表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/48

2人のバレンタイン。

 結局、嶺は、美央に負けてしまった。美央に誘われるまま、思い道りにされてしまった。

無理矢理、嶺の別れ話を、否定すると、

・・・また、くるから・・・

と、言い残し、美央は、怖いほど、キツイ顔で、嶺のマンションを出て行った。

嶺は、ずーっと横になっていた。考えていた。その間、実家から、何度か、帰宅を問う電話がなっていた。

・・・自分は、どうすれば、周りを傷つけないで、すむのだろう、このまま、美央と一緒にいて、美央を傷つけないのだろうか?自分の気持ちに嘘をつく事が、出来るのだろうか?莉音と、少しだけでも、一緒にいたい。後で、別れる事になったとしても。いま、ほんの少しだけ、莉音と過ごす時間を許して、もらえないものだろうか?・・・

嶺は、深いため息をついた。


「ねぇ!ちゃんと、あわ立ててよ!聞いてるの?」

莉音が、イタズラして、生クリームを、嶺の顔につけた。

「聞いているよ!」

嶺は、ふざけてる莉音の、頭をこずいた。

「だって、ぼーっとしているからん」

莉音は、嶺に蹴りをいれた。

「普通、するかな!」

「普通じゃ、ないしー!」

こうして、嶺のマンションで、ふざけるのは、何回目だろう?最近、週に、2回は、逢い、一緒に食事をし、時間を過ごす事が、ふえていった。最初は、誰か、人に見られるのを気遣って、マンションや、隣の街で買い物していたが、次第に、2人で、映画を見にいったり、ドライブに行きたくなってきた。勿論、旅行も。メールで、いろいろ架空の旅行計画をたてたりした。

・・・いつかは、別れなければ、ならない・・・

時間を惜しむ様に、莉音を愛す。嶺は、時間を惜しむように、莉音との時間を大切にした。

・・・でも、もし・・・

嶺は、考えを打ち消した。

・・・いや。そんな・・・

出来る事なら、莉音とずーっと、一緒にいたい。嶺は、思っていた。

・・・もし。叶うなら・・・

嶺は、嶺の為に、料理する莉音の後ろ姿を、黙って、みつめていた。

「ねえ。莉音。」

嶺は、莉音をそっと、後ろから抱きしめた。

「どうしたの?急に・・・。」

莉音は、嬉しそうに振り返った。

「旅行行きたい」

「旅行?また、なんちゃって、旅行の話?」

「違う・・・。本当の旅行。」

「行きたいね。」

「そうじゃなくて」

嶺は、向きなおった。

「行こう。うん。時間は、作らないとだよ」

「えーっ!まだ、ティラミス出来てないんですけどー!」

嶺は、無理矢理、莉音の手をひくとパソコンの前に座った。

「どこいきたい?」

「本気?」

「本気」

嶺は、莉音を前に座らせた。

「予約を入れて。後は、休暇願いを出すだけ。俺は、当日、腹痛かな?」

2人で、笑った。嶺の胸には、莉音からのチョカーが、光っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ