転生二日目ーーーー生徒会会長
今回から二日目です
翌日、放課後、俺は一人生徒会室に呼び出されていた。
生徒会室に誂えられた会議用の長いテーブル。それに合わせておかれた椅子に座りながら、俺は彼女の次の言葉を待つ。
「---それじゃ、柳楽くんからは何もしなかったんだね?」
俺はその質問に、はい、と答える。
質問の主はこの高校の生徒会長、西山水理。
短いながらもつややかな髪、物静か、というより寡黙な雰囲気だが、面持ちは同年代と比べたら可愛らしい、というより少し幼く感じる。それでも強い印象を受けるのは、すべてを見通そうとするその大きな瞳にあるのだろう。
彼女は俺と向かい合うように座っている。
表情が読めない、というか感情の起伏を出さない彼女は目を閉じてしばし思索に耽る。
俺が呼び出されたのは昨日の一件だ。
放課後に絡んできたやつは、どうやら随分と官位の高い奴だったらしい。
そういや、真奈美さんと知り合いらしいが、そうだとしたら少し面倒な奴かもしれない。
そう考えていると、彼女はすっと目を開き、
「事情は分かりました。
ただ、相手もあることなので、これで終わりになるかどうかは分かりません」
そうですか、と俺は答える。
俺としては不満がないわけではない。何せ相手が一方的に殴り掛かってき、挙句に能力でこちらを焼き殺そうとしたのだ。
それで、少しばかりのことで悪く言われるのは尺ではあるが、相手の官位を考えたのなら仕方のないことだ。
わかりました、と答えて頭を下げ、席を立つと、
「待って」
彼女がこちらを見据えての一言。
「まだ帰っていいといったわけじゃない」
彼女も立ち上がり、こちらによって来る。
俺をまるで睨みつけるように、背の低い彼女が俺の目を覗いてくる。
「…今回の事は、意外と大事。
わかる?」
彼女は俺に言い聞かせるように告げる。
はぁ、と気の抜けた返事を返すと、彼女はきっ、と視線を鋭くし、
「もし、下手したら、貴方だけじゃなく、家族や友達も巻き込むことになる」
ひどい言われようだな、と心の中で毒づく。
確かに相手の官位は相当、上なんだろう。そいつらが普通の人間に何をしても許される、逆に下の者が逆らえば何をされても文句を言えない。
いつの間にか出来た、この国の暗黙のルール。
それに触れたのだから、彼女の言葉もわからないことはないのだが。
そういうことを知ってか知らずか、彼女はさらに言葉を続ける。
「だから、あたしは貴方に罰を与える」
その言葉に呆れつつ、所詮、生徒会とやらもこの程度なのかと思いながら、言われたままに目を閉じる。
まあ、この後飛んでくるのは、ビンタかパンチかそれとも蹴りか。
何でもいいから早くしろよ。
そう思った瞬間、
「だめえーーーーーーっ!!」
突如、美波が飛び込んできた。
「ちっ」
思わず舌を打つ生徒会長。
「な、なにしようとしてるんですか、りーちゃん!?」
りーちゃん、と生徒会長を呼んだのどかも顔を赤くして慌てているし。
「…なにって、罰?」
ここで何故か疑問符をつけたりーちゃん。
よく見たら背伸びして顔を随分近づけているな。
「と、とにかく離れてよ、りーちゃん!!」
今度は真奈美さんが言うが、会長は俺にコアラのように抱き着いて、
「やだ」
の一言。
「あの、会長?」
俺が今は懐かしい抱っこちゃん状態の会長に言うと、
「…昨日、そーたはあたしのところに来てくれなかった。
だから、罰」
なるほど、俺はすでに会長とも知り合いで、昨日、会いに行かなかったから拗ねているのか。
「…んー」
彼女は薄く形の整った唇をすぼめて俺に差し出す。
なるほど、俺にき「だめーーー!!」
そうはさせじと、美波が強引に彼女の背中にへばりつく。
「離れてくださいよ、かいちょうっ」
会長呼びしながら、力づくで俺からりーちゃんを引き離そうとする美波。
「…やだー」
更に力を込めてしがみつく会長。
この戦いに参戦しようと残る二人も動こうとしたところ、
「---何やってるんですか」
「あらあら~」
背が高く、切れ目美人の二年生書記と、ほんわりとした雰囲気とウエーブの掛かった栗色の長い髪が印象的な糸目美人な三年生会計。
二人にこの奇妙な状況を見られたことに、俺は思わず頭痛を覚えるのだった。
日表記なくなるかも…




