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美央。愛せない。

「それでさ。落ち着いたの?」

優しい声だった。体を、心配し、メールだけでなく、何度も、電話を、くれる。

「うん。大丈夫。いつも、ありがとう。」

彼は、優しい。限りなく。不安な時、いつも、癒してくれるのは、拓斗だった。美央の、体を心配し、いつからか、定期的。いや・・・。一日に、何度も、連絡を、くれるようになっていた。あの時、拓斗の、告白を、受け入れ、付き合っていたら、幸せになれただろうか・・・。いや、自分が、愛さなければ、意味は、ない。自分が、拓斗を、愛していたら。・・・と、いう事になる。彼と、一緒にいたら、幸せで、平凡な、生活が、出来たかもしれない。

「何か、あったら、いつでも、連絡しれくれよ」

拓斗は、そう言うと、電話を切った。

「そうね・・・。」

何も、無い方がいい。余りにも、いろいろありすぎた・・・。嶺と、静かに暮らし、お腹の子を、育てたい。普通に、優しく、微笑んでくれる嶺が、傍にいれくれれば、何も、いらない。再び、携帯が、なった。

「はい?」

嶺から、だった。

「美央?話したい事が、あるんだ」

「話?帰ってきてからでも、いいのよ。今日は、遅いの?」

「いや・・。帰ってからでは、遅いんだ。」

嫌な予感がした。

「やっぱり。俺達。きちんと話する事が、必要だと思う」

「俺達?」

それは、自分と、嶺だけでは、ない気がした。

「莉音を、みつけた」

「!」

美央は、めまいを、覚えた。携帯を持つ手が、震えた。

「一緒なの?」

「一緒にいる」

「そう・・・。」

美央は、携帯を、みつめた。沈黙だけが、続いた。

「美央。俺。自分の、気持ちに、正直になりたい。子供を、産んで、欲しいと思っている。だけど・・」

「だめ。そこから先は、言わないで!」

「美央。言わせて欲しい。きっと、君だって、俺と一緒にいるのが、辛くなる時が、来ると思う」

「俺だって、君と、何を話したら、いいかわからない日を、続けるのは、辛い。美央は、言ったよね?心が、ないのに、傍に居られても、辛いだけだって。美央。君を、愛し、幸せにできる男は、俺じゃないんだ。」

「違う」

美央は、叫んだ。嶺の隣。電話の、向こうでも、言い争う声が、聞こえた。

「そこに、いるんでしょう?莉音さんを、だして!」

「だめだよ。美央。莉音は、自分は、また、どこかへ、行くつもりなんだ」

「嶺」

あたしと、莉音さんと、どちらが大切なの?と、言いたかったが、答えは、判っていたので、言えなかった。嶺が、愛しているのは、莉音なのだ。自分を、愛してくれた嶺は、過去の、嶺なのだ。今、ここで、話している男は、自分が、恋焦がれた男では、ない。美央は、ようやく真実に、気づいた。

「ひどいよ・・。どうして、こんな事を・・・。」

激しく、嗚咽がこみ上げてきた。携帯を、放り投げ、その場に、座り込んだ。どうして、こんな酷い目に、自分を、あわせるのだ。嶺に、対する怒り、悲しみが、こみ上げてくる。

「嶺のばか」

美央は、裸足のまま、家を、飛び出していた。



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