番外編短編・真澄の日本語レッスン
以前約束したので、ジャスミンに日本語を教えることになった。
ジャスミンが仕事の休みの金曜日に、クラリッサの屋敷で行う予定である。ジャスミンもクラリッサの屋敷に住んでいるので、時々軽く日本語について語る時はあるが、こうして改めて時間を取るのは初めてだった。
「私も参加したいわ!」
クラリッサも好奇心が抑えきれず、彼女参加する事になった。プラムは、隣町の市場に買い物である。あの有能そうなメイドだったら、日本語もすぐにマスターしそうではあるが(ちなみにプラムは、30ヶ国語はマスターしているととんでもない事を言っていた)。
日本語の教えは、ジャスミンの部屋で行われた。
ジャスミンの部屋は彼女の性格通り、シンプルイズベストというインテリアで、メイドとして掃除するのはとても楽だった。
「日本語は漢字、ひらがな、カタカナと3種類あります」
私は、徹夜で作ったひらがなとカタカナの五十音表と簡単な漢字一覧を見せる。
「わ、なにこれ…」
クラリッサは、早くも漢字を見て怖気付いていた。
「発音はどうなの?」
ジャスミンに言われ、私は適当に日本語で話す。
「ワオ! 面白い言語ね。でも英語よりは音が少なめかしら?」
クラリッサの指摘はもっともである。日本人が英語に躓くきっかけは、だいたい音の違いだろう。
「そうですね。音に限ってはそう難しくないかもしれません。あと色々察してくれる文化なので、主語などを省略して具体的に話さなくても会話が出来るのは楽ですね。英語はそういうわけにはいかないですが」
「漢字って絵みたいね」
ジャスミンは漢字一覧の資料を見ながら、呟く。
「ええ。もともと漢字は中国という国から伝わったんですが、日本流にアレンジされてこんな感じに」
「マスミの国って外国のものをなんでも取り入れて、日本風に工夫するのが好きなのね」
ジャスミンの指摘はもっともである。日本のあんぱんなんてその最たるものだろう。もともとは和菓子から着想得てパンを作るなんて、独創性はもちろん外のものを取り入れる柔軟さや観察眼が無いと無理だろう。だからこそ杏奈先生がしていた事はやっぱりズルをしていた様に思えてしまう。パクリをしていたロブ論外だが。
「しかしお腹減ったわね。なんか甘いもの食べたい!」
「ちょっとクラリッサ。今は勉強中よ」
「まあまあ、良いじゃないですか、ジャスミン。フレンチトーストだったら私は出来ますよ!」
こうして私は再びクラリッサの為にフレンチトーストを作るはめになった。日本語レッスンは何回か開かれたが、クラリッサもジャスミンも難しすぎると挫折。結局、この時間は普通にお茶会になってしまった。
ちなみにプラムは私がちょっと教えただけでもあっけなく日本語の発音や文法をマスター。プラムには教えがいがあった為、色々と日本語を教えているうちに彼女とはちょっとした日常会話は日本語で出来るようになってしまった。さすが元スパイの有能メイドである。お陰でホームシックなような事は意外と起きなかった。
番外編書きました。
ご覧頂きありがとうございました。




