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ディフレクトリズム  作者: 桂眞
1/2

予兆的な日常

初投稿となります。

暇な空き時間に新鮮味と思考回路を擽る様な作品です。

作者の私でさえ、序章の伏線を全て拾いきれるか少し不安があります(笑)

感想やブックマークをつけて頂けると嬉しい限りです。

何卒、よろしくお願いします。

──5月2日 午前11時過ぎ 柴崎高校 部活棟三階 文学研究会──

立夏を控えた連休前。

最高気温32度、最低気温29度と、季節的には春なのだがその日は夏のような猛暑を記録していた。

部室のエアコンは故障中の為使えず、部室内は熱気で満たされていた。

軽く茹で蛸状態になりかけていた俺は部室の窓とドアを開け放ち、廊下の窓を片っ端から開けて空気の流れを作った。

がそれは返って逆効果で

窓から入ってきたの冷風でも南風でもなく。

《熱風》

今日の天気予報では雨が降ると言っていたが、案の定、快晴。

ふざけんなよ………。

そんな猛暑の中、窓際の椅子に腰をかけ、涼しそうな佇まいで由芽森千咲は本を読んでいる。

鉄を冷やした様な黒さを誇る長い髪が窓から吹く熱風になびいた。

その姿に俺は『そよ風に揺れる風鈴』という風物詩を想起してしまった。

「なんですか?水から出て数日経ち腐りかけた魚の様な目で私を凝視しても涼しくはなりませんよ?先輩?」

由芽森は読んでいた本を閉じる事無く、容姿を細かく馬鹿にしながら“涼しくはならない”と告げた。

水から出て数日経ち腐りかけた魚の目という罵倒語がよく一瞬で思い浮かぶものだ。

こいつの思考はどうなってやがる。

「わーてるよ、そんな事は」

俺が由芽森を見つめていたのは『なぜ、お前はそんなに涼しそうなんだ?』と思ったからだ。

部室でもっと暑いであろう窓際は熱風+地面の反射熱+太陽光のトリプル文句で灼熱地獄だろう。

暑さ対策をしている訳も様子も素振りすらない。

では、どう30度を越える暑さを涼しい顔で過ごしているのか。

気になりもするだろう?

「じゃ私を凝視していたのですか?」

「してねぇよ。ただ“なんでお前はそんな涼しそうなんだ”って気になっただけだ」

「なんで涼しい?………そうですね、まぁ強いて言うなら心頭を滅却すれば火もまた涼し!……じゃないですかね!」

どや顔で返答した。

なぜそこでどや顔をした?

表情表現に異常でもあんのか?こいつ。

それともなにか裏があるのだろうか。

「まぁ、先輩には無理だと思いますよ?キャラ設定が違いますもん!だから無理しないでくださいね?」

なるほど、どや顔の意味がわかった気がする。

「諦めて違う涼み方をするかぁ~」

煽られた程度で感情を顕にする俺じゃない。

こういう煽りに対して取る行動としてはこれが最前で尚且つ、大人の様子を見せつけることができる。

「諦めが秒ですね……普通煽られたら“やってやるよ!このやろう!”ってなりませんか?」

「馬鹿か。お前がどや顔した瞬間に“あっ、こいつ煽ってんな”って察したわ」

嘘だけどね。

本当に気づいたのどや顔をした後だ。

「ところで国栖貝君。登張さんは、まだ来ないんですか?」

「んぁ?あー、登張の事だ。また何処かで油でも売ってんだろうよ」

「はぁ…“約束の時間”は、とっくに過ぎているというのに……そろそろ磔刑に処した方が良いと思うのですがあの遅刻常習犯………」

由芽森は冷たく言い放った。

「登張は遅れて来るが決まりのヒーローみたいなもんだから、仕方ないとこっちが妥協してやるのが一番だろ?例えるなら正義の味方が変身する間に攻撃すればいいのに紳士的にも変身が終わるの待つ悪役のようにな」

「例えが的確ですね…でも国栖貝君の場合、妥協=人生みたいなもんじゃないですか、そうなったら悪役も紳士的も関係無くないですか?」

「失礼な!俺の人生は妥協と諦めだ。勘違いするな」

「先輩はそれ、誇れませんよ?」

「お、俺の事はともかく。登張の事はあと数分待とうぜ?な?」

と、その数秒後だった。

「呼ばれて飛び出てじゃーん!」

「わっ!」

俺は突如現れた登張に驚き咄嗟に飛び退いた。

「はい!おっはようーございます!」

「おっはようーございます……じゃねぇ!驚かすなよ!寿命が30秒縮まったじゃねぇか!」

「あはっはっ!ごめん」

こいつ……。一発ぶん殴ってやりたい。

沸き立つイライラを押さえろ!俺!

ここは冷静にだ。

「やっと来ましたか」

露骨にため息を吐く由芽森に対して机にぐだっと倒れた登張は呟いた。

「やー。それにしても暑いね!うん!暑い!エアコンはつけないの?」

「故障中ですよ」

「なぜ!?」

「原因は不明です」

「そっかー、なら仕方ないね。ところで千咲ちゃんは、なんでそんなに涼しそうなの?」

「はぁ…数分前にも同じ質問されたんですが」

「心頭滅却だとさ、お前には無理だ登張」

「うん、そうだね、無理だね、諦めよう」

「なんですかその四拍子。諦めるなら聞かないでくださいよ……」

登張が来てから由芽森に疲れが見える。

登張に生気でも吸われてんのか?

一方の登張は生き生きと、水を得た魚の様だ。

「ねね、この部室汚くない?千咲ちゃん」

「そうですね……」

由芽森は辺りを見ながら答えた。

由芽森の読み散らかし積まれた本の山と、散乱した登張の持ち込んだ用途不明の服。

ゴミ箱に入りきらずコンビニの袋に詰め込まれ、部室の隅に置かれたゴミ。

確かに汚い。

「だからさ!今日の活動は部室掃除にしない?」

「そうですね………」

話す度にどんどん声が沈んでいく由芽森。

あ、やっぱり生気吸われんてんじゃん。

「そうと決まれば!行動を!」

「じゃあ私は本を片付けるので登張さんは散乱した服の片付けお願いします……」

生気を吸われているにも関わらず指示を飛ばす由芽森、流石、部長と言う役職に属しているだけはある。

「りょーかい!」

「先輩はごみ捨てをよろしくお願いします」

登張は散乱した用途不明の服を、由芽森は読み終えた文学本を各々片付け始めた。

俺はトントン拍子で進む、目の前の展開に着いて行けず、動かないでぼーっとしていると。

「先輩、なんで見てるです? 」

「くずくん!見てる暇なんて無いよぉ!掃除しよう!」

と、二人のから『早くやれよ』コール。

「なんで、わざわざ暑い今日に限って掃除するんだよ」

「汚いものは洗ったり掃除したりしますよね?つまりそういう事です!さっ、やりますよ。先輩」

確かに汚いものは洗ったり掃除する。

でもさ俺は思うんだよ由芽森。

掃除することになった元凶って由芽森と登張じゃね?

俺、これ完全に巻き込まれた系の不幸系主人公だと思うんだよ。

近くに積み上げれた多量の本と謎の青色のチャイナドレス見てため息付きつつ、まとめられたコンビニ袋のゴミを大きなゴミ袋にまとめる。

その時、部室を吹き抜けた熱風が疑問を呼んだ。

そいえばエアコンの修理っていつ頼んだっけな?

読んで見ていかがでしょうか?

少し読みにくい、面白い!、次はどうなるんだろう。

些細な事で構いません、また皆様が読んでくださる理由になれば幸いです。

Twitterでのダイレクトメッセージを利用した質問やご指摘も受け付けています。

読んでいただきありがとうございました。

また次回お会いしましょう。

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