漫才『医者』
二人「はい、どーもー!」
ボケ「ボク、昔の夢はお医者さんになりたかったんですよ」
ツッコミ「へー、お笑い芸人とはまたずいぶん真逆ですね」
ボケ「そうなんですよ。だから、今日はちょっとでも夢を叶えたいなあと思いまして、今から僕が医者やるから、患者さんになってもらえへん?」
ツッコミ「患者さんかー、あんまり乗り気はせえへんけどええよ」
ボケ「よっしゃー、お医者さんゴッコするぞー!」
ツッコミ「なんか、言い方がやらしいなあ」
ボケ「患者さん、どうされましたか?」
ツッコミ「ちょっと頭が」
ボケ「悪いんですね」
ツッコミ「いや、具合は悪いけど言い方が雑」
ボケ「頭大丈夫ですか?」
ツッコミ「また、人聞き悪い言い方するなあ。そうじゃなくて、頭がズキズキするんですよ」
ボケ「それはマズいですね。おーい、看護婦さん、ドリル持ってきてー」
ツッコミ「えっ、頭に穴空けるの? それはちょっと、心の準備が」
ボケ「算数ドリル持ってきてー」
ツッコミ「いや、頭は悪くないんやって」
ボケ「うーわ、恥っず! 自分で頭ええ言いよるで!」
ツッコミ「お前がいらんフリするからやろ!」
バシッ!
ボケ「あいたあ! 骨が折れたー! 医者! お医者さんはいませんかー?」
ツッコミ「医者はお前や! てゆうか、それくらいで骨が折れんの?」
ボケ「家庭の事情が複雑骨折やー!」
ツッコミ「家庭の事情は関係あらへんやろ」
ボケ「ウチ、外反母趾家庭やねん」
ツッコミ「そら複雑やな、靴のサイズも合わへんし。って、お前やっぱり医者向いてないわ」
ボケ「そうかあ? じゃあ、ボク患者やるから、キミが医者で『あなたの病名はガンです』って言うてくれるか?」
ツッコミ「あー、はいはいはい。お前のやりたい事分かったわ」
ボケ「あ、やっぱ分かるか?」
ツッコミ「バレバレやん。ほなやるで。あなたの病名が分かりました」
ボケ「恋の病でしょうか?」
ツッコミ「そんなんで病院に来んなや」
ボケ「ドクターヘリに乗って来ました」
ツッコミ「うわ、めっちゃ迷惑やなこいつ。じゃなくて。あなたの病名が分かりました」
ボケ「はい、何でしょうか……?」
ツッコミ「あなたの病名は……」
ボケ「デケデケデケデケデケ、デン!」
ツッコミ「ドラムロールはいらんて。あなたの病名は、ガンです!」
ボケ「ガチャピーン!」
ツッコミ「そこ、『ガーン』やないんか!」
ボケ「そういや、さいきん顔色が黄緑になって来たような」
ツッコミ「それ、ガチャピンやろ!」
ボケ「ちがうっ! シュレックや!」
ツッコミ「どっちもたしかに、黄緑やけど!」
ボケ「そういや、さいきん腕がブツブツボコボコしてまして」
ツッコミ「それも、ガチャピンや! 腕にブツブツついてるけど!」
ボケ「あ、ごめん。手にゴーヤ持ってただけやった」
ツッコミ「なんで、病院にゴーヤを持ってくんねん!」
バシッ!
ボケ「あいたあ! 骨が折れたー! 医者! お医者さんはいませんかー?」
ツッコミ「医者はオレや! もうええわ!」
二人「どーも、ありがとうございましたー!」