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管理者アスラの夢帳簿  作者: ゆん
世界を望む少年編
31/35

うるさい

世界は多くの願いが落ちている。

 ーお金が欲しいー

 ー空を飛びたいー

 ー過去に戻りたいー

いろんな願いだ。

もしも、どんなに実現不可能な願いでも叶うチャンスがあるのなら。

これはいろんな願いを持つ者たちと願いの管理者の記録。

「エリー、この子と後ろに下がっててください。」

「いや、こいつの相手は俺がやる。時間稼ぐから早くリルを安全なところへ送ってくれ。」

「ですが……。」

「お願いだ。」

真剣なテルの様子にアルは驚いたようだ。

「……リルは俺の家族なんだ。早く安全なところへ連れて行きたい。頼む。」

「わかりました。エリー、この子を運んでもらえますか?」

「わかった。リル、ちょっとじっとしてて。」

そう言って私はリルを抱き上げるとアルの後をついて行った。

「キャキャ!そうはさせるもんですかぁ!実験体の適合者をみすみす逃すわけにゃぁいかないっ!」

「あんたの相手は俺だ。行かせねぇよ。」

そんな声を聞きながら私は走った。


アルが急ピッチで魔法陣を描きあげていく。

私なら絶対にこんなスピード出すことは出来ないな。

そんなことを考えていると魔法陣ができたようだ。

「さぁ、ここへ。あなたをフェンの元へ送ります。きっとフェンは家にいると思うので……。フェンかエレンに伝えて下さい。ガンダルヴェへ集合、と。」

「ガンダルヴェ?」

「……暗号の1つです。エレンたちならすぐに理解するでしょう。頼みましたよ。」

「うん。エリーは?」

「私は残る。なんかここにいるべきってアスラに言われてるって。」

「……気をつけてね。」

「では発動させます。」

魔法陣が光だしたその瞬間だった。

ババババッと何かの大きな音がこちらに向かってきた。

「何⁉︎」

それは虫の大群だった。

大量にいるせいか、漆黒の1つの塊のようだった。

「逃げて!今は動けない!」

そんなアルの叫び声が聞こえる。

が、私の脚は動かなかった。

黒い塊は無常にもこちらへ近づいてくる。

「何かはっきりと想像して下さい!あれをなんとかする何かを!」

「何かって……。」

塊はどんどん近づいてくる。

……あぁ、この塊が地面に落ちればいいのにな。

なんかドバーッて上から出てきたらいいのに。

そんなことを考えていると頭上が急激に暗くなり、何かが勢いよく降り注いできた。

「痛っ!何これ……?」

よくよく見るとそれは雹だった。

一塊が3、4センチはありそうな感じだ。

虫の方を見ると、最初の方はなんとか耐えていたが、耐えきれずに地面に落ちてしまったようだ。

よく見てみると、羽がもげてしまった個体や足が潰されてしまった個体もいた。

「ひっ……。」

思わず悲鳴をあげた。

中には雹で完全に頭が潰されてしまい、ピク……ピク……と悶えている個体が見えてしまった。

「大丈夫ですか?」

リルを送り終わったのだろう。アルがうわ……と呟きながらこちらへ駆け寄ってきた。

「私が……やったの?」

「ええ。エリーが。」

「私は……どうなっているの?」

「え?」

アルは困惑しているようだった。

しかし、私の眼中にはそんなことはなかった。

自分が自分でなくなったかのようで恐ろしかった。

「ねぇ、アル……。私はどうしちゃったの?」

「どうしたって……。どういうことですか?」

「怖いの……。私は人間じゃなくなっちゃったのかな……。そうだよね。おかしいよね。」

アルの表情には戸惑いが現れていた。

「エリー、あなたは……。」

アルが何かを言いかけたその時だった。

「ギャッ!」

そんな声と共に何かが飛んできた。

壁にド派手に衝突して行った。

あたりに土埃が舞い上がる。

「ッ!この俺様がここまで追い詰められるたぁ思わなかったぜ。……お。」

「!」

「こいつ……エリーを!」

私は気づいた時には空中にいた。

何が起こったのかわからなかった。

少し考え事をしていて……少し眠ってしまっていたようだ。

「キャキャキャ!こいつ今度は火を噴いてこねぇな!あのチビが逃げたんだぁ。代わりに俺様はこいつを連れていくことにしよう!」

そんな声が聞こえる。

私は捕まってしまったようだった。

しかしもうどうでもいい。

ただ静かに眠りたかった。

「……さい。」

「あぁ?」

「……さい。……さい。うるさい。うるさいうるさいうるさい!」

うるさい。

あぁ、私はただ静かに……。

そうか。

してくれないなら。

させればいい。

「黙れ。……あぁ、この口がうるさいのか。なら塞いでしまおう……。」

「あぁ?何だ……!」

あたりの空気がピキッとした。

「何だ……?この力……。」

「まずい!エリー!やめてください!そのままだとあなたも!」

後から聞いた話だが、この時の私は何を叫ぼうとも聞こうとはしなかったらしい。

ずっとうるさいと言っていたそうだ。

ただ、いとも簡単に甲高い声の主を凍り付かせると静かになったことに満足したのか、フッと地面に倒れたのだという。

私にはあの時の声が響いていた。

「あんたが殺したの!人でなし!あんたのせいで……蒲原君は……、蒲原君はっ!」


気づくと暖かい毛布に包まれていた。

ぐつぐつとした何かを煮込む音が聞こえてくる。

「……!エリー?大丈夫なの?」

久々に聞く声だ。

えっと……誰だっけな……。

ガンガンと打ちつけられるように頭が痛い。

「忘れちゃったの?フェンよ。相当頭を強く打ったようね。……ちょっと待ってて。今水を持ってくるから。」

フェン……?

「どうしてここに……?」

「リルって子がいたでしょう。あの子からの伝言を管理者様に伝えたら助っ人に行きなさいって。想定していたよりも規模が大きかったようね。」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は次の土曜日に出す予定です。

感想お待ちしてます。



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