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転生五日目ーーー救出

「様子はどうだ?」


俺は様子を伺う美波の後ろから声をかける。


「敵は狗の報告通り五、六人かと」


詩音さんが囚われているであろう倉庫群の一室。それを少し離れたところから観察する。


部屋の取り方や見張りの状況からして相手はプロとは思えない。


「能力者の有無は?」


「能力者の存在は確認していない、とのことです」


美波からの報告にしばし頭を巡らせる。


連中はどう見ても素人だ。襲撃に対してまるで警戒が出来ていない。となると、詩音さんを連れ去った連中は一山いくらで集められた連中の可能性が高い。もしくは、誘拐の実行犯と見張りの連中が別であるとも考えられるが。


「どうします?」


彼女が感情と抑揚を抑えた声で俺に聞く。


「そうだな。相手はおそらく素人だが、何があるかわからん。出来るだけ手早く済ませたい」


俺の指示に、美波は小さく頷くと次の行動に移った。



その部屋の連中は暇を持て余していた。


この女を時間まで見張っているだけで大金が手に入る。前金に十万。後払いで五十万。これほど割のいい仕事は滅多にない。


そう思うと、この退屈も幸せへのカウントダウンのように思えてならない。


が、一つ惜しいのはこの椅子に縛り付けられて座らされている女に手を出してはならないことだ。かなりの上玉。なかなか自分たちでは在りつけないような別嬪。


駄目だといわれるほどに欲がそそられるが、手を出すわけにもいかない。なにせ自分以外にもそう思っているのが四人。しかも全員初対面だ。


お互い顔をフードで隠したまま口を聞いていない。いや、聞かないように言われている。全くの顔見知りの前でおいそれとリスクの高い行動をとれはしない。


そう思うと余計に手を出したくなるのだが、不意に扉を叩く音がする。


全員に緊張が走る。


しかし、二、三度叩くとその音の主は扉の前から去っていくのが聞こえた。


一堂に思わず安堵が零れる。


次の瞬間、


扉が吹き飛んだ。


「何!?」


全員が同じことを口走る。


それに続いて、


「ぎゃああああああああああああ!!!」


強烈な光が部屋の中に充満した。


その攻撃に彼らは思わず身を丸めた。


光で何も見えない!!


抵抗力をなくした彼らの体に痛い、というか熱い衝撃が走る。


「---へ?」


男の一人がその衝撃の後をさすると、べったりとした赤い何かが付いていた。


ーーー血だ。


けたたましく鳴り響く機械音。銃声だ。


それに撃たれたことを理解し、彼は思わず震えた。


「熱っ!!?」


さらに肩に足にと続けざまに撃たれる。


見る見る広がる血痕。


「----あ」


それを見た彼は思わず意識を手放した。




「大丈夫ですか、詩音さん?」


目隠しと猿轡から解放され、ようやく自由を取り戻す詩音。


「あ、ありがとうございます。


…でも」


彼女は血まみれになりながら縛り上げられた男たちをみて思わず言葉を詰まらせる。


「ああ、大丈夫ですよ、彼らは?」


「そうですよ。だって、ペイント弾ですし」


弾の一つを取り出して、ぷちっとつぶしてみる美波。


それを見た彼女の眼は文字通り丸くなる。


「いくら柔らかい素材でも、それなりの速度で打ち込みましたから痛かったことは痛かったでしょうねね。まあ、うまく目を回してくれて助かりましたが」


と笑うと、そうですね、と彼女もつられて笑った。


なかなか見られない彼女の崩れた表情を見られて運が良いかも。


「もうすぐ警察や真奈美さんたちも来てくれると思いますし、それまで少しゆっくりしましょう」


ようやく彼女の顔にも安堵の色が戻った。


これでひと段落かな?


そう思った瞬間、


ーーーひゅっ!


何かが勢いよく飛んできた。


二人を背に庇いつつ、それを打ち落とす。


見るとそれは、


「鉤!?」


矢に鉤の様なものを付けた鞭のようなものをつけた男がいる。


距離はざっと、


「五十mかよ…」


ここにきて能力者のお出ましとは、まだまだ終わらせてはくれないらしい。



次回で一応最終回です

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