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1.悪役女帝と入学式

初めての小説投稿となります。

誤字・脱字等ございましたら、指摘していただけるとありがたいです。

桜が舞う入学式の中、光に照らされてピンク色の髪の毛が輝いている。壇上にいる彼女は透き通るような声で式辞を述べていた。わたしはその姿をぼんやりと眺めていた。

あぁ、なんかこのスチル見覚えがあるわ。なんだっけな…あのゲーム、すごく頭の悪そうなタイトルの…

「お嬢様、人の話はちゃんと聞かないとですよ。常識です」

隣に座っていた蓮が小声で話しかけてくる。

「うるさいわね。ちゃんと聞いているわ。ねぇ、あの子少し不思議な感じがしない?まわりと違うっていうか…」

「人に指指してはいけませんよ。それにしてもお嬢様が他の生徒に興味を示すなんて珍しいですね。」

「一般入試の特待生みたいだもの。お顔ちょっと見てみたいじゃない?それよりなんかこう気になるのよ。見たことあるなーって感じで。」

「見たことですか?私は見覚えないですけどね。あんなきれいな桃色の髪の方、一度会ったら忘れませんよ。」

「あっ…」

思い出した。桃色…

「?お嬢様?どうかされましたか?朝ごはん食べすぎましたか?」

「ちがうわよ!朝ごはんはたくさん食べたほうが健康にいいのよ!それよりこの後ミーティングよ!大切なこと思い出しちゃった!」

蓮が大切なこと?遅刻しかけてお弁当忘れたことですか?とか言っているけど無視よ、無視。

そんなことよりももっと重要なことに気づいてしまった。何もかもが一緒なのだ。あのゲームの世界と。私が昔プレイしていた『桃色♡キッス~ドキドキらぶリミット~』のオープニングにそっくりなのだ!

…というかお弁当が無いの今気づいたわ。気づいていたのなら言ってよ!家出る前に!


『桃色♡キッス~ドキドキらぶリミット~』通称ももキス。売上が億いったと噂される大人気乙女ゲーム。

舞台となるのは私立宝華学園。小中高大一貫のエスカレーター式で、好成績であれば学費免除があるためお金持ちだけでなく、一般市民も多く通う学園だ。主人公は特待生として入学するところから始まる。

好成績をキープしつつ青春を送ることになるが、成績が下がってしまうと学費が払えなくなりゲームオーバーとなる。割と恋愛以外のところも重視しているゲームだ。何よりこのゲームの人気要素は攻略できるキャラクターの多さと魅力にある。男子生徒や男性教師といった王道の乙女ゲームルートはもちろんのこと、なんと女子生徒や女性教師とも恋愛が可能。ハーレムルートまで用意されているのだ。その上、1人1人キャラクターもしっかりと作りこまれていてスタッフのキャラ愛も伝わる作品である。


ちなみにこのゲーム、今は販売されていない。絶版になってしまったとかではなく、私が前に生きていた世界で販売されていたものだからだ。この時点で察して頂けたであろう。そう、私は前世の記憶持ち、いわゆる異世界転生というものをしている。しかし残念なことに前世の記憶はほとんど残っておらず、『ももキス』に関しても覚えているのは概要のみ。攻略対象キャラも覚えていない。唯一『ももキス』で思い出したことは主人公の容姿と私が悪役だということだけだった。


…さらっと流してしまったけど私は悪役として登場する。『ももキス』は女の子も攻略可能な乙女ゲーム。つまり九条みやびも例外ではなく攻略対象者であるためバッドエンドルートは存在していない。そもそもこの『九条みやび』というキャラクターのコンセプトが愛されるポンコツ悪役女帝である。本人は悪女になろうとしていたが、ポンコツすぎてまわりから愛されていたのだ。…けどそれはゲームの世界の『九条みやび』の話。私の話ではない。私は少し前世の記憶があったため、ポンコツみやびではなくなってしまった。ここにいるのは、容姿はすごく良いのに前世の影響かコミュ障のためクラス内で浮きまくった結果、下々の者とは馴れ合わない女帝と影で呼ばれ、逆らうと退学させられるとか噂されている悪役みやびである。ゲームのように愛されるどころかむしろちゃんと悪役している。悲しい。


結局何が言いたいのかというと、ポンコツじゃなくなった私にはバッドエンドルートがあるかもしれないってこと!

実際に今愛されてないし、主人公入学しちゃったし...

このままだともしかして私、悪役令嬢断罪ルートに突入してしまうのでは...?




ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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