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転生初日ーー通学中

「…うーん」


俺は眠気まなこで目を覚ます。


目が覚めると、そこはいつもの部屋、ではなく見たこともない部屋。


押入れの片隅のようないつもの寝床と違い、真新しいシーツにたっぷりの空気を含んだ暖かい上布団。


まだ惰眠をむさぼりたくなるこの環境だが、そうもいかないらしい。


「---起きてください、壮太さま」


焦点があってくると、そこには一人の少女が俺の顔を柔らかな笑みを浮かべながらのぞき込んでいた。


「おはようございます、壮太さまっ」


ぽん、と晴れるような笑顔をしながら彼女は俺にそうあいさつした。


ーーーああ、そうだ。こいつは俺の専属メイドで、今日から新しい学校に通う同級生でもあるのだった。


転生先の記憶を辿りながらそのことを思い出すと、めんどくさそうに身を起こす。


「おはよう、美波」


「はい、おはようございます」


と再び挨拶を返してくれる。


「朝の準備は出来ておりますので、ご支度がお済み次第、お召し上がりくださいね?」


彼女はいつもの調子、といった感じでそう告げると、俺の寝癖を手でそっと一撫でして直す。


では、と優雅な身のこなしで頭を下げて部屋を後にする美波。


その姿を見ながら、俺は自分が転生した事実を深々と嚙み締めるのだった。



今日から、俺たち二人が通う学校は能力者専門の高校らしい。


能力とは、平たく言えば魔法のようなもので、特別な才能がないと扱えない。


その能力を持つ人間を集めて教育しようという国の趣旨なのだろうが、ただ単にそういう異能者を管理・監視したいだけだろうな。


そんな事を考えながら美波と二人、連れ添って歩いていると、彼女の顔が不意に険しくなる。


学校の近くだというの、不良二人が絶賛絡み中である。


絡まれている女の子は恐怖のあまりか、声を出すこともできないし、周りもそれをいいことに全力スルー。


「あん?なんだおめー・泣かされたいのか?」


どうやら今度は俺に絡んできたらしい。


このクソ共の目立てはおそらく美波だろう。


何せ、彼女の可愛らしさ、というか幼さが残る顔立ちながらも隠し切れないその美貌は咲き誇る桜ですらかすみ、天然の陽性がその華やかさに花を添える。


そのような可憐な少女と連れ添う俺を、道行く人が羨まない訳がない。


それでわざわざ俺にちょっかいをかけて来たのだろうが、周り相変わらずの完全無視。


それどころか、「やっぱりな」「いい気味だ」と俺をそしる声さえも聞こえてくる。


やれやれ、そんなに俺が羨ましいのか。


俺は天を仰いで、やれやれ、とだけ呟いた。


その次の瞬間、近くの幹線道路を走っていた一台のトラックが突如スピンし、絡んでいた学校のゴミを文字通り制服を着飾った血糊の詰まった生ゴミへと転換する。


壁とトラックの前面に押しつぶされ、割れた頭から血を吹き出しながら白目をむくクズ。


そのような生ごみがいきなり二つも生産されたなら清掃局の迷惑になるだろうと、俺はつくづく不快な気持ちになる。


「大丈夫か?」


俺はへたり込んだ、からまれていた少女にそっと手を差し伸べる。


ガタガタと震えて声も出ない少女を抱きかかえ、その場を後にすることにした。

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