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管理者アスラの夢帳簿  作者: ゆん
世界を望む少年編
24/35

鈴のお方

世界は多くの願いが落ちている。

 ーお金が欲しいー

 ー空を飛びたいー

 ー過去に戻りたいー

いろんな願いだ。

もしも、どんなに実現不可能な願いでも叶うチャンスがあるのなら。

これはいろんな願いを持つ者たちと願いの管理者の記録。

気が付くとそこはよく目を凝らさないと見えないほど暗い部屋だった。

唯一ある小さな窓からは、かなり強い吹雪の中にいることがわかる。

「寒い……。」

白くなった息が出てくることに気づき、かなりの薄手の洋服にイラついてきた。

まぁ、借りものなのでどうすることもできないが。

「どうしよう……。」

そう呟くが、どうすることもできない。

寒さで意識が朦朧としていて、状況は刻々と悪化していることを認識することしかできなかった。

体の震えが止まらない。

頭の奥が鈍く痛み、思考が霞んでいく。

まぶたが重い。

このまま眠ってしまえば、楽になるかもしれない。

……でも、ダメだ。眠ったら——。

もう何もできない。

ここで死ぬのか……と絶望していると、奥の扉が少し開き、知らない人が部屋の中に入ってきた。

「……生きてるか。流石、あの方が目をかける訳だ。」

そう言いながら謎の男は少し私に癒しをかけながら言った。

「安心しろ、俺はあんたの味方だ。まぁ、あんたからして敵として振る舞うがな。」

「……どういうこと?」

震えがおさまり、相手を観察する余裕が出てきた。

その人はベト、と名乗った。

糸目で何か裏切られそうな雰囲気だ。

「詳しくは言えねえが、あんたの味方の立場であることには変わらんさ。他の奴らがいる時は敵だから、助けねぇからな。あ、これやるよ。あったかいだろ?」

触るとホカホカする小さな湯たんぽみたいなのを渡してきた。

「……信じて良いの?」

どうしても信じる気にはなれなかった。

ベトは胡散臭そうな微笑みを貼り付けている。

「信じた方が良いと思うぞ?ここには他の守護者たちはいねぇからな。」

「ベトは守護者なの?」

そう聞いた瞬間、誰かの足音が響き渡った。

すると、ベトは質問には答えずに微笑みを顔から消すと、私の腕を掴み上げて引きずって部屋から連れ出した。


私が連れて行かれたのは祭壇の前だった。

燭台で紫色の炎が怪しく揺らめいている。

「鈴のお方よ、この者が管理者に保護されて連れ戻した呼応者でございます。」

ベトはうやうやしく祭壇に置かれている大きな椅子に座っている誰かに向かって頭を下げながら言った。

誰かは興味深そうにこちらをみてくる。

「ほう、こやつがか……。」

「私めが呼応でやってきたこの者を回収しようおした際に管理者に保護されてしまったのです。」

そう発言したのはマシューに化けていたやつだった。

「そなた、名前は?」

「……何で答えないとなの?」

あまりにも上からの目線すぎてムカってなった私は負けじと言い返す。

「普通は自分から名乗るべきじゃない?」

「おい、死にたいのか?」

ベトが言うが、祭壇に座っている人――鈴のお方はまさか言い返されるとは思っていなかったのか、驚いていた。

「ほう、我にものを申せるほど支配が弱まっておったか。我が名はグラントと申そう。そなたの名は?」

「……エリー。あんたがあの頭の痛くなる鈴の持ち主?やめてくんない?あんたが私を呼び出したとか言ってたけど何なの?パワハラじゃない?」

「名乗るんだ……。」

そう言うベトは私の勢いに引き気味だ。

「……パワ、ハラ?何だそれは?我はそんなことした覚えはないぞ?」

「パワーハラスメント。パワハラは、職場などの上下関係や立場の優位性を利用して、相手に対して精神的・身体的な苦痛を与えたり、不利益を強いたりする行為を指すの。あんた何様なのよ?私あんたの部下になった覚えもないし。」

色々あったせいか、空腹でたまらない。

それもあってか、私の勢いは止まらない。

「うーむ……一応あやつは人間なのだろう?何故そんなに我に逆らえるのだ?」

そんなことをヒソヒソとマシューもどきと話している。

「ねぇ、聞いてんの?コソコソしてんじゃなくてもっと堂々としなさいよ。だからこんなめちゃくちゃ寒いへんぴなところにしか住めないのよ。そもそもね……。」

続ける私をチラッとみてため息をついたグラントは一言言った。

「追い出せ。騒がしくて敵わん。」

「⁉︎ですが……。」

「こんなにうるさいと邪魔にしかならん。鈴の呪いの効果も薄そうだしな。面倒なら殺してしまえ。」

「はっ。」

「えっ……。」

思わず呟いてしまった。

そうして私は何故か鈴のお方のところから解放されたのだった。

かなり不名誉な方法だったが。

「殺した方が良いんかな?」

「どうなんだろう?」

そんな話し合いが後ろで行われてる中、私はめちゃくちゃ寒い外へと追い出されてしまった。

「ちょっと、こんな天気で放り出そうって言うの?人としての心はないの?」

流石に吹雪の中は嫌なので言ってみるが、グラントの部下たちは話を聞いてくれない。

「いや、追い出すだけで良い。こんな格好のやつが吹雪の中生きていられるとも思えんだろ。」

「それもそうか。じゃあな、達者でな。」

そう言うと、ベトと部下たちは無情にも私を締め出してしまった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は次の水曜日に出す予定です。

感想お待ちしてます。



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