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異世界転移先が殺人事件だらけの小さな村だった〜田舎パンとマリトッツォ殺人事件〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・真澄のズボラクッキング

「甘いものが食べたいわ〜」


 その日、クラリッサはかなりワガママだった。

 クラリッサの病気はジェイクによると大したことはないが、プラムが心配し、朝ご飯はブラックティーと果実、昼は田舎パンのサンドイッチ、夜はスープと胡桃などのナッツか、芋粥というこの世界の健康的な食事メニューに変えられていた。


 私もメイドとしてクラリッサの家で働いている。クラリッサには病気になってほしくない。私もプラムに従い、健康的な料理を一緒に準備していた。


 それに私もここに来てから、運動不足が解消し、健康的になってきた。日本の料理は美味しいが、食べすぎると健康にはあんまり良くないのかもしれないと思う。クラリッサの屋敷はとにかく広いので、掃除をするだけでも骨が折れ、運動不足が消えてしまった。不便な事も多いが、健康面を考えるとこの世界の生活も悪くないと思わせる。


「甘いもの食べたい!」


 昼食時、クラリッサはブー垂れていた。


 食堂のテーブルの上には、ミッキーのところの田舎パン、青菜、ソーセージ、チーズ、そしてジュースペーストの瓶。一応甘いものはあるわけだが。


「ワガママは辞めて下さいよ。せっかく私とマスミで準備したんですから」

「い・や!」

「そんな子どもみたいにワガママ言わないでくださいよ。アビーやジーンのような子供じゃないんですから」


 プラムはクラリッサのワガママに手を焼いているようだった。いつもの事だが、プラムもよく耐えていると思う。


「マスミは何かニッポンのスイーツはできる? パンケーキ以外で」

「無理ですよ〜。私は本当に料理下手で、いつかのパンケーキみたいのしかできません!」


 以前作ったパンケーキは酷い出来だった。あのおかげっでクラリッサはしばらく砂糖中毒から辞められていたわけだが。


「だったら、マスミがまた作ってくださいよ。そうだわ、それがいいわ!」


 その事を思い出し、プラムは逆に私にお菓子を作らせようと乗り気である。


「まぁ、でもパンケーキじゃなくてフレンチトーストならできるかな?」

「フレンチトースト?」


 二人は初めて聞いた単語に目を丸くする。


「パンに牛乳、砂糖、卵を混ぜたものを浸して焼いて食べるんです。私がいた日本ではアイスクリームを溶かして、卵を入れるだけでも作れるみたいで」

「それは気になるわね。プラム、アイスクリームはあったかしら?」

「ええ。冷凍庫に」

「え? アイスクリームあるんですか?」


 てっきり食文化が低いので、アイスクリームなど無いと思っていたが。


「あるわよ。王都に専門店もあってね。この国でアイスは贅沢品。とても高いわよ」


 プラムの説明に驚く。アイスクリームなど日本では100円有れば買えるものだ。アイスクリームをここで食べればいいじゃないかとも思ったが、昔、クラリッサは王都のお城で飽きるほど食べてしまい、お腹を死ぬほど壊したのであんまり見たくないそうである。


「ま、この村にはあんまりアイスクリームは無いと思うけど。だったら、是非それで作ってくれない?」


 クラリッサにせがまれ、結局フレンチトーストを作る事になった。


 キッチンに行き、アイスクリーム、卵、パンと材料を揃える。


 アイスクリームは日本にあるハーゲンダッツ と少し似たチッチな雰囲気のパッケージで、見るからに高そうであった。


 日本でこの手抜き極まりないフレンチトーストを作る時はレンジでアイスクリームを溶かしていた。この世界ではレンジなどはないので、湯煎でゆっくりとアイスを溶かす。湯煎に湯や湯気が入らないないよう、意外と気を使う作業だった。


 溶かしたアイスに卵を溶いて混ぜて、そこにあのミッキーの黒い田舎パンを浸す。


 やはり硬いパンなのので、上手く染み込むかわからないので、しばらく放置。


 そに間にフライパンを温めて、バターを溶かす。

 見た感じパンにその液体が染み込んでいるようなので、適当に焼いてみる。じゅわじゅわといい音である。バターのこげた匂いも悪くない。


 クラリッサはもちろん、プラムも歓声をあげる。

 表面が焦げ目がつき、一見見た目は悪くない。この作業を繰り返して、三人分のフレンチトーストを完成させ、皿にもり食堂のテーブルに持っていった。


「バターとハチミツを乗せると美味しいんですよ」


 私がおススメの食べ方を教え、プラムがそれをささっと持ってくる。


 熱々のフレンチトーストの上にハチミツをたらし、バターのカケラを乗せてようやく全て出来上がる。


「わー、これはとても美味しそうね…」


 クラリッサはかなり期待度を込めて、フレンチトーストを眺めていた。


「まあ、食べましょう」


 プラムに促され、私たちはフレンチトーストを切り分けて食べる。


「!」


 三人ともその美味しに目を輝かせる。パンはちょっとかたいが、ふわふわの衣のおかげであまり違和感はない。よくあの液体が染み込んでいるようである。


「まさかあんな飽き飽きしてたアイスクリームがこんな風に化けるなんて!」

「やっぱりお菓子は厳密に材料を測るのは重要なのですね‥」


 クラリッサは喜び、プラムは何やら悟っている。


「アイスが美味しかったから上手くできたのね。やっぱりお菓子作りは難しいわ」


 私はそんなことを言うと、クラリッサは謙遜そすぎだわと笑っていた。


 とはいえ、美味しいふわふわのフレンチトーストが上手く完成できて良かったと私は思う。


 手抜き極まりない料理であるが、自分が作ったものを食べて喜ぶ人をみるとやっぱり嬉しかった。

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