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依頼の説明なんですが

「ショウさん。あなたに依頼があります」

「どんな依頼なんですか?」

「『女装してミス・アルロスに出場してほしい』とのことです」

「……はい?」


 あまりに突飛のないアンさんからの依頼に、僕は思わず聞き返してしまうのだった。



 ――改めて話を聞くとこうだ。

 どうも依頼人は、王国で一番美しい人を決めたかったらしい。

 それが高じて、ついに王国一美しい人を決める大会を開催するまでに至った。

 そのイベントをどうにか成功させるため、依頼人は必死でいろいろな貴族の令嬢たちへと話を通していたらしいのだけど、ここで問題が起きた。

 まだ新しい大会なので、護衛を雇うお金がないのだ。

 ここで困ったのは依頼人だ。

 護衛を優先してしまっては、衣装などに回すお金がなくなってしまうし、参加できる人数も少なくなる。

 それはせっかく了承してくれた貴族令嬢たちの恩を仇で返すようなものだ。

 一方で、彼女たちの中には権力を持った侯爵令嬢なども存在する。

 そういった人たちを護衛のいない環境へと放り込むのは、あまりにもリスクが高い。

 そんなジレンマに悩んでいた最中、とある男爵から「かわいらしく強い冒険者」のうわさを聞いたらしい。

 なんでもワンピースを着こなしながら、いとも簡単に実力者たちをのしてしまうのだとか。

 ――その人なら、護衛と参加者を両立させられるのではないか!

 そう思いいたった依頼人は、件の「かわいらしく強い冒険者」へと依頼を通すことにした――


「……ちょっとツッコんでいいですか?」


 あまりにも理解不能すぎて頭痛がする。


「ええ。かまいませんよ」

「まず「かわいらしく強い冒険者」ってなんですか!? 百歩譲って強いは良いとしても、かわいらしくはないでしょう!?」

「いや、かわいらしいですよ。食べ、肖像画をか、じゃなくて、頭を撫でて差し上げたくなるくらいには」

「今あきらかに不穏な言葉が混じってましたよね」

「まあそれはそれとして」

「それはそれとしないでください。そもそも僕男ですよ。話を聞く限り女性の方々が参加する大会じゃないですか」

「え? これはあくまで「王国で一番美しい人」を決める大会ですよ? なぜおかしいと思ったんですか?」

「それでむりやり納得させようとしないでください」

「それに報酬で3億デラが払われますよ」

「…………え?」

「だから3億デラですよ」

「さん、おく?」

「はい」


 3億デラ。

 S級冒険者がデーモンを倒したときとか、そういったときに払われるレベルの額だ。

 もし払われれば、今住んでいる家の倍くらいの大きさの家が買えるだろう。

 もちろん家を買うつもりはないけど、それでも3億という額は大きい。

 この大会の話からするに、依頼を受けたらほぼ確実に女装させられるだろう。

 女装は嫌だ。でも3億マドルは魅力的だ。


「ググ、グググ…………!」


 恥をとって金を捨てるか、はたまた金をとって恥を捨てるか……。


「どうしてもというのであれば、仕方ありませんね。残念ですが――」

「……やり、ます」

「……本当にですか?」


 アンさんの目がキラリと光った。

 なにかとんでもない失敗をしてしまった予感を感じながら、僕はヤケになって叫んだ。


「やりますよ! 女装だって護衛だって!」

「待っていました」


 そう言って笑うアンさんはあまりにも凶悪で、僕はひたすら後悔するしかできないのであった……。

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