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隠し階段を見つけたんですが

 警備の人に見つからないよう、細心の注意を払いながら、僕たちは行き止まりへと向かった。

 壁は真っ白で、なにかを無理やり塗りこめたようにも見える。


「ねえ、ここって行き止まりじゃ……」


 不安そうにこちらを見つめるミシェの頭をなでる。


「大丈夫。……たぶん」


 だなんてしまりのない台詞を吐きながら、僕はスライムボールを壁に向かって投げつけた。

 真っ白な壁にぶつかったスライムは、そのまま壁を覆うと大きく広がっていく。

 最初はちょっとした球くらいの大きさから、人ひとりがすんなりと入れるような大きさへと。

 スライムはどんどん成長していった。


「……これって大丈夫なの?」

「安心して。……それくらいで良いよ」


 スライムに向かってそう話しかけると、さっきまで際限なく広がっていたスライムの動きがぴたりと止まった。

 そのタイミングを見計らって、スライムへと次の命令を下す。


「その壁を溶かして」


 スライムはその言葉を受けて、体内から強酸の液体を発した。

 ジュウジュウと、壁の溶ける音がひっそりと鳴り響く。

 ポトリ、とスライムが落ちるころには、人ひとり分ほどの穴が、目の前の壁に空いていた。

 ――そして、その向こう側に木漏れ日の漏れた階段が見える。


「え、えっと……」

「安心して。これは特別に作ってもらったものだから。……さあ、行くよ」


 口をあんぐりと開けたふたりの手を押し込んで、僕は穴の向こう側へと足を進めるのだった。



 穴の向こう側は小さな塔になっているみたいで、人ふたり分くらいの狭い螺旋階段が上に伸びている。

 階段は放置されてそれなりに長いのか、ところどころに瓦礫がそのままの状態で転がっているのが見える。

 螺旋階段の壁には穴のような窓が取りつけられていて、そこから漏れる日差しが、薄暗い内部を淡く照らしていた。


「こ、これってバレない……!?」

「ああ、あそこはスライムが擬態してくれているからね。大丈夫だよ」

「……疑問なんだが、特別に作ってもらったって、あんなすごいのを誰に作ってもらったんだ?」

「ああ。これはシャリー・アルマって人に作ってもらったんだ。昔彼女を助けたことがあったんだけど、それ以来いろいろ良くしてくれて」

「……シャリー・アルマって、史上最年少で上級錬金術師になった神童じゃん。そんな人と関わりがあったの?」

「そ、そうかな? 確かに彼女はすごい人だけど、そんなおかしなことじゃないと思うよ?」

「おかしなことだよ」


 驚きすぎて逆に呆れた、といった様子でミシェが睨む。

 ジョシュアくんはよくわかってないみたいだけど、話を聞いてミシェ寄りになってるっぽい。

 ――ちょっとこれは劣勢だな……。


「……そ、それより! 扉が見えたよ」

「……わかったよ。今はこれくらいにしておいてあげる」


 ミシェの視線が痛い。

 メンタルを総動員してそれをスルーしながら、目の前にあらわれた扉を見た。

 地下牢へ続くドアほどじゃないけど、こちらもそれなりに古びているみたいで、金具のところどころにサビが浮いている。

 割と薄そうなので耳を近づけてみたけど、足音も一切聞こえなかった。

 視線をいったん階段のほうへと戻すと、左手にはまだまだ上階へ続く階段が伸びていた。

 ただ、ところどころの床が抜けていて、残った階段の中にもすぐ砕け落ちてしまいそうな状態のものがちらほら。


「……これは、扉を出たほうが賢明みたいだね」

「そうだな。ほら、とっとと開けるぞ」

「焦らないで、すぐやるから」


 そうやってジョシュアくんにせっつかれながら、僕はゆっくりと扉を開けた――

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