wikipediaの間違いを誰も直してくれないので、自分でアカウント登録して修正してみた
みなさんはwikipediaの編集や執筆をしたことってありますか?
拙作「漫画『1518! イチゴーイチハチ!』を読み返して気付いたある恐ろしさ。」はwikipediaを含むネットの記事を盲信するのは危険であることをテーマに書いたエッセイです。
流れとしては、タイトルにも上げた相田裕氏の漫画『1518! イチゴーイチハチ!』に出てくる記述から、埼玉県川越市にある伊佐沼に関する記事の信頼性に疑問符を投げかけるところからスタートしています。
このエッセイは、論の信憑性を高めるため、文章中にデータを多用しているのですが、湖沼の面積をまとめるため、wikipediaの『日本の湖沼一覧』を見たところ、ある発見がありました。(※wikipediaの記事の信頼性の無さを論じるのに、wikipediaでデータを調べるという行為が、かなり矛盾していることは認めます。)
それは、不忍池の面積です。
東京上野にある不忍池は、広大な上野公園の一画を占める、都心に残された数少ない大きな水面です。『日本の湖沼一覧』に掲載された不忍池の面積は⒈1㎢。そこそこ広いとは思っていましたが、一辺が概算で1km以上あるほど広いとは知りませんでした。
「なあんだ、伊佐沼。不忍池にも負けてんじゃんw。お、洗足池も伊佐沼に勝ってる! 関東2位ってなにwww もしかして東京様は関東じゃないってか?」
などと考えて生まれたのが注の部分に載っているふざけた文章です。
ですが、あの注記。実は最終稿までエッセイの本文中に入っていたのです。
なぜ抜いたか。それは、『日本の湖沼一覧』のデータ自体が間違っていたからです。
間違いに気付いたのはただの偶然でした。最終稿を推敲しているときに、リストに載っている不忍池が、本当に上野公園の池のことか気になり、確認のためにwikipediaを開いたのです。
そこには、
『上野恩賜公園の南端に位置し周囲は約2km、全体で約11万㎡。北で上野動物園西園、東で京成上野駅、南と西で不忍通りに接している。』(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
とありました。
「へ~。周囲2㎞ね……。ん? 2㎞!?」
そうです。面積1.1㎢になるためには、縦横の長さが目安1.1km×1kmぐらい必要になります。すなわち周囲は4.2㎞ぐらいないと1.1㎢の湖沼は生まれないことになります。
さらに、よくよく見ると、面積は11万㎡とあります。
1㎞は1,000mですが、1㎢は1,000㎡ではありません(あたりまえです)。1㎢は1,000×1,000=1,000,000㎡です。つまり1㎢は100万㎡なのです。
誰が書いたのかは知りませんが、あの『日本の湖沼一覧』のデータは間違ったものだったのです。あのデータを基に『不忍池は伊佐沼より広い~w』などと書いていたら、テーマがテーマだけに物笑いの種になるところでした。
慌ててデータの照合を行うと、洗足池も桁が一つ違っていたことが判明。結局エッセイは大幅な改稿を余儀なくされ、数日投稿が遅れることになってしまいました。
エッセイ投稿後は「誰か『伊佐沼=関東2位』の根拠、教えてくれないかなぁ」「誰か不忍池と洗足池のデータ直してくれないかなぁ」と待っていましたが、評価62pt、ブクマ4件(※2021/8/24現在)の私では、周囲への影響力など無いに等しく、数日間しがみついていた日間ランキングも遂にランク外に消えたことで、日間pvも無くなり、自分でやるしかないんだな、と重い腰を上げた次第です。
伊佐沼の記述に関しては、本文中でも触れているとおり『関東地方でも印旛沼に次ぐ広さ』(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)という根拠自体が不明なので逆に直せないのですが、データに矛盾がある不忍池と洗足池については、私でも修正が可能です。
まずは、Wikipediaの『日本の湖沼一覧』のページに入り、ページの右上にある『修正』をクリックしてみました。
すると
「警告:あなたはログインしていません。このまま投稿すると、あなたのIPアドレスが公開されます。」
怖!
IPアドレスなんか公開されたらたまったものではありません。(※ちなみに、後で気付いたのですが、結構IPアドレスで修正・執筆している人がいました。気にならないのでしょうか?)
「こんなの怖くて出来ねーよ!」と思い、ページを閉じようとしましたが、よく読むとアカウントを作ってログインすれば問題なさそうです。
早速アカウントを作ってみました。
作り方は簡単です。まず、利用者名(PN可)とPWを入力し、メールアドレス(任意)を入力します。そして、自動作成防止チェックのため、画像から文字を読み取って所定の欄に入力し「アカウント作成」ボタンをクリックすれば完了です。
あまりに簡単すぎて、ちょっと拍子抜けでした。
次は、修正箇所をいじります。今回は、不忍池の面積と、洗足池の面積を一桁下げます。
※不忍池 1.1 → 0.11
洗足池 0.41 → 0.041
これで青い矢印のボタン「>」をクリックしたら終了。かと思いきや、
編集の理由を示さなければならないらしく「編集内容の要約」を記述する欄が出てきました。
いい加減なことを書くと撥ねられるのではないかと、びくびくしながら理由を記載します。
とりあえず
「関東地方:不忍池、洗足池の面積のデータ修正(桁を一桁下げた)」
と記載してみました。
間違いがないか再確認し、「投稿」をクリックすると、次の瞬間には
「おめでとうございます。公開されました。」
とのメッセージが出てきました。編集はタブレットでしていたので、試しにスマホでページを開いてみると、もう修正済みのデータが掲載されていました。
はっきり言ってウルトラ簡単でした。びくびくしていたのが馬鹿みたいです。
……ただ、実際に体験してみて「やっぱり怖い」と思いました。
なぜなら、編集が簡単すぎるからです。
感想で読者の方から『こんにゃく事件』について教えていただきましたが、こんなに簡単に編集出来るなら、アホなことを書き込む輩が出てくるのは当然です。
この『こんにゃく事件』のように注目を浴びれば運営サイドも対策をとるでしょうが、人知れず、マイナーなページで、根拠の薄弱な内容や、悪意のあるデマを書き込まれていたとしても、ほとんどの人は気付きません。
しかし、数は少なくても、見る人はいるでしょう。偶然そのページを見た人が、世間に影響力のある人(例えば芸能人など)だったら、そして、それを信じてしまったら、さらに拡散してしまったら……。
みなさん、安易にネット情報を信じてはいけません。少なくとも複数件(※この程度では不十分な気がしますが)のウラをとってからでないと絶対に人に伝えてはいけません。場合によっては、自分や家族、親しい人たちに、とんでもない災難をもたらすことにだってなるのですから……。
もし、みなさんがwikipediaの編集をしなければいけないことになりましたら(ほとんどの方には全く関係ないでしょうが)、ぜひ参考にしてみてくださいw。
内容につきましては、最初の作品の続編みたいになってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。もしよろしければ、下の評価ボタンで評価していただけましたら幸いです。