表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幸せは相対比較って言いますよね?

作者: 星馴染

 鏡よ、鏡よ、鏡さん。

 世界で一番美しいのはだあれ?

 

「フンッ!」


 鏡を叩き割って、アタシは溜息を付き呟いた。

 身長111.1cm

 体重111.1kg

 バスト、ウェスト、ヒップ。全部111.1cm。

 動物的な可愛さ、ポケモ○的な可愛さもなく顔は豚顔である。


「チクショォ……どう見てもオークじゃねえか……!」


 アタシは、ブスだ。

 学生時代の渾名はオーク。デブでブスで暗く頭も悪く要領も悪い。

 身長157cm 体重82kg。顔は愛嬌があるといえなくもないが、

 鼻が上を向いたような豚顔である。

 

 父の書店を受け継ぎ、アタシは書店の店長になる。

 近所からは、この町の書店の娘はブスだ、と噂されているのを知っている。

 神様、なんでこんな世界にアタシを落としたの……。

  

「異世界転生させてやろうか?」

 神を呪っていたアタシに、そんな声が届く。

 現実ハードモードのアタシはすぐに飛びついた。


「内政チートでスローライフでお姫様で流行の料理モノを楽しみたい。

当然、世界で一番綺麗で、頭が良くて、最強の魔力を持ってて

逆ハー展開希望!」


 一息でそう言いきった。

 流れ星が消える前にに三回は言える程の速度と喰い付きで。


 願いは叶った。


 翌日目が覚めると私は、ブッサイクなモンスター(オーク)になっていた。


内政チート

「ほら、こうして大きな葉っぱを頭に乗せると雨にぬれない」

「なんてすごい!これは改革だ!天才だ!」

 野獣のような生活をしているこの世界の住人にとって、

 雨に濡れないよう葉っぱを頭にのせる <ジブ○ですか>

 手が汚れないように食事に道具を使う <素手なのかよ>

 食料に困らないように種を植える <……>


 内政チート?で最低の環境を整えると、聖女扱いされた。


スローライフ

 ええ、私はお姫様。生きるのが精一杯のこの世界で、

ゴロゴロしながら生きてます。聖女だし、姫だしね!

娯楽?何もねーですよ?

本?なにそれ……?


流行の料理モノ

「ほら、バッタ焼いたよ」

「うめぇぇぇぇぇ!!」

 虫と芋の料理ばかりである。

 香辛料も何もない。種もない。育て方も知らない。

 芋を栽培してふかして、虫を焼くだけで天才料理人扱いだ。

 

世界で一番綺麗

 うん、この世界の価値観だと私が世界一綺麗らしい。

 111.1cm四方に近ければ近いほど美しいらしい。

 完璧な黄金比を持って生まれた私は世界一の美少女だ。

 

頭が良くて

「おお、なんてすごい。たしざんができるなんて」

「おお、なんてすごい。ひきざんもできるなんて」

「まさか、100年前につたわっていたけんじゃの、でんせつのさんじゅつ、かけざんやわりざんができるなんて」

 いや、オークだし、足し算や引き算ができる事も驚きだけどさ

 

最強の魔力を持ってて

「?」

 魔法を使える先生がいない。

 魔力あるのかないのかも解らない。

 もっとも全員がオークで魔力をもってないため

 わずかでも魔力を持っていれば最強の魔力持ちなのかもしれない。

 

逆ハー展開希望

「姫!きみとこづくりしたい」

「姫様!どんぐりもってきた!」


 この世界のイケメン揃いがアタシを奪い合う。

 とは言え、111.1cmの丸っこい豚顔が美人なのだ。


 隣国王子は限りなく私に近い111.4cm。

 丸っこい豚顔の婚約者だ。

「グフグフ、姫。きみをたべちゃいたい」 


 これはモンスターに陵辱される未来しかみえない。

 アタシもモンスターだから人の事は言えないが、断じて言える。


 これは逆ハーじゃない!!


「……私はブサイクでどうしようもありませんの」

身長172cm、体重62kg、Fカップ。

私が羨む体系の美少女は、この世界ではブスである。

美少年も美青年も、この世界ではブサイクである。

「姫様みたいに美しくなりたい」

「私が111.1cmに近いところでもあれば姫にプロポーズするのに、くそっ!」


見るたびに発狂しそうになる。これならブサイクで良かったのに!!

ひどいよぉ、こんなのひどすぎるよぉ……


「異世界転生させてやろうか?」

 結婚前日、いつか聞いたような声をもう一度聞いた私は叫ぶ。

「元の世界に返してよ!」


願いは叶った。

「うわぁぁぁぁ!豚のバケモノ!?」

「……」


 雨が降ると傘を差し、美味しそうに米を食べ、楽しそうに娯楽本を読む。

 111.1cm 四方のフォルムでたまに神様に感謝をささげるオークはこの町の名物だ。

 この町の書店では、そんなオークが働いているらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ