6時
怯えている間にあっという間に6時間が経っていた。
段々と空の色が白くなっていく。
ほんの1時間ほど前とは真逆、今度は何も書いていない、真っ白な画用紙のような空になった。
彼女は6時間、ほぼ休まずに街中の怪物を蹂躙していた。
6時の放送。まるで別の世界だと言うのに、
元の世界と同じく夕焼け小焼けがどこからが流れてくる。
彼の腕に着いている時計が6時を指した瞬間、あの12時と同じような裂け目が開けっ放しの扉の中、屋上に行くためだけの部屋の中に現れる。
夕焼け小焼けが流れ始めると、怪物たちは地面に沈みはじめ、彼女も屋上に戻ってきた。
「大丈夫?」
ほんの6時間前、彼に「忘却」という魔法?のようなものを打ったとは思えない優しい声色だった。
「だ、大丈夫です…」
彼は彼の人知に及ばない存在である彼女を恐れているようであった。
「とりあえず帰ろう」
彼女はそういい、裂け目に向かう。
慌てて後を追う彼であった。
場所は変わってとある喫茶店。
夜7時である。
普通なら客の1人や2人いても不思議ではないがこの喫茶店にはカウンターに立つ老年の男性しかいない。
そこに座るのは正反対の2人。
黒髪のロング。正統派清純モデルのような顔の女。
一方でチー牛顔を少しマシにしたかのような冴えない男。
全くといっていいほどの接点のなさそうな2人が何故か喫茶店で二人きりである。
…………
どちらも口を開かない。
3分ほど経ったかと言ったところでようやく彼は口火を切った。
「さっきのあれはなんですか?」
一応彼女の制服が示すのは上級生であるということ。
一応敬語を使った。
「……まず、あなたはなんなの?」
質問を質問で返され押し黙る彼。
「あなたは裏側についてどこまで知っている?」
最初から全く知らない言葉に戸惑いを見せる彼。
ハァ……とため息をつく彼女。
また長い沈黙の後、彼女は恐らく彼ら以外で唯一喫茶店にいる人間に声をかけた。
「師匠……きてください」
呼ばれてのんびりとカップを拭く手を止め、
カウンターの中から出てくる師匠と呼ばれた人物。
「恐らく彼は何も知らない。
裏側のことを教えるか、それとも忘れさせるかどうします?」
「君のしたいようにすればいい。
君が最後の守り人だ。
どうするかは君が決めるんだ。」
「でも…………」
「彼には恐らく才能がある。
なんせ歴代最高の〚カリスマ〛である君の
[忘却]をレジストしたんだからね。」
もはやゲームのような単語の連続に理解が追いつかない彼であった。
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最近のなろうの長文タイトル長文あらすじに抗います。