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異世界転移先が殺人事件だらけの小さな村だった〜田舎パンとマリトッツォ殺人事件〜  作者: 地野千塩


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15話 イケメン登場!?

 私は無さなく呟く事しか出来ず、とりあえず厨房のガラス破片を片づけて2階に戻る。まだ夕飯は作りかけであったが、自分ではこれ以上作るのは無理である。とりあえず鍋の火はとめ、蓋を被せる。他の作りかけの食材も蓋付きの皿に詰め直し、置いておく事にした。


 それにしても犯人の心当たりがあるようだが誰なんだろう?


 クラリッサの話では杏奈先生にカフェにはアンチが居たようである。パン屋のミッキーの名前は覚えていたが、他の人の名前は忘れてしまった。男ばかりアンチであるようだったが、わざわざ嫌がらせをするんんて。


 私は杏奈先生が嫌がらせを受けるタイプにもみえず、カフェの料理も美味しいので、なぜこんな目に遭うのかさっぱりわからない。


「もしかしてあの占い師?」


 ふと、あの魔老婆の姿が頭に浮かぶ。転移者を憎む理由もある。しかし、チラシではカフェについて怒っているようだったし、彼女がピンポイントでそこを怒るかどうかもわからない。


 やっぱりカフェのアンチだろうか。牧師さんやロブも杏奈先生を嫌う理由が思いつかない。他に男達の顔を思い浮かべようとしたが、この村に来たばかりで思いつかない。


 あれから1時間ぐらいたったが、杏奈先生は帰ってこなかった。お腹は空いたがそれどころでは無い。さすがに私も心配になってきた。


 下に降りたが、厨房やカフェは相変わらずで杏奈先生の姿はどこにも無い。


「杏奈先生どこ?」


 声に出して読んでみたが、当然返事はない。代わりに野鳥と思われる動物の鳴き声も聞こえてきて不気味である。


 私は、恐る恐る外に出てみる事にした。夜で大きな月が空に浮いて居る。星もチラチラと見える。元いた世界より星が多く見えるようである。


 とりあえずロブの店に行こうとしたところ、牧師さんに話しかけられた。前会った時のような独特な黒い服ではなく、白いシャツに紺色のカーディガンにジーパンという格好で、こうして見ると普通のアラサー男性と変わりないように見えた。手にランプのようなものを持っていて、夜だけど牧師さんの周りはほんのりと明るかった。


「マスミ、どうしたんですか?」

「杏奈先生がいないんです!」


 私は手短に今までの経緯を説明した。


「それは大変だ。一緒にアンナを探しましょう!」


 二人で杏奈先生を探す事にきまる。一緒に歩き始めた。


 牧師さんが、警察のいないこの村でよく巡回しているのだと言う。それは村の男たちの役割でもあり、他のものと組んで巡回する事も多いが、今日はたまたま一人なのだと言う。


「それでアンナは、犯人の心当たりがあると出かけたんですね?」

「ええ。でも、どこに行ったか…」

「ミッキーのパン屋を見てみましょう。ミッキーは、アンナの事をかなり嫌っていたから」

「何で?」


 私達はカフェの近くにあるパン屋を覗く。しかし、灯りは消えて人はいないようだった。


「ここのパンとアンナが作るようなパンはだいぶ違うみたいで。意見の違いで揉めているのをみたことがあります」


 牧師さんはパン屋の戸を叩いたが、誰もいないようで返事もない。物音一つしなかった。


「でもパンの意見の違いで嫌がらせなんてしますかね?」


 私はその事が信じられない。意見というか好みの違いだけで、そんな攻撃的な事をするのか?私には到底信じられない事だった。


「まあ、ミッキーはすごいパンにこだわりとプライドを持っていましたから。実際、あそこのパンは美味しいんですよ」

「へぇ…」


 岩のように硬いパンだろうか。美味しいと言われても私は食べる気にはなれなかった。しかも杏奈と揉めているなんて性格も良くないだろうと思い抵抗がある。


「他に杏奈先生と揉めていた人で心あたりはないですか?」

「他は医者のジェイクとうちの教会で預かっているミシェルですね。なあ、ジェイクの医院も教会に近いですし、一緒に教会の方を探しましょうか?」

「ええ。そうしましょう」


 今の季節は春の終わりらしいが、夜はやっぱり暖かくは無い。風が吹くと肌寒いが、そんな事より杏奈先生が心配である。


 私と牧師さんはゆっくりと教会の方へ歩き始めた。夜で怖いくない事もないが、隣に牧師さんが居るので安心感はある。この人は何かメンタルがどっしりと安定している印象で、なぜか安心感が持てる。


 その途中に杏奈先生と揉めていたと思われる人物について何か知っていないか聞いてみる。


「その医者のジェイクって人は何で杏奈先生と揉めていたんですか?」

「うーん…」


 牧師さんが言いにくそうだった。


「ジェイク先生はとんでもないイケメンなんですよね…」

「とんでもないイケメン!?」


 私がこの言葉に食いついた。


 イケメンが嫌いな女子などいないだろう。それにイケメンの医者なんてロマンス小説にはよくある設定でもあり、私もそういった設定は嫌いではない。ジェイクについて興味がわく。会った事はないが、是非顔を見てみたいものである。


「ええ。アナやリリーも目をハートにしてジェイク先生を見てますね…。ジャスミンなんかは興味無いようですけど。アンナもジェイクに興味を持って、ちょっとしつこく追いかけ回していたようです」

「それで揉めてたんですね。でもそんなイケメンなんですか? 是非見てみたいです!」

「ハハ、マスミもイケメンが好きですか…」


 牧師さんは苦笑していた。そういえばこの牧師さんもよく見るとブサイクではない。目の下のクマなどは気になるが、瞳が澄んでいて濃い茶色の髪の毛とよく似合っている。ロマンス小説のヒーローにはなれないだろうが、婚活市場ではモテそうなタイプに見えた。まあ、華やかなイケメンとは言い難いのでモテるようには見えないが。


「まあ、女子は全員イケメンが好きですよ」

「マスミは正直な性格ですね。いいね、そういう所は隠さない方がいいかもですね」

「そうですかね?」

「こういう小さな村だと事情がある人も多いし、本音と外面が違う人も結構います。そういう人の相談に乗るのも仕事ですが、正直ちょっと疲れるね…」


 牧師さんはため息をつく。おっとりとした天然タイプに見えたが、それだけでは無いようである。


「あと、その神学生のミシェルって人はどういう人なの? 杏奈先生とは何で揉めてたの?」

「ミシェルは、悪い子では無いんですがね…」


 牧師さんは苦々しい顔でため息をついた。


「ちょっと、いやだいぶ口が悪く、ズバズバと本当の事を言っちゃう。杏奈のカフェの料理もパクリで二番煎じだろうって言って怒らせていました」

「それはちょっと酷いですね」

「でもまあ、あの子はまだ若いから仕方ないでしょう。悪気はあんまり無いんですけど、アンナに嫌がらせはしていないと思います」


 そんな話をしてうるうちに教会の近くの道に出た。


「おい、牧師さん。どこ行ってたんだよ」


 教会の方から金髪で青い目の若い男が出てきた。ただまだ20歳にもなっていないぐらい若く、背も低い。たぶん160センチの私と5センチぐらいしか変わりないだろう。


「いつもの巡回ですよ」

「夕飯まだ?腹減ったよ」

「それがちょっと人を探さなければならず…」

「人?」


 金髪の若い男は、私をじろじろと上から下まで見た。明らかに不審がっている。


「マスミ、この男がうちで面倒を見ている神学生のミシェルだよ」


 牧師さんに紹介された。


「はじめまして」


 私が軽く自己紹介した。転移者である事や名前など。ミシェルは、なんだか不機嫌になりはじめた。


「ふーん。で、あんた何してるの?」


 失礼で不躾な男である。魔老婆を除くと村の人は概ねいい印象だったので、私も思わずムッとしてしまう。牧師さんはミシェルを宥め、結局3人で杏奈先生を探す事になった。

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