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燦々  作者: 狐猫
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34.殺気と逆転

「どうも〜皆さんこんにちは〜」

 

 殺気込められた視線が4つ俺に集められた。それとパニックになってる未来ちゃん。俺は安全に帰れそうもない。

 

「お前は誰だ」

「あら、日本語話せるんですね。では、俺の目的をお伝えしましょう。その子を返してください」

 

 ロシア人は日本語が流暢だった。話が通じるなら交渉の余地がある。

 

「なんでだ」

「そちらが無理矢理連れてったからですよ。広場の子供たちを助けてる立場の人間なんですよ私は。いなくなったら助けに来るのも仕事です」

「そりゃ御苦労さまだね」

「そんで?返してくれるの?」

「それは無理かな。彼女は自分からついてきたんだから」

 

 自分から着いてきたか。未来ちゃんは脅されているだろうから、未来ちゃんに直接確認しても無駄だろう。こちらから更にジャブでも仕掛けるか。

 

「このタバコに関係でも?」

 

 目付きが鋭くなった。

 

「ほぉ…お前そのタバコ持ってるのか」

「まあね。このタバコは既製品じゃない。お前らが配ってるものだろう」

「妙に詳しいな」

「調べてるからね」

 

 明らかに警戒をし始めた。幸いまだ他の奴らは静かにこちらを見ているだけ。

 

「なんのために」

「子供たちが危険な目にあってたから。それだけだ」

「立派なやつだな。正義感で動く馬鹿なのかお前は」

 

 畳み掛けるように相手を逆撫でしよう。

 

「お前たちが変なタバコを配るとこちらは迷惑でね。配りにくいように仕向けさせてもらったよ」

「なんのことだ」

 

 こいつらは俺がやったことに気がついていない。これを言ったら半端ないほど苛立つだろう。だが、それでいいのだ。そうでもしないとこいつらのタバコ配布は終わらない。あの少年や未来ちゃんに次ぐ被害者を出したくないからな。

 

「ハッシュタグ燦々広場にタバコの写真を載っけるよう仕向けたのは俺だ。どうだ?お陰で配ってるあんた達の顔は割れた」

「あの投稿!お前だと!」

「そう。俺が指示して始まったんだよ。これ以上タバコで迷惑かけて欲しくなくてね。少しでも抑止力になれば…と思ったが、まさか本人達に行き着くなんて思いもしなかったよ」

 

 目の前の男は苛立っている。苛立っているということはやましいことがあるということ。このタバコは普通のものじゃない。そうでも無いとこんな表立って苛立つ訳ない。これ以上おちょくったらすぐにでも殴られてしまう。未来ちゃんに声でもかけてみるか。

 

「未来ちゃん。帰ろういつもの場所へ」

「え…あ…」

 

 やはり即答はないか。ロシア人達の顔色を伺っている。可哀想なことに完全に恐怖で従わされている。これはこいつらをどうにかしない限りは連れて帰れそうにない。このまま俺が素直に帰して貰えるという保証は完全に無に帰した。無傷で帰れたら奇跡と呼べる。

 

「クソ!テメェ!俺らの邪魔して楽しいのか」

「楽しい?かもしれないね。何を企んでいるのか分からないけど、企みがただの青年1人の行動で崩壊するんだ。それは人間として楽しいだろう?」

 

 やりすぎたか。目の前の男は俺の心配を上回る速さで俺に向かって来た。

 

「グハッ!!痛っ!!」

 

 俺は気づいたら後ろに吹っ飛んでいた。お腹の部分が有り得ないくらい痛い。呼吸も乱れている。腹部を思いっきり蹴られたのだと頭は判断するが、俺の身体はパニックを起こしており、まともに脳の処理を受け付けない。

 

「やりやがったな」

「お前1人で来たのか。アホだな。おいお前ら」

 

 そいつの合図で他の3人も動き始めた。これはリンチされる流れだろうか。俺の綺麗な身体もここまで。これから先は傷のある身体と生活だ。俺は両腕を持たれてサンドバッグ状態にさせられた。

 

「よし。痛い目でも見てもらおう。俺らの邪魔したことを後悔しな」

「へへっ。後悔しないよ」

「減らず口が。オラッ!」

「ウッ!」

 

 またもやいい蹴りが俺の身体に入った。幸い致命傷にはなってないので意識は保てている。未来ちゃんは目の前の出来事にただただ怯えていた。ごめんよ未来ちゃん。怖い思いをさせて。あとちょっとの辛抱だから。

 

「さて、次は顔かな。行くぞ!歯食いしばれ!」

 

 俺は目をつぶった。

 

「警察だ!」

「な!?」

「暴行の現行犯で逮捕する!無駄な抵抗はよせよ!!そして、その男を解放しろ!」

 

 俺は目を開けた。

 

「ハハッ…田村さ〜んナイスタイミング〜」

 

 俺はどうにか開放された。

 

「テメェ!1人で来てるんじゃねえのか」

「地下には1人で来たさ。上には仲間がいる。あんたの不運は俺が警察の人と知り合いだったこと。事前に上の仲間にお願いして警察へ連絡いれたんだよ」

「チッ…」

 

 続々と警察官は地下に入ってきた。こんなに人数必要かと疑うくらい。こいつらは警察に任せよう。未来ちゃんが心配だったので、未来ちゃんの元へと向かった。すると、携帯が鳴った。非通知設定。こんな時にかけてくる人間で非通知設定なんて1人しかいない。出たくないが出ない方が後々めんどくさい。仕方なく電話に出た。

 

「はい。もしもし。何でこのタイミングでかけてくるんですかシェリーさん」

 

 返ってきた声は全く違う人間の声だった。

 

「ほぉ。残念ながら君の思ってた人とは違う人間からの電話だよ」

「え!?男…??誰だお前」

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