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異世界転移先が殺人事件だらけの小さな村だった〜田舎パンとマリトッツォ殺人事件〜  作者: 地野千塩


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23話 ついにキラキラ王子様の登場です

 昨日あんな事があり、疲れていた。カフェや杏奈の部屋漁る事も意外と体力やメンタルが抉られるものである。


 私はスープやパンを食べ終えるとうとうとし始めた。眠っていたと思う。夢見心地で、ロマンス小説のようなイメージがいくつも浮かんでくる。お姫様抱っこされたり、「お前が一番美しい」「お前がいないと生きられない」などと砂糖菓子のような言葉をロマンス小説に出てくるような金髪碧眼のイケメンに吐かれていた。


 まさに夢見心地であった。目が覚めた時、私は言葉が出なかった。周りが火で燃えていた。


「え!」


 キッチンのガスは火を止めたし、ガスの栓も閉めたはずである。タバコやアロマキャンドルもやっていないのに、どういう事!?


 とにかく逃げなきゃ!と思うが、足がもたつく。火はそこまで迫っていて髪の毛が焼ける音がした。これは本格的にやばい!


 異世界行って殺人事件に巻き込まれて火事に遭うなんて踏んだり蹴ったりである。こんな異世界転移のライトノベルの主人公はいるだろうか。ロマンス小説のようなシンデレラストーリーともほぼ遠い。夢から一気に燃え上がりような現実に変わり、泣きたい気分である。


「だ、誰か! ロブ! リリー! アナ!」


 私はこの村で比較的好意的だった人物の名前を叫ぶが、当然返事などない。


 火の暑さでサウナなんかよりよっぽど暑く、くらくらしてくる。まともに思考できないぐらい意識も抜けていく感覚が襲う。


 その場にしゃがみ込み、泣き叫んでいた。火の燃える音、何かの足音やサイレンの音が遠くで響く。


「おい! 起きろ!」


 幻かと思った。


 目の前には金髪碧眼のロマンス小説のヒーローのような男がいた。髪の毛は、天使のような金色で、肌は白く、目は深い湖のようなブルー。鼻も高く、顔も小さくスタイルもいい。顔が小さい事や肌の白さや鼻の高さは外国では別に褒め言葉ではないが、ついつい日本人な美的感覚で思う。


 直感的にこの男はあのジェイクだとわかる。どこからどう見ても惚れ惚れするイケメンであった。しかし、この状況でロマンス小説のように都合よくヒーローが助けに来るだろうか?これは夢か?


「おい、歩けるか?」


「うっ」


 私は胸が詰まったようになり、声が出ない。


「わかった、とにかく逃げないとな!」


 そう言って金髪碧眼イケメンは私をお姫様抱っこをするではないか!


 抱き寄せられた胸や逞しい腕からは、何かチョコレートやコーヒーのようないい匂いもする。こんな状況なのに私は飛び上がりたいほど嬉しい。恋愛に免疫のない私はすっかり舞い上がってしまっていた。


 金髪碧眼のイケメンは私を大事なもののように抱えて炎の海から逃げる。


 夢かもしれない。


 ちょうど意識もぼんやりと消えていく。死んでしまったのかもしれない。でもこんな夢のような瞬間が味わえるなら、それもいいんじゃない?ボケた頭には大量の花が咲き乱れていた。

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