執筆って模型作りと同じようなものだなぁ~とこの頃思いますのだ。
「執筆ってなんぞや?」
「いきなりなんだね」
誰かさんがいきなり口に出すものだから、
びっくりして、口からコーヒーを誰かさんに吐きかけるところだった。
だけど、その辺の描写は漫画の方が表現しやすいことを苦虫を噛む程の悔しさにさいなまれながら、私は誰かさんの唐突な事の会話に付き合うことにした。
「執筆とは?か……、」
相変わらず、ぼぉーとした顔が特徴ですね。
これもやはり、漫画の方が表現しやすいので、悔しくて不愉快だ。
「はい」
誰かさんは頷く。
本当は作品を書いている気分転換に書いているものだから、僕自身が答えていいかはわからないけれど、誰かさんの質問に対してむげに中途半端に終わらすわけにもいかないので、
「そーさな、うーん、そうだ!」
「閃き的なものよりもあなたの考えを聞こうとしているのですが……」
「いや、この閃きも考えに到達せらる媒介とするなら、同義では」
「少し、音楽をかけてもいいかい?」
私は逃げてしまう、論破されそうなところの苦しみ紛れの逃避行動。
「ええ、なぜ?」
誰かさんが頷きながら聞いた。
「カフェと表現すれば人は、自然とリラックスするからでありまして、特にこの無音の中の喧騒から逃げたいためであるといいましょう」
「つまり?」
誰かさんの顔はにやけていた。
もちろん、私はにやけることはなく、拳をかたく握っていた。
言いたいことはこうだ。
「負けた後悔を認めたくないからです」
「やっぱり」
誰かさんの目は勝者のように悠然として勝ち誇るような目を浮かべていた。表情筋が緩んでいるため、それは一目瞭然だった。
私は無償に腹をたてる虫を苦し紛れにかごの中に押しやると。目を見開いて言った。
「わかりました!貴方の閃きも考えですね!だったら言ってくださいよ、考えを」
誰かさんは笑い声を言葉に発して、それが私にとっては一つの文字媒体が二次元を越えて三次元へやって来たかのように見えた。
しばらく、勝者の余韻に浸りつつある、彼が落ち着くと、
わかったと言って、話して聞かせてくれた。
「私の閃きから出た答えとは、否、これは私の一つの自己解答と思って聞いてほしい。他の答案にはない、私だけの答えだ。そう、その自己解答は、私にとっては、執筆とは模型のようなものだと思っている」
「どうしてですか?」
「どうしてかというと、模型と言うものを作ったことはあるか?」
「うーん、,カンタムなら少々作ったことがありますね。」
作りかけのもある、暇があるときに作ろう。
「そう、カンタムとかも模型の一種で、ないし、それは準備されたパーツを作るのに似ている。」
「しかし、それだと模型なるものなら、準備されたもの、すなわち、人の手が組み込まれたものと言ってもおかしくないのでは」
模型は、他人の手によって準備されたものを指すのであって、執筆は自分の力で一手に引き受けて書くものだと、私は心の中の定義付けをしているから、疑問の種を理解の木にするべくして聞いた。
「確かに、そうだが、完全に模型と同じくとは言わないが、小説はバンダムの会社とカンタムを買った消費者の二つが合わさった形式だとみれば言えなくもないだろう。」
誰かさんは私にその例えの根拠を提示した。
私はなるほどなと思った。
「確かに、私の書いている一連の創作活動も模型を作るのに似ていますね、まして、それならば納得しました。」
「そして、彼らにあって、私たちにあるものがない」
「して、それは?」
私は誰かさんの言葉を聞いて少し眉をひそめるようにした。
だけれども、私の心は踊っていた。
「そう、それは彼らは型があるが、私たちには型がないということ、つまり、私たちは型がないのだから不安定であるが豊かなのだよ、執筆とはそのようなものだと思う」
私は、完全に理解はせずとも、なるほどなと、頷いた。