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転生初日ーーー放課後

放課後、俺は一人校門の前にいた。


美波、のどか、真奈美の三人は野暮用で、俺にここで待っていてほしいとのことだ。


と言って、もう結構立つ感じがするが。


ふぅ、と息をついて、少し空を見上げて今日の出来事を思い返してみる。


「おい」


そういや、いきなり事故にあって、変な女に転生だのなんだの言われてたな。


「おいっ」


そのあと目が覚めると、見知らぬ天井って感じでびっくりしたが、思い出してみるといつもの天井でもある。


「おい!」


あの女が言っていたように、なるほど俺は別世界に飛ばされた、というか生まれ変わったらしい。


「おい!!!!」


その割にいきなり高校生からだとか、意識しないと「あれ、これ誰?」ってなる。


「いい加減にしろテメーーーはよぉ!!!」


やれやれ、ずいぶんといい加減な転生具合だなと思いながら、俺は半歩ほど体を横にずらす。


その横では拳を壁に強か強打しうずくまっているのが一人いるが、あまり相手にしないでおこう。


「っ!このっ、ぶっ殺す!!」


しかし、分からないことだらけだ。


俺と美波、それに真奈美との関係。二人も知り合いっぽいし。


俺はぶんぶん飛び交う小蠅を右に左に払いながら、二人の関係性について、というか真奈美についての情報を得ようと記憶を巡らす。


「ーーーがあああああああ!!!マジで殺す!!!」


うーむ、確か真奈美とは結構小さいときに出会ったようなそうでないような、と思っていると不意に視界が赤く染まる。


激しい爆音、硬い壁と地面を抉り取ったような爆発痕。地面とアスファルトを焼いた石臭い匂いが当たりに漂う。


車でも焼いたような煙が立ち上る中、誰かのけたたましい笑い声が聞こえてくる。


「っひゃははははははははは!!!!殺ってやったぜバーカバーカ!!俺の真奈美に近づくからこうなるんだよ!!」


晴れ晴れとした狂気を若干交えた楽し気な声で騒ぎ立てる。


「お、おい、殺すのはまずかったんじゃ…」


やや控えめに言った奴がいるが、


「ああ!?殺されてーのかよおめーもよぅ!!?」


そう睨みつけられると、後は黙ってはいおしまい。


ふむ、と俺は周りを見まわしてみる。


その二人以外にも、仲間らしいのが五人。


事の成り行きを見ていたギャラリーがちらほら。


そして、爆発音を聞いて駆けつけてくる教師がーーーー0。


…一人くらい来いよ。


そうしていると、ようやく煙が切れてきたらしい。


退屈そうに欠伸をした俺を見て、そいつは目を疑った。


「んな!?何でお前無事なんだ!?轟火球を食らえば炭になっていても…」


はぁ、そんなものを人にぶつけてあの態度か。


親の顔が見てみたいね。一体、どういう教育をしているんだ。


そう呆れながら、頭を掻こうとすると、


「ひっ!」


そいつの腕が赤い光を帯びる。いや、制服の下になっていて分かりにくいが、何やら手首から前腕の半分を覆うようなブレスレットのようなものをつけている。それが発光しているんだ。


それから出た光が手のひらに集まる、というか収束し、火球となって、俺に向けて放たれる。


この間、僅かに2、3秒ほど。なるほど、これなら実戦にも十分に役に立つな。


そう思った俺は、特に何することもなく、その火球を弾き割った。


これくらいなら特に防ぐ必要もないが、とオートガードで軽く弾いたのだ。


ーーーああ、そうか。


俺は、ようやくこの世界で使われる能力について、少しだけ思い出した。


この世界では能力と呼ばれる、まるで魔法のような力を扱える者たちがいる。


しかし、それらが能力を使うにはアーティファクトと呼ばれる道具が必要である。


形態は様々であり、こいつのようにブレスレットのように身に着けている場合もあれば、それら自体が武器となる場合もあり千差万別といったところか。


それを使い、今しがたこいつが使ったようなことが出来るわけだが、さてどうするか。


もうすぐ三人も帰ってくるだろうし、あまり騒ぎ立てたくない。


ここはひとつ穏便に、


「ひっ」


目の前のこいつに消し炭になってもらうか。


「ぎゃああああああああ!!!」


俺が指を一つ鳴らすとそいつの体はたちまち炎に包まれる。


「いぎゃああああああああついよおおおおおおおおお!!!!」


炎の中で悶え苦しみ、転げまわって火を消そうとするも、まるで無意味。


「ひいいいいやあああひとごろしいいいいいいい!!!!」


それを見たそいつの取り巻きどもが先を争って、ギャラリーごと逃げ出していく。


「ごめーん、待たせちゃった」


そう軽く声をかけてきたのは真奈美。あとの二人も少し小走りで駆けてくる。


「それじゃ、そろそろ行こっか?」


俺の腕に組もうとする真奈美をけん制、というか先んじようとするのどかと美波。


やれやれ、もう少し静かにできないものかね。


と思いながら、俺たちは学校を後にした。


残されたのは、幻の炎で炙られ、特に何の火傷を負うこともなく涙を流して泡を吹いて白目を剝いている奴が残されただけだった。

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