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管理者アスラの夢帳簿  作者: ゆん
世界を望む少年編
32/35

私は......

世界は多くの願いが落ちている。

 ーお金が欲しいー

 ー空を飛びたいー

 ー過去に戻りたいー

いろんな願いだ。

もしも、どんなに実現不可能な願いでも叶うチャンスがあるのなら。

これはいろんな願いを持つ者たちと願いの管理者の記録。

「助っ人……?」

「ええ。元々はアルが一発特大の魔法を打ち込んで敵を壊滅状態にさせるのが想定だったそうよ。でも人質とられてたり、マシューが行方不明なのも管理者様は把握していなかったみたいね。」

フェンは安心させるように言った。

「マシューはアスラのとこにいるんじゃないの?」

「いつもはそうみたいなのだけど……。マシューだって自分の仕事があるわ。しばらく離れてたんじゃないかしらね。そしてヘマをしたと。やっぱりそろそろあの爺さんは引退するべきなのよ。」

「ふうん……。ね、バリスは?元気してる?」

ふと気になって聞くと、フェンは元気出たわね、と嬉しそうに微笑んだ。

「あの子はまだ悩んでいるわ。流石に喋れなくなるのはね……。」

そんな時、ぐぅーと間抜けな音がした。

私のお腹だ。

そういえば最後に食べたのはもうだいぶ前だ。

「お腹すいたのね。行きましょう。立てる?向こうでみんなご飯にしてるわ。」

フェンは私に手を差し出してくる。

私はその手をとって立ち上がると、フェンについて行った。

フェンの手はとても暖かった。


「大丈夫なのか?」

「落ち着きましたか。よかったです。」

鍋を囲っていた2人は口々に言った。

「心配かけちゃったね。ごめん。」

私は開いているところに座って言った。

「いえ。お腹すいたでしょう。……はい、どうぞ。フェンお手製の薬草モリモリキノコスープだそうです。」

アルはそっとお椀にスープをついで渡してくれた。

テルはよほどお腹が空いていたのか、サッとついで勢いよくお代わりしていく。

一口啜ると優しい味が口の中にいっぱいに広がっていった。

「美味しい……。」

「口に合ったようでよかった。私の師匠直伝のレシピなのだから間違いないの。まぁ、たまにこのスープを好かない人もいるのよね。」

「それはフェンの味覚の問題では?味のつき方がとっても薄いんですよ。」

「あら、じゃあアルは塩分過多で死にたいと言うの?流石は宇宙戦争をも経験したお方だわ。早死にが当たり前の世界だったから好き勝手にそんなものが食べれるのよ。私の時代には塩なんてそんな高級品滅多に手に入らなかったわよ。」

「……別に宇宙戦争なんてそんな壮大なものではないですよ。あの時代は戦争で死ぬ人が多かっただけで別に塩分過多が死因じゃないです。」

そう言いながらアルはテルに食べます?と聞いている。

「……それよりも。エリー、あなたはどうしたのですか?急に取り乱しましたよね。」

アルは心配そうにこちらを見てくる。

「わかんない……。ただ、嫌な思い出がずっと繰り返されてて。」

「嫌な思い出?」

「追いかけられたことと……殺しちゃったことと。多分それが……原因。」

「どういうことでしょうか……?」

ぽつぽつと話す私の言葉は3人を混乱させたようだ。

「人を……殺しちゃったのよね。その瞬間自体の記憶はないのだけど、みんながそう言うのだから私がやったんでしょうね。」

「人を?あれは魔蟲ですが……?」

アルは私は悪くないように言ってくれた。

「ううん……。ここにくる前。あの日……私は幼馴染を……好きだったあの人を殺した。」

言葉が口からこぼれた瞬間、どこかで線香の匂いがした気がした。


「……よくここに来れたわね。」

彼のことが好きだった子が泣きながらそう言った。

「神経疑うわ。殺したくせに。」

その取り巻きたちもそれに賛同していく。

私は自然と彼の元へ歩いていた。

もう動かない、もうすぐ燃やされる彼の元へ。

大好きだった幼馴染はもう目を開けることは無かった。

お坊さんの冷たいお経が告げられていく中、私は彼の棺桶に縋り付いて泣いていた。

何を言っても、もう彼の耳には届くことはなかった……。


ふっと昔の情景が思い出されて思わず顔をしかめてしまう。

「……何かあったのでしょうね。」

フェンは一瞬、言葉を探すように黙った。

「でも大丈夫よ。」

そう言ってフェンは暖かく私を抱きしめてくれた。

彼女のぬくもりが、胸の奥にじんわりと広がる。

「おい、器かせ。もっと食べろ。じゃないとまたナーバスになるぞ。」

テルも気を使うようにスープをよそってくれる。

「大丈夫。もう大丈夫だから……。もう何年も前の話だもん……。」

そう言って私は目元をこする。

そう。

大丈夫。

それはもう昔のことで。

謝りたかったな。

故意では無かったとしても、謝罪したかった。

そうしたかったけど、葬式の日以降、罪悪感で足が動くことはなかったのだ。


「……エリー、あなたは何を思い浮かべたのですか?」

まっすぐな目でアルは私を見てきた。

「あの日の雨。確か、雹も混じってたかな……。勢いよく打ちつけてきて。すごく痛かったことだけはハッキリと覚えてる。」

「そうですか……。エリー、あなたは人間です。あなたは人間じゃなくなったかも、と言っていましたが、そんな勝手に人間辞められると世界が壊れます。なので人間なのは確定ですよ。それは理解してくださいね?」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は次の土曜日に出す予定です。

感想お待ちしてます。



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