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燦々  作者: 狐猫
15/40

15.答え合わせと発見

 1ヶ月後

 とうとう井出から連絡が来た。

 私はかなり今苛立っている。井出にではない。あの犯罪者達にだ。どうやら少し綻びが出たらしい。川崎が再度麻薬に関わったのではないかと警察にそれらしき情報が入ってきたのだ。執行猶予中の身である彼はもちろん疑われて1週間前に任意同行を求められて現在も拘留中。当人は否認しているし、私は彼がやっていないことはわかるが説明なんてできない。だからこそこの井出からの連絡をいらいらしながら待っていたのだ。

 

(どうにか情報を入手した)

(どのような情報ですか)

(今日彼が現れる可能性のある場所)

(今日ですか。場所は)

(歌舞伎町二丁目)

(詳細ありがとうございます)

(行って話を聞くのか)

(えぇ)

(変なこと考えるなよ)

(えぇ)

(現れる場所って情報だけでもかなり驚かれると思ったんだがね)

(驚いていますよ)

 

 リミッターが外れない事を祈っててくれ

 

(そこに行く前に会おうや)

(なぜですか)

(残りの20%聞きたくないか)

(……わかりました)

(じゃあ23時半パープルで)

(スタンプ)

 

 今日は仕事にならないが幸い夜勤なので、警察官の格好で華舞伎町内を歩くことが可能だ。1人で歩くことはできないが、これは嘘をつけば簡単だ。約束の時間が近づいてきた頃私は田村さんにこう話した。

 

「井出晴人から連絡があり、川崎康太の件について情報提供の可能性があるとのことです」

 

 田村さんも私の影響で川崎にはかなり肩入れしている。好反応があった。

 

「よし、なら聞きに行くぞ」

「いえ、私1人で来て欲しいとのことです」

「理由は」

「信頼のおける人物にのみ話したいと。じゃないと話さないとの事です」

 

 私と井出が連絡先を交換しているのは知っている。なのでこの嘘は嘘であり真実である。

 

「なるほど…わかった認める。但し、何かあり次第私も向かう」

「了解しました」

 

 これで1人で出歩ける。早速一丁目のパープルへと向かっていった。半興奮状態なので頭が異常なほど活性化している。ネオンがいつもより数倍も眩しい。鬱陶しい。

 駆けつけると店の前に彼はいた。

 

「井出さん」

「来たかい」

 

 妙に落ち着いている。嫌な予感もする。

 もうここまで来たら聞くしかない。

 

「わかったことってなんですか」

「残りの20%はあんた達警察を上手く使う事だ」

 

 急に言われて驚けなかった。

 

「私達を?」

「そうだ」

 

 意味がわからない。どうやってだ

 

「逮捕され、執行猶予がつくとどうなる」

「リストに載って悪いことをしないように定期的に検査され、監視されます」

「監視される事が目的だ」

 

 どうゆう事だ、まるで意味がわからん。

 

「わからないです」

「裏で仕事をするという事は裏の組織同士ぶつかる事があるってことなのよ」

 

 それはわかるが

 

「急にズケズケと自分達のテリトリーで他の組織の人物が仕事されたらどうよ」

「嫌なんですかね」

「あぁそうだ。じゃあそういうやつがいたらどうする」

「拉致とかですか」

「大っぴらにはできない。お互いに不干渉な体だからな。正解はバレないように落とし前をつけることだ」

 

 落とし前。聞いたことはあるが見たことは無い。現実にあるなんて信じれない自分もいる。

 

「落とし前するのに彼の寝込みを襲いたいが本当の彼は警察の監視がある故に近づけない」

「そう。それ以外の時間偽物に組織の幹部クラスの人間がつけば完全犯罪の完成」

 

 狙われても本人は警察の縄の中。簡単に手は出せないし警察に通報など自分達の立場を知っていれば無理なことくらいわかる。同じ人物が2人いるなんてわかっていなければ手を出すことは不可能なのか。

 どうやら私達はいいように使われているようだ。

 川崎も使われ、警察も使われるという最悪のシナリオを組まれてそこに吸い込まれていった私達。完全敗北という言葉が合うがこのままでは終われない。奴らを少しでも追い込みたい。どんな方法でも。

 

「井出さん、なんであなたはそこまで情報を」

「んーーまぁあんたになら言って大丈夫だろ」

 

 そう、これもかなり気になっていたことだ。探偵を雇えば調べられるかもしれないが彼は長期的にそして最先端な情報を持ってくる。探偵を長期的に雇うことはないだろうと勘ぐっているので、思い当たるのは1つしかない。多分それは正解だろう。こんな危ない危険と隣り合わせの場所だ。情報屋の1つや2つはある。

 

「裏の情報屋ですね」

「わかってんじゃん。こちら裏側にも裏側なりのトレンドとかがあってね。お金を払えばそういうの教えてくれるの。その情報屋がどこと繋がってるかはさておきだけど」

 

 そこが絡んでいるから情報が早いのだ。裏事情は彼らの方が詳しいので秘密裏に警察が情報屋に情報提供を受けることもある。

 

「よほどそこの方々と仲が良いようで」

 

 この時の私の顔は意地悪だっただろう。


「そういうことだよ。可愛がってもらってるからこんな情報手に入るのさ。生きていく知恵身についてるんでね」

 

 井出が続けた

 

「なぁ兄ちゃん。なんであんたそんなにこの事件に肩入れするんだ。気になるからという理由では片づけられないほど深入りしている」

「それは」

 

 私達の会話を止めるように雨が降り始めてきた。

 

「雨ですか」

「不吉だねえ」

「え?」

「勘だよ。放っておけ」

 

 その悪い勘。当たるかもしれないな。

 

「理由は全て終わってからで。じゃあもう聞きますよ。ヤツの現れる場所」

「どれを終わりとするか不明だが、いずれ聞ければいい。時間ないからね。2ブロック先の路地右。30分後」

 

 もうそんな時間なのか。

 早く行かなくては。

 ケリをつけにいく。

 

「わかりました。では」

「おい、もう行くのか。揉め事は大きくするなよ」

「えぇ早く行かないと間に合わないので」

 

 頷く。

 雨は強くなってきている。これは私を止めるための雨なのかそれとも…

 走ってその問題の場所へ向かうと、重々しい雰囲気の路地があった。ここだ。

 呼吸を整え、警察の装備を確認し、いざ侵入。

 心臓はかなり早めの鼓動を打っており血圧もどうやら高そうだ。

 それも長くは続かなかった。アドレナリンが急分泌から無分泌へと切り替わった。

 いたのだ。川崎康太が。

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