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第十七話悲報



ミツナさんの修行が始まって3ヶ月が過ぎた。

初めに言われた様に動体視力を鍛え、体の使い方を教わり、剣の使い方まで学んだのだ。

最近では僕とコトリで実践形式の試合を行ったりもする。

コトリの方はともかく、僕は一応魔法をも使えるのでそれを教わったりしている。


「レイナよ。今日より教えるのは勇者にとっても最も大切な魔法……身体強化魔法じゃ」


「身体強化って……支援職がやるんじゃないんですか?」


「一般的にはそうじゃな。それでは、まずそこから教えるとするか……。そもそも身体強化魔法はどういった職業が使える?」


「うーん……代表的なのは付与術師ですよね?他には魔法使いや回復師、魔法剣士もそうでしたよね?」


「そうじゃな。勇者パーティーなら聖女がそれに当たる。それらの職業に共通することは何じゃ?」


「……近接戦闘が苦手……とか?」


「正解じゃ!魔法剣士は魔法で強化すれば近接戦闘も出来るが、正直器用貧乏にしかならん。つまり、身体強化魔法というのは自分に使う魔法ではなく人にかける魔法という前提なのじゃよ」


「たしかに……支援職が強くなっても正直戦闘ではそこまで役に立てない……」


「しかしな、ネックなのはどの強化魔法も人にかけるより自分にかけた時のほうが強化倍率が高いということじゃ。例えば身体強化を自分にかけた時4倍に出来る人がいたとして、その人は他人にかけたら2倍になってしまうんじゃよ」


「つまり、身体強化魔法は本来近接戦闘の職業が持つべき魔法なのに近接戦闘の職業は覚えることができない……」


「それで、普通のパーティーでは支援職がパーティー全員に強化魔法をかけるんじゃよ。結界を張ったりしてのう」


「もし肉弾戦が強くて、身体強化魔法も自分で使える人がいたら最強ですね」


「そう、それこそが勇者なのじゃ。勇者が最強と言われている理由は数多くあるが、その一つが自分で身体強化魔法を使える点じゃ。近接戦闘が出来て身体強化魔法も自力で使える職業は今の所勇者のみなのじゃよ」


「なるほど、だから僕に身体強化魔法を教えるんですね!」


「ああ、これを使える様になればお主も模擬戦でコトリに勝てる様になるかもしれんぞ?」


「うっ……痛いところを」


「仕方があるまい。コトリの聖騎士は魔法を覚えられない代わりに身体能力が底上げされるからのう」


「分かりました師匠。僕に身体強化魔法の使い方を教えてくだ……」


その時、道場に王国騎士団の人がやってきた。

えらく慌てた様子でこちらに向かってきたので少し驚いていると、言いにくそうな顔で語り始めた。


「ご報告……申し上げます。たった今入った情報によりますと、勇者様方の故郷であるボッティチェリ村が魔王軍の襲撃を受けて……その………村人が全員……遺体となって発見されました」




………………………………

………………

……



騎士団から村の襲撃の情報を聞き、僕達は急いで村に帰ろうとした。

しかし、もう遅いと言われて今日の修行は一旦中止となった。

村に突然魔王軍が攻めてきたらしく、騎士団でもそのことを察知出来なかったのだそうだ。

魔王軍の軍勢の中には幹部もいたらしく、例え騎士団が出ていても勝てなかっただろうとのことだった。

コトリは俺の部屋でうずくまって泣いていたが、やがて泣き止むと問いかけてきた。



「……ねぇ、村のみんな死んじゃったんだってね」


「……らしいね」


「……母さんや……父さん…ココアも死んじゃったのかな?」


「……ココアの死体だけ見つかってないらしい……けど、正直生存は絶望的だって」


「ねぇ……魔王軍って何で私達を襲うの?」


「面白いから……らしいよ」


「ねぇ……私達は殺し合いに参加しなきゃならないの?」


「うん……それが運命だから」


「ねぇ……何であんたはそんなに冷静なの!」


「冷静なもんか。はらわた煮えくりかえりそうだよ。今すぐ魔王をぶっ殺したくて仕方ない」


「でも、恐ろしく強いんでしょ魔王って」


「それがなに?関係ないね。構わずぶっとばすよ」


「そのためには力を付けないとね」


「そう…だね」


「師匠の所に行こうか」


僕達は師匠の塔に行く事にした。まだ甘かったのだ。僕は勇者になれたことが嬉しくて使命とかそんな大層なことを考えてはいなかった。今日分かった気がする。人類が勇者を欲する理由を……




「なんじゃ?お主らか。すまんな、辛いじゃろうが、また明日から修行を……」


「いいえ、今すぐお願いします。どうしても強くなりたいんです」


「……ふむ、分かった。弟子がこんなに真剣なんじゃ。わしも全力で鍛えてやろう」


こうして更に過酷な修行が始まった。

でも、僕達はなにも辛くなどなかった。




一日五話投稿は今日までです。……フフフ、サービス期間は終わったのさ

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