みぃつけたぁ
世界は多くの願いが落ちている。
ーお金が欲しいー
ー空を飛びたいー
ー過去に戻りたいー
いろんな願いだ。
もしも、どんなに実現不可能な願いでも叶うチャンスがあるのなら。
これはいろんな願いを持つ者たちと願いの管理者の記録。
「あたた……。」
思わず呟くと、何をしてるんだと言いたげな目でテルに睨まれた。
「鈍臭いな。本当に効果残ってんのか?」
私も負けじと言い返す。
「知るわけないじゃない。なんかよく分かんないまま才華じゃね?だのなんだの言われてるんだから。」
テルが口を開いた瞬間、アルがパンッと小さく手を鳴らした。
「そんな言い合いしてても何にもなりませんよ。さぁ、少し移動しましょう。エリー、歩けそうですか?歩けないならテル、おぶってやって下さい。」
「大丈夫よ。衝撃が強かっただけ。」
そう言って私はスッと立ち上がる。
「なら良かったです。行きましょう。ここではすぐ見つかってしまうでしょう。付いてきてください。」
少し迷いながらも、向かった先は何の変哲もない部屋だった。
扉を閉めながらアルはしぃと口に人差し指を当てて静かにと言った。
「何をするんだ?」
テルがこそっと本当に小さな声で言う。
「まずはマシュー探しです。」
「マシュー?エリーの話だと死んだんじゃないのか?」
私も縦に首を振った。
あいつは確かに殺したと言っていた。
「マシューが本当に死んだのなら最初にエリーがイラヴェルナにきて、エリーと一回接触した後の話なのは確実なんです。」
「え、何でだ?」
「何でそう言い切れるの?」
そう2人で問うと、アルはちょっと誇らしげに言った。
「管理者様です。管理者様はイラヴェルナのことなら大体は分かるそうです。例えば、イラヴェルナにいる守護者たちについてとか。まぁ流石に住人全員までは分からないそうですが……。エリー、あなたが目覚めた時マシューと誰がいましたか?」
そう言われると……。
「アスラだ。」
「そう、管理者様なんです。マシューはかなり管理者様のサポートをしていまして、その多忙さから願有者の守護はあまり行わないんですよね。だからこそ、彼が担当するのはもう叶った願いか、必ず管理者様と共に願いを聞いて即叶えるかの二択なんです。――ちょっと話が逸れましたが、管理者様の隣にいる守護者が偽物なら即座に反応していたはずなんですよ。」
「そうか。それならそうなるな……。」
テルも納得したようだ。
「……でもどうやって探すの?分かるの?」
ハッとした顔でテルはアルを見た。
「そうだぜ。どうするんだ?」
アルはそこまで何とでもないような顔で言った。
「偶然にもここにいますよ。そういうのが得意なのが。」
「エッヘン。マカセロ。」
ちょっと得意げについてきていた2号が胸をはる。
「こいつがか?」
疑わしそうにテルが首を傾げる。
「ええ。大丈夫ですよ。この子らはそれぞれ専用の機能を持たせてあります。2号なら、捜索用ですね。遭難した人の捜索とか。」
「そうなんだ。すごいね。」
褒められてるのが分かっているのか、2号はまんざらでもない様子だったが、2号はフッと目の色を変えて言った。
「静カニ。近クニ、何カイル。」
一気に緊張感が私たちを襲った。
「どこにいる?」
アルの方を向いていた2号の顔はバッと扉の方を向いた。
「……ッ!スグソコッ!」
テルが聞いた瞬間、目の前の部屋の扉が勢いよく吹っ飛んだ。
暗い室内だったせいか、扉を吹っ飛ばした犯人が逆光であまりよく見えない。
ただ、背丈がかなり小さく、その手にはかなり鋭そうな爪が生えていた。
声は姿に似合わずかなり大きかったが。
「キャキャキャ……。そうさぁ、ここだよぉ?おめぇらの声バカでかかったからさぁ?みつけちゃったぁ。」
不思議なイントネーションの声を放ちながらそいつはヒタ……ヒタ……と少しずつ部屋の中に入ってきた。
「まずいです……戦闘して潜入がバレては良くないですね……。」
そういうアルは一見あまり慌てていないように見えるが、彼の手は少し強張っている。
「……なぁ、コイツが言っていたルーってやつか?」
「流石に違うよ……。」
「だろうな……。どうするんだ?」
「うーん……。エリー、味方ではないのですね?」
「うん。」
私の返事を聞いた瞬間、アルはパッと叫んだ。
「…………、我が敵を捕らえよ!」
アルの手がパアッと光り、その光から縄が飛び出して敵を締めつけていく。
しかし、敵もやられっぱなしではなく、なぜか簡単に縄からスルスルと逃げ出していく。
「なんだなんだぁ?キャキャキャ……、こんなんでオイラは捕まんねぇぞぉ!」
敵はひょいひょい飛び回っている。
「テル、どうにか手伝いなさいよ。」
テルに言ったが、テルはあまり乗り気ではないようだった。
「どうにかって……。俺の起こす風刃じゃあの縄切っちまう可能性があるからなぁ……。アルがぶちぎれると思うんだよ。……エリーこそなんかやったらどうだ?」
「はぁ?こんなか弱い女子にそんなことさせるの?だからモテないのよ。」
そんな言い合いをしていると、ため息をついたアルが言った。
「ちょこまかと……。小賢しいものですね。」
イライラしてきたのか、アルはいつもより暗い声だった。
「もういいです。あなた達は先へ行ってください。2号、頼みましたよ。私はこれと遊んでから行くので。」
「……我ガ主ノ仰セノママニ。アマリ無理ハサレヌヨウ。コッチ!」
2号はスッと深いお辞儀をアルにして私たちの前をパタパタと進み出した。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回は次の土曜日に出す予定です。
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