きっかけ・・・。
結局、メアドを、聞いてしまった莉音だったが、嶺にも、メアドを教えてしまう結果になってしまった。
・・・馬鹿だ・・・
落ち込む莉音に、美沙が、喜びを抑えきれない顔でやってきた。
「せんぱーい!ナイッスですー。いいことありました。」
嶺の、メアドを美沙に教えたのだから、いい事とは、その事であろう。
「ききたいですかー?」
フーンと鼻を鳴らしながら、美沙は、自慢げに言った。
「別に」
不機嫌に応えた自分が、意外だった。
「聞きたくないんですか?」
「ごめん。いま、忙しいから」
嶺から、メールがきて、嬉しいのだろう。実は、挨拶程度のメールなら、自分も来た。でも、それは、敢えて、美沙には、言わないでおいた。
・・・七藤嶺です。お手柔らかに、お願いします。莉音さんて、意外と抜けてるんですね?・・・
てな、具合に。
「でもさ。ほんと、名前だけなの。失礼しちゃうわ」
美沙が、見せた画面には、本当に
・・・七藤嶺です。よろしくお願いします。・・・
とだけあった。
莉音より、短い。
「確かに、先輩をとおして、無理にメアドきいたんだけど。あまりにも、あっさりすぎる」
嶺の了解を得て、美沙にメアドを教えたのだが、面識があまり、ないせいか、本当にあっさりした内容だった。
「まあまあ、初めてなんだし。そうそう男が、ダラダラ書かないわよ。今後ガンバルガンバル」
莉音は、あせりながら、美沙を励ました。自分宛の、メールの法が、少し長い。ちょっと、嬉しかった。これから、莉音への嶺からの、思いが届けられるとも、思わずに・・・。莉音は、嶺へと、少しずつ、距離を縮めていく事になる。