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転生五日目ーーー一段落

この話でいったん終わりです



男は得体のしれない感じがする。


尖ったように分けた髪型、それに負けないように蓄えた髭。趣味の悪い赤いスーツに白いカッターシャツを着ている。首にしているのは、恐らくは蝶ネクタイか?


それを常人が着ていたのならセンスの悪さに噴き出していただろう。


しかし、男にはそれをさせないだけの説得力、雰囲気がある。


鍛えこまれた体に、能力者の持つ力が目に見えて溢れているのがわかる。


こいつは、強い。


そいつが俺を値踏みするように笑うと、


「--なに!?」


一気に踏み込んでくる。


五十メートルを一瞬で!?


驚きながらも放った俺の一撃はむなしく空を切る。


男は踏み込み、着地する前に上空へと飛び上がっている。


どういう奴だよ!!


俺が舌打ちする間にも、男は再び鞭を振るう。狙いは、詩音さん!?


男が勝利の笑みを静かに湛える。が、その鞭の先は寸でのところで大きく弾かれる。


今度は男が驚愕した。


とっさの判断で持ってきていたアーティファクトを一個潰して張ったバリアーが効果を発揮したらしい。高かったんだぞくそ!!


そして、驚きついでに俺の一撃が奴の顔面を捉える。


奴の一瞬のスキを突いての一撃。これで何とかーーー。


しかし、男は笑っていた。俺の一撃を見透かしたように肘で拳を受け止めていた。が、


「何!?」


再び男は驚いた。俺の一撃が男のガードを弾き飛ばして顔面にさく裂した。


ーーーよし!!


どうやら奴は俺の拳が能力で強化していたことまでは見越してなかったらしい。おかげで一気にアーティファクトを二個も潰してしまったが。


男はそのまま勢いよく数十mは吹っ飛ぶ。いや、殴られた衝撃を和らげるためにわざと飛んだのか。


男はまるで何事もなかったように優雅に着地する。


が、口元からは微かに血が一筋零れる。


「ーーーフン」


彼は懐から取り出したハンカチでそれを拭うと、再び俺と対峙する。かのように思えた。


「---あ」


思わず漏れた美波の声。


周りに響くサイレン音。さらに数台の車も駆けつけてくる。


それを見た男の姿が静かに闇に溶ける。


「ーーー引いた?」


詩音さんの声に、


「多分、ね」


俺は確証を持てないまま反応した。


駆けつけてきた警官や、真奈美さんたち生徒会やその家の関係者たち。


それを見て、俺たちはようやく安心する事が出来た。


今度こそ、一段落かーーーー




この後、俺と美波は死ぬほど怒られまくった。


警察(役立たず)には余計なことするなと言われるわ学校(無能)にはこの件は内申点に響くだのヒーロー気取りとか言われるわ…。


それより会長に泣かれたのには参った。あんなに怒ったり泣いたりするのは初めて見た。出来ればどっちかにしてほしい。


真奈美さんにも怒られまくった。俺たちのことについてやたら追求しようとしてくるわ、そんなに信用できないのかなど、激おこだった。


おかげで暫くデートを強要されそうだ。


千里さんは相変わらずアルカイックスマイルだった。


この人が一番分からないなぁ…。


とにかく怒られまくった一晩になったが、それでも事件が解決したんだ。詩音さんにも危害はそれ以上なかったみたいだし、まあ、よかったよかった。



「…でも、未だに信じられません」


翌日、登校しながら美波が呟く。


またその話かと思いながら、昨晩の一幕を思い出す。


「壮太さんとあれほど戦える人がいるなんて…」


美波はいつもの学校用の口調で何度も言う。


確かに、俺が記憶を遡ってもあれほどの使い手はそうはいない。これ以上あんなのに関わったらたまったもんじゃないな。


「それで、奴らの背後関係は何かわかりましたか?」


と、隣を歩いている真奈美さんに聞くが、


「だーめ。教えてあげない」


とあしらわれる。どうやらまだ怒りは解けてないらしい。


「と、言いたいんだけど、本当は詳しいとこまで行けてないのよ」


と訂正を入れてくる。


あの後、俺は手のものに命じて背後関係を当たらせているが、八十八家が背後にいるということが分かるが、つなぐ線がいまいちはっきりしてこない。


詩音さんを監禁してたやつらは完全に使い捨てだったし。


本丸に行き着くまでに時間がかかりそうだな、こりゃ。


「まあ、いいではないですか」


不意に後ろから声がした。


「詩音さん」


そこには詩音の姿があった。


「体は大丈夫なんですか?」


と聞くと、


「ええ、特になにもありません。


それに、家に閉じこもっているほうが気が滅入りそうなので」


といつもの冷静な彼女の顔。実際は、結構ショックを受けていると思うが。


「それに、」


彼女は顔を俺の顔にすっと近づけ、


「まだ、お礼も言えてませんでしたしね」


そう言って、彼女は軽く俺の頬に口づけをした。


「それでは、また」


彼女は軽く会釈をして去っていく。


俺はそれを苦笑して見送った。


がーーーー


「………」


「………」


「…………」


「………」


「………」


え、何?


美波、真奈美さん、それにいつの間にかのどかと会長まで加わって俺を刺すような目で睨みつけてくる。


「壮太さん!!」


「壮太くん!!」


「そうた!!」


「壮太さん!!」


「壮太!!」


一斉に詰め寄られーーーって、なんで混じってるんですか三山先輩?


「は、はははは…」


俺はとりあえず愛想笑いを浮かべ、逃げた。


「あ、こらーっ!!」


「にげるんじゃねぇーー!!」


「そーた、あとでひどいよーっ」


「待ってくださーい!!」


「壮太さーーん!!」


逃げる俺を追う面々。


それを楽し気に見つめる千里さん。


やれやれ、これからも俺の転生生活は忙しくなりそうだ




おしまい








この話はいったんここで終わりです。

とにかく、書き終えることを第一になんとかまとめました。

また、リバイバルしたりするかもしれません。

その時は笑ってご一読いただければと思います。

それでは、ここま読んでいただきありがとうございました。

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