、彼らは命たちの願いの歯車を管理する者へとなっていった。

願いの歯車の管理は想像を絶するほど大変なものだった。

耐えきれなくなり、絶望に満ちたガンヴェリウスは希望を持つアスフィリウスを残してこの世を去ってしまった。――


「まぁ、これがイラヴェルナの始まりと言われている物語の最初です。」

「ガンダルヴェはガンヴェリウスが死んだ場所と言われているの。いつからかガンダルヴェは此処で死者が集まる場所――終わりの地と呼ばれるようになったわ。……そして今から500年ほど前かしら、ガヴェルと名乗るものが現れた。」

「そいつはガンヴェリウスの生まれ変わりだと言ったんや。確かにそいつは願いの歯車を持っていなかったし、ここで生まれた住民でもなくてな。ありえん程の力で此処を崩壊させようとしたんや。本当に生まれ変わりなんやないかって思うほど力が強かった……。」

「私たちはガヴェルを倒すべく立ち上がり、何とか勝利しました。私たちが命を摘むのはできませんから、管理者様に摘むよう頼んだのですが、何を思ったのか……管理者様がガンダルヴェにそいつを封印したんです。」

「まぁガルヴェによる災害は収まったから良かった思ってたんやがなぁ。」

「ええ。ですが先ほど追いかけてきた奴がいたでしょう?再び現れた時に思い出したのです。」

そこでアルは一瞬しゃべるのを躊躇い、言った。

「ガヴェルの側近に奴がいたことを。」

「は?」

エレンとフェンの声が重なった。

「そんなん見間違えやないんか?管理者様はガヴェル以外の命は摘んどったやんか。」

「それが本当なら封印が解けてることにも繋がるわ。憶測じゃダメよ。本当に同一人物なの?」

「本当。見タ。記憶映像二アル者ト一致シテイル。」

2号は本当だと力説した。

「2号もこう言っていることですし、見間違えではないでしょうね。」

「じゃあどうするのよ。封印が本当に解けたとすると私たちじゃガヴェルを対処できない。来てくれるかしら?」

「どうでしょうね。当時の状況よりもこちらが不利なのは変わりないですからね。」

「ジジイが1人と気分屋が1人、行方不明者が1人と連絡もつかんやっちゃが1人っと。どうするんかこれ。負け戦になりそうなもんやなぁ。」

エレンが呟いたのをアルは聞き逃さなかった。

「エレン、ジジイってどなたのことでしょう?気分屋はヴァネ、連絡つかないのはルーでしょう。行方不明者はマシューのことだと当てはめるとジジイに該当する方がいらっしゃいません。まさかフェンやテル、エリーではないでしょうし。エレン、とうとう自分のことをジジイと認めたので?」

エレンは呆れたように冷めた目でアルを見た。

「アル、自分がどんくらい此処にいるのか分かってて言ってるんよな?」

「喧嘩なら買いますよ?」

「はいはい。喧嘩はこれが片付いたらにしてちょうだい。もう、エレンはすぐアルの年齢を茶化すんだから。もう寝るわよ。明日はガンダルヴェの確認をしてどうするかを決めるわよ。」

そう言ってしばらくは片付けをして私たちは眠りについた。

……ガンヴェリウスが居なくなった後、アスフィリウスはどれほどの苦労をしたのだろうか。

そんなことを思いながら私は深い眠りへと落ちていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は次の水曜日に出す予定です。

感想お待ちしてます。



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