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管理者アスラの夢帳簿  作者: ゆん
願いの見えない少女
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部屋の外

世界は多くの願いが落ちている。

 ーお金が欲しいー

 ー空を飛びたいー

 ー過去に戻りたいー

いろんな願いだ。

もしも、どんなに実現不可能な願いでも叶うチャンスがあるのなら。

これはいろんな願いを持つ者たちと願いの管理者の記録。

此処にきて数日が経った。

ご飯はマシューが持ってきてくれた。

申し訳ないので手伝いを申し出たのだが、

「お嬢ちゃんはお客人なのだからいいんじゃ。好きなようにくつろいでくれ。まあ、迷子になるだろうからあまり出歩くことはオススメせんが。」

と笑って断られた。

だから此処はどこにあるのか、何のためにあるのか、此処で何をしているのか全く分からないまま過ごしていた。

本当何をして過ごしていればいいのか分からず、部屋の探索をしていたが、それでもまだ全然1週間探索してもし足りないほど広い。

いくつかの箱が積み上げられているのを見て、中が気になった。

何が入ってるんだろうか。

ここについて何かしら情報がないだろうか。

適当に机の上に置いてある箱を開けてみると、その中にはなぜか私の昔のアルバムがあった。

「……っ!」

思わず床に投げつけてしまった。

見たくないし、思い出したくもない思い出がよみがえってくる。

最悪の気分だ。

勢いのままそのアルバムをめちゃめちゃにちぎってそばにあったゴミ箱に投げ込んだ。

「なんでこんなとこにこれが?」

冷静さを取り戻しながらつぶやいた。

こんなものがここにあるなんて……。

あり得るはずがない。

やはりここは異世界みたいな感じなんだろうか。

そんなことを考えていたからか、疲れてきた。

考えたって分からないし、と考えることをあきらめ、とても広く、散らかっている部屋を見回した。

そろそろこの部屋にも飽きてきたころだった。

確かにマシューが持ってくるご飯は美味しいし、窓から見える景色はすごくきれいだ。

変わり映えしないけど……。

ふと部屋の探索もそこそこにして外にでも行ってみようかな?と思い立った。

そういえばあれからアスラに会えていないし。

なんでここに私のアルバムがあったかも知りたいし。

とりあえずはアスラ探しでもしてみるか。

そう思い、マシューがよく出入りする扉のノブを回してみた。

……。

開かなかった。

内側から開かないようにでもなっているのだろうか。

外の音が拾えたらとそっと耳を扉に押し当ててみた。

かすかだが、何かが何かを引きずるような音がする。

……?

何かが扉の前を通ったようにも感じられる。

怖くなり、少し後ずさった。

やっぱり部屋の探索を続けていようと思い、後ろを振り向いたそのとき、ガチャ、とドアの開く音がした。

え?

さっきは開かなかったのに?

恐怖で体が動かない。

冷汗が止まらない。

 

「なにかあったのかの?」

そんな声がした。

扉を開けたのはお昼ご飯を持ってきてくれたマシューだった。

不安が一気になくなり、私はその場に座り込んだ。

「どうしたんじゃ、嬢ちゃん?」

テーブルにご飯を載せながらたずねてきた。

「扉があかなくて、何かが通る音がして……。なのに急に扉開くから、びっくりしちゃったの」

簡単に状況を説明した。

ああ、とマシューは扉の前に立つと扉を開けた。

「少し立て付けが悪くての、開きづらくなってるのじゃ。すまんの。この部屋に入るときはそこまでなんじゃが……。後で修理してもらうとするかの。」

マシューに開けるコツを教えてもらいながら、外に出るときの注意点を教えてくれた。

「此処、イラヴェルナでは願いを叶える場所で、願いを叶えるために此処に滞在しておる者がいる、それは知っておるじゃろ?」

確かそんなことも言っていた気がする。

「じゃが、その者らとは別に守護者と呼ばれる少し特別な者がおってな。そやつらは此処を守る者たちでの、基本おとなしい者たちなんじゃが、中には好戦的すぎる者もおっての。まあ、あまり関わらぬ方が良かろう。」

え、怖。

「守護者がいるってことは何かから守られてるということなの?」

「まあ、そういうことじゃな。少し前からいろいろあっての、守護者たちの気がたっておる。注意した方がええじゃろう。ああそうじゃ、上の階の方には行ってはならんぞ。危ないからの。」

危ない?窓に手すりとかが無いとかかな。

「分かった。気を付けるよ。」

まあ何とかなるでしょう。

じゃあ許可も下りたことだし、ご飯を食べたら少し外を見て回るとしますか。

あ、そうだ。これだけは聞いておかなくちゃ。

「アスラがどこにいるか知ってる?」

「アスラか?アスラは……今少し急用で此処にはおらんぞ。あと数日は戻らないはずじゃ。」

「そっか……。」

「なんじゃ?願いがきまったのかの?」

「いや、そういうわけではないんだけど。最近会えてないからどうしてるかなって。」

「ああ、そうか……。」

明らかにがっかりしていたが、まあ、そんな簡単に決まるものではないよな、とマシューはつぶやいた。

「まあ、願いが決まったら教えておくれ。夜ご飯は20時頃で良いかの?」

「うん。それくらいには戻るね。ありがとう。」

そこまで話すと、マシューは用事があるからと部屋から出て行った。


お昼を食べて、外に出る準備を整えて、扉を開けた。

さあ、探索開始だ。

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