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燦々  作者: 狐猫
10/40

10.判決と協力

 1ヶ月後

 井出と会って以来めぼしい情報が出現した気配もなく、信号がずっと赤のような進行具合となっていた。そう、全く進まない。やはりあれ以上の情報は出てこないらしく、いかに犯罪グループが跡を濁さずに去っていったかがわかってしまう結論になってしまった。

 そして、そのまま迎えた今日が川崎康太の裁判初日である。我々は仕事があるので傍聴することはできないので、どうなったかは自分で調べる他ない。田村さんの言ってた通り有罪だろう。懲役1年執行猶予付きが妥当か。彼は身寄りがいないから分からないかもしれないが、有罪判決が出たら速やかに車を放棄して、免許を返納した方がいい。執行猶予はただ再度犯罪を犯した時につかまるのではない。事故を起こしても執行猶予の規定に当たる可能性が高いので盲点である。車が実は1番怖かったりするのだ。

 

 今日判決が出るものではないので心配するのはまだ早い。2週間後くらいであろうか判決が出るのは。彼としても麻薬の所持は認めていたが、運搬は自己判断ではないと供述していたので非営利目的だと判断されてもおかしくはない。弁護士次第ではある。

 

「太田疲れてんのか」

「いえ、大丈夫です」

「さしづめ彼の裁判のことだろう。気にするのはいいが1人に対して入れ込みすぎだ。注意しろ」

「その通りです」

 

 それを聞いていた他の先輩警察官が口を挟んできた。

 

「そんなに入れ込むほど思い入れのある事件だったの?太田君」

 

 確かに理由は不明ではあるが、彼は見捨てられないという私情がある。不思議だ

 

「なんか、単純に気になって」

「それで気にしてたらこの先やってけないよ」

 

 先輩の言う通りかもしれない。

 話が終わると田村さんがふんわりとした情報を提示し始めた。

 

「1ヶ月弱したら、私達に帯同の命令があるかもしれんからな。頭に入れとけよ」

「なんのですか?」

「言えない」

 

 この場合追って聞くことはタブーである。要するにかなり重要な事件に遣われるからだ。

 だが、まずは川崎康太の2週間後の判決を見てみよう。

 

 この日も裁判所に行く時間もないので報告を待つ形で彼の判決を待つことになった。相変わらず不祥事が多いから我々もやることが多い。集中できやしない。そんなことを思っていたら判決が飛び込んできた。

 書面にはこう書いてあった。

 

「有罪」

 

 そりゃそうだ。意外性はない。事実として受け止めるには準備は充分であった。

 

「詳細、被告人川崎康太を懲役1年、執行猶予2年とする」

 

 裁判官の声が聞こえたような緊張感と共にその文書を読んだ。これで彼が更生としたとしても彼の名前な裏の世界で使われる。彼の犯罪生活は穏やかではないままいつまで続くかも分からないトンネルを歩き回らなければならない。

 すると、急に田村さんに呼ばれた

 

「太田、白井、上からの命令だ。調査協力に向かうぞ」

「以前言っていたことですか」

「そうだ」

 

 よりによって今日か。気は乗らないが、行くしかない。

 

「内容はどう言ったものですか」

 

 白井さんが聞いてみた。

 

「マトリの協力」

「な!?」

 

 マトリ、麻薬取締官の通称である。この国で唯一厳正な手続き及び大臣の許可を得ることで麻薬の購入を許される人物なのだ。この際思い浮かぶのは麻薬取締官が密売人に接近しており、捕まえるのに協力してくれと言ったところか。

 

「目的地にマトリが潜入する。それを俺らはフォローして捕まえるぞ」

「了解しました」

 

 まぁ予想通りのことだな。今日か…

 

「場所はどこでしょうか」

「風俗店パープル」

 

 あまり嬉しくない場所である。その店は井出晴人の働いている店だ。また彼に会うことになる。私達はどれだけ彼に会うことになるのであろうか。これだけ警察官に頻繁に会うことになる一般人はそこまでいないし、一般人としても望んでいないことなはず。不運な男なのであろう彼は。

 

 とりあえず現場へ向かった。華舞伎町一丁目風俗店パープルへと。

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