第十五話王都
「おっ!王都が見えてきた」
馬車に揺られて丸一日……遂に王都にたどり着いた。
王都に入る手続きの時、かなり騒がれたが避けては通れなかったし仕方がない。
「私王城って初めて」
「僕なんか王都に入るのも初めてだよ」
「それでは王城に着きましたら、城に用意されている装備を着て下さい」
「了解しました」
「ああそれと、勇者様、聖騎士様。お二人は王族の方以外にはあまり敬語を使わない方が宜しいかと……」
「あっ、そうですね。気を付けます……いや、気をつけるよ」
こうして僕とコトリは王城に連れていかれ、それぞれに装備を渡された。
過度な装飾はされていないオリハルコン製の鎧だ。硬さは鋼鉄以上を誇り、しなやかで軽い。これを国お抱えの錬金術師が魔法を掛けて強化しているので装備としての質は最高峰だ。実用性重視な感じである。
一方コトリの方はアダマンタイトというオリハルコン以上の硬さを持つ代わり、かなり重い金属を使っている甲冑の様な格好をしていた。
「へー、馬子にも衣装ね。似合ってるじゃない」
「そうか?お前こそ馬子にも衣装だぜ」
「絶対意味わかってないでしょ」
そんなこんなで僕達が連れてこられたのは賢者の塔だ。
ここには先代の賢者が居て日夜魔法の研究に没頭しているのだとか。
僕達を案内してくれていた騎士団の人が礼儀正しく入っていく。
その様子を見て僕も礼儀正しくしなくてはと思い慎重に塔の中に入っていった。
すると、そこには眼力が凄まじく、髭の長い気難しそうなお爺さんが沢山の本に囲まれて大きな椅子に座っていた。
その目線は此方を……いや、コトリを見つめていた。
品定め……でもしているのだろうか?
コトリは偉い人に見つめられて緊張しているのか顔がこわばっている。
仕方ないので僕が小声で話しかけた。
「ほら、リラックスリラックス。取って食われるわけじゃあないんだから」
「だって〜。伝説の賢者様がそこにいるんだもん。緊張しちゃうわよ。噂じゃ厳格で気難しい人だって……」
すると、今まで何も話していなかった先代賢者が口を開いた。
「ふむ……そこの娘。その歳にしては中々……じゃのう。見込みがある、まだ12じゃろ?」
「えっ!はい!」
良いなぁ……コトリの奴先代賢者様に認められて。そう思っていると次の瞬間信じられない言葉を先代賢者が吐いた。
「Eカップじゃな?一見Fにも見えるがこのわしの目は誤魔化せんよ。その歳にしては中々の大きさじゃわい。しかもまだまだ成長する見込みがある……」
「へっ!?」
途端コトリが顔を真っ赤にした。
「あのっ……なんの話を……」
「むっ?決まっておるであろう……お主のおっぱ……」
「死ね!この変態ジジイが!」
コトリは殺す勢いで先代賢者の顔面に平手打ちした。