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出会い

 頭が痛い・・・

 重たい身体を起こしながら、何が起きたのか痛む頭を整理する。


 あの時、急に百合華の足元が光ったと思ったら、その光が増していき百合華が消えてしまいそうな不安が襲ってきて考えるより先に身体が反応して、駆け寄り百合華を強く抱きしめた・・・はずだ・・・。と思い出して、はっと目を開けて百合華を探そうとしたら、目の前にはするりと光った剣先が向けられていた。


「・・・え?」


 剥き出しの刃を向けられているが、理解が追い付かない。が、その刃から目が離せない。え?剣?何で?え?回らない頭と目を逸らせない剣先に眩暈がする。


「何者だ。どうやってここへ来た」


 その問いかけに、視線を上へ向ける。


 うわぁ、綺麗・・・。

 艶のある黒髪にアメジストの瞳、整った面立ちに切れ長の眼は警戒しているのが伝わってくる。


「アル、下がって放心してる」

「しかし、この場に何処の誰かも分からない者が突然現れたのですよ不用意に近づかないで下さい」

「うん、でも大丈夫だと思うよ。私が話す。アルがそんなに怖い顔してるから怯えて話せないでしょ」


 うわぁぁぁ、またイケメンきたぁ・・・。整った顔立ちの男性2連続に思わず呆けてしまう。輝く金色の髪に碧の瞳。甘く爽やかな雰囲気があぁこれが「王子様」だ、と思った。

 今度はキラキラしてるよ・・・・。

 口が半開きになり、二人の会話を呆然と見つめながら聞いていたら、金髪のイケメンが私に話し掛けてきた。


「こんにちは。私はフォルクハルト・シュテイン。こっちの怖い顔はアルベルト・ヒュランデル。貴女は?」

「・・・・・朝霧美桜です」

「アサギリミオウ?聞かない名に響きだね」


 戸惑いながらも名乗り、周りを見渡す。

 天井までの本棚が並んでいる。図書室・・・かな?窓はないみたいだけど、電気やランプなどの照明器具は見当たらないけど明るいな。高校までの道を歩いていたはずなのに、私は今何故か室内にいる。

 そしてこの二人・・・。明らかに日本人ではない瞳の色に名前。でも、日本語で話している。綺麗すぎる容貌は今は置いておこう。服装も現代日本ならば王子のコスプレだと思われるが、何の違和感もなく着こなし気品さえ感じる・・・高貴な方?っていうのかな。

 何が起こっているのか、混乱する頭を必死に落ち着かせ状況を把握しなくてはと息をゆっくり吐き目の前で私を観察している二人に顏を上げ尋ねた。



「あの・・・ここは・・・何処ですか?」


 フォルクハルトは顎に手を当てじっと視線を合わせてから、ふっと緊張を解いたように微笑み手を差し出した。


「そうだね、まずは場所を移そうか。いつまでも床に女性を座らせて置く訳にもいかないからね。隣の休憩室で話を聞こう。立てるかい?」


 恐る恐る手を伸ばせば、さっと手を取り立たせてくれた。

 歩き出そうと1歩踏み出せばふらついてしまい、二人が片腕ずつ支えてくれた。


「大丈夫かい?」

「私が支えて歩きましょう」

「いえ!すいません、大丈夫です。歩けます。ありがとうございます」


 フォルクハルトが優し気な声色で気遣い、アルベルトが腕を取り肩に手を掛け支えてくれようとするが、固辞する。気遣わし気な二人にしっかりと立ち少し歩いて見せる。その様子にフォルクハルトは眉尻を下げ「じゃぁ行こうか」と笑み、歩き出した。









 ==========





「大丈夫かい?そこに座って」


 休憩室には二人掛けのソファーが二つテーブルを挟んで置いてあり、フォルクハルトの対面に促され腰掛ける。いつの間に用意したのか、アルベルトがお茶を出してくれた。そしてフォルクハルトの背後に付いた。アルが淹れたお茶は美味しいよ。とにこやかに笑んで勧められ、そういえば喉が渇いたなとティーカップを手に取り頂きますと口をつける。


「・・・美味しい」

「ね!アルのお茶は特別美味しいんだよ。・・・少しは落ち着けたかな?」

「はい、ありがとうございます」

「さて、アサギリミオウ殿と言ってたね、貴女は何処からどうやってあの場に来たのかな?」

「あ、ミオウでいいです。それが名前なので」

「ではそうするねミオウ。ここは厳しく管理され入室も決められた者しかできない所なんだ。君はここへどうやって来たのかな?」


 それから私は此処へ来た経緯を話した。そして、妹の百合華を探して貰えないかとお願いした。


「なるほど、ではミオウは妹君と一緒だったはずなのにひとりであの場にいたんだね・・・アルどう思う?」

「そうですね、妹君の高校と言うのは学園の事かと思われますがこの国では聞いたことがないですね。そして光に包まれ気が付けばあの場に倒れていたという事は恐らく・・・」

「・・・うん、そうだね・・・」


 二人で難しい表情を浮かべながら話す内容から、何か心当たりがあるのかと期待しそうになるが、表情を見ると良くない状況なのだろうか不安の方が勝る。

 手をテーブルの上で組み、眉間に皺を寄せ真剣な眼差しをフォルクハルトが向けてくる。場の空気が緊張感に包まれるのが分かる。ドクリと嫌な鼓動の音がした。


「これから私が話す事は君には信じがたい事かと思うが真実だ。落ち着いて聞いてほしい」


そうしてフォルクハルトから知らされた内容は、私には本当に受け入れがたいものだった・・・。











読んで頂きありがとうございます。

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